東京におけるアール・ブリュットの拠点として、
2020年2月にグランドオープンした東京都渋谷公園通りギャラリー。
こちらで現在、開催されているのが、“線のしぐさ”という展覧会です。
1974年の設立以来、障害のある人々に、
アート制作を通して社会参加の機会を提供しているアートセンター。
それが、クリエイティブ・グロウス・アート・センター(CGAC)です。
今展では、MoMAやポンピドゥーセンターに作品が所蔵されている、
ジュディス・スコットをはじめとするCGACの代表作家の作品とともに、
東近美に作品が所蔵されている坂上チユキら、
日本のアール・ブリュット作家の作品も紹介しています。
日米のアール・ブリュットの競演。
アール・ブリュット版、日米野球のような感じです(←?)。
“線のしぐさ”とタイトルにあるだけに、
今展では「線」が重要なキーワードとなっています。
木材や廃品などを組み合わせた骨格のようなものを、
糸や毛糸の線で執拗なほどに包み込む作品もあれば、
東恩納侑さんのように、針金を使い、震えるような線で立体を作った作品もありました。
とはいえ、やはり多くを占めるのは、
線描画、つまりドローイングの作品です。
それらの中には、どことなくピカソを彷彿とさせるドワイト・マッキントッシュや、
どことくダリを彷彿とさせる西村一成さんの作品もあります。
どことなく彷彿させるといえば、
サンフランシスコ生まれのスーザン・ジャノウの作品も。
これはほぼ、晩年のモンドリアンじゃのう!
もちろん意識してパクっているわけではないでしょうから、
作風がなんとなく似てしまっているのは、偶然なのでしょう。
たまたま美術界の巨匠とタッチが似ているだけ。
そう考えると、彼らがいかに稀有な才能の持ち主なのか実感できました。
ちなみに。
今展で紹介されていた10名の作家の中で、
個人的に一番印象に残っているのが、齋藤裕一さん。
引きで見ると、靄や雲のような、
ボヤッとした塊のように思えますが。
近づいて観てみると、実は、無数の文字が重ねられているのがわかります。
和製サイ・トゥオンブリーといったところでしょうか。
ちなみに、この作品のタイトルは、《無題(ドラえもん)》。
齋藤さんが好きなアニメ『ドラえもん』のタイトルを書き連ねたものなのだそうです。
(と言っても、「も」しか見えませんでしたが・・・)
では、最後に、齋藤さんクイズ!
この作品は、一体、齋藤さんが好きなどの番組のタイトルを書き連ねたものでしょう?
ヒントは、『相棒』よりも前に、
水曜21時枠で放映されていた刑事ドラマシリーズです。
正解は・・・・・・・・
『はみだし刑事』
でした。
「はみだしでか」と、ただひたすら書き続ける。
本物のはみ出し刑事以上に、情熱系です。