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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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こけしの胴模様

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福島県福島市にある原郷のこけし群 西田記念館に行ってきました。

 

 

 

こちらは、こけし蒐集・研究家の第一人者、

西田峯吉を記念する伝統こけしのミュージアム。

西田コレクション3500本を含む、

そのこけしコレクションの総数は、なんと約1万本!

おそらく日本一を誇っています。

 

そんなに数があったって、こけしはどれもほとんど一緒でしょ?

そう思っている方は、きっと多いことでしょう。

実際、僕もそう思っていました。

 

 

 

が、しかし!!

 

想像していた以上に、

こけしの世界は、奥が深いものでした。

まずそもそもですが、こけしの系統は全部で12もあるようです。

その中でも特に代表的な3系統が、山形の鳴子系。

 

 

 

宮城県の遠刈田系。



 

 

そして、西田記念館のほど近くにある土湯系です。

 

 

 

パッと見の形状はなんとなく似ていますが、

それぞれの系統により、頭の表現や構造が違うそう。

 

 

 

また、全部が全部、顔や胴模様が描かれているわけでなく。

南部系のように、無描彩のこけしも存在しているそうです。

 

 

 

とりわけ個性的なのが、土湯系から独立したとされる中ノ沢系。

 

 

 

破天荒なこけし作家だった岩本善吉によって、

生み出された「たこ坊主」の愛称もあるこけしです。

今年2022年は、岩本善吉が中ノ沢入りした年から100年目という記念の年。

弟子たちによって、100年にわたって作り続けられたことから、

今年ようやく中ノ沢系が伝統こけしの12番目の系統として認められたそうです。

伝統こけしは1日にしてならず。

100年かかるものなのですね。

 

 

なお、こけし作家は今なお多数いらっしゃるそうで。

毎年5月には、宮城県の白石市にて、

全日本こけしコンクールなるものが開催され、

その腕前を競い合っているとのこと。

 

 

 

こちらは、令和元年に開催された際に、

最高賞にあたる内閣総理大臣賞を受賞したこけしです↓

 

 

 

その講評によれば・・・・・

 

「表情に気品を湛える名品と言える。」、

「頭部と胴部のバランスがよく保たれており、

 肘折系の特色である黄色が美しく、現代の名品と言える優れた出来栄えである。」

 

とのこと。

こけしテラーへの道のりの遠さを感じました。

 

 

ところで。

館内にある『こけしの歴史』のよると、

こけしが発生したのは、文化・文政時代とのこと。

 

 

 

そこから現在までずーっと存在してきたとばかり思っていましたが。

どうやら、大正から昭和初期にかけて、こけしは一度衰退していたようです。

もし、戦後に新型こけしブームがなかったら、

この世からこけしは消え去っていたのかもしれません。

こけしの危機を救ったこけし愛好家の皆さま、ありがとうございます(←?)。

なお、そんなこけし愛好家の一人に、詩人の堀口大学がいます。

記念館では、彼によるこけしの詩が紹介されていました。

 

 

 

こけしはなんで可愛いか 

思う思いを言わぬから

 

この詩は、多くのこけし愛好家の共感を呼んでいるそう。

いつかその境地に辿り着いてみたいものです。

 

 

ちなみに。

現在、西田記念館の企画展示室では、

“こけしの胴模様”が開催されています。

 

 

 

これまでまったく意識したことがなかったですが。

こけしの胴に描かれる模様には、実に多彩なバリエーションがあるのだそう。

桜やひなげしのように花が描かれたものもあれば、

 

 

 

着物の柄を描いたものや達磨を描いたものも。

 

 

 

さらに、ボーダー柄を思わせるろくろ線や、

 

 

 

そこから派生した抽象画のような模様もありました。

 

 

 

胴の模様一つとっても、

こんなにも種類があったのですね。

そういえば、実家にあったこけしの胴はどんな模様だっただろうか。

今度実家に帰った際に確認してみようと思います。

 


 

 

こけしについて知らなかったことを、

おかげさまで、たくさん学ぶことができました。

ただ、学んだところで、これらの知識を、

どこかで披露できるタイミングがあるのか、それは謎。

とりあえず、一生分のこけしを見た気がします。

もうしばらくこけしは見なくていいかな・・・という思う思いは言わぬようにします(笑)

星





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