2018年に大阪文化館・天保山で開催されたのを皮切りに、
京都や福岡、秋田、長崎など全国20会場を巡回した展覧会。
そのフィナーレを飾る最終会場として、
上野の森美術館での展覧会が6月26日まで開催されています。
「とんねるずの小さい方」こと木梨憲武さん。
タレント活動や音楽活動をする一方で、
数十年前より、アーティストとしての活動も続けています。
その実力は折り紙付きで、海外でも評価が高く、
ニューヨーク、ロンドンでの個展は大成功だったそう。
そんな木梨さんの近作や新作、
東京会場のために制作された最新作まで、
計200点以上が展示室を埋め尽くしています。
絵画作品もあれば、立体作品もあり、
映像作品やコラージュ作品、ドローイング作品もあり。
モチーフも多岐に渡っており、
花や手をモチーフにした作品もあれば、
富士山や建物をモチーフにした作品もありました。
とても一人の作家が作ったとは思えないほどのバリエーションの豊富さ。
個展ではなく、グループ展を観ているかのよう、
それも世代も性別も国籍もバラバラなグループ展を観ているかのよう。
『木梨憲武1人オールスターものまね王座決定戦』 ならぬ、『木梨憲武1人美術展』でした。
このブログを読まれている方の中には、
“芸能人が趣味で開催している美術展でしょ??”と、
思っている方もいらっしゃることでしょう。
確かに、約200点も作品があるので、それらの中には、
ノリで制作したような印象を受けるものも無くはなかったですが。
キャンバスにペンだけで描かれた作品は、純粋に魅力的でしたし。
抽象画のような作品群は、純粋に目を奪われるものがありました。
お笑いにしても、音楽にしても、
天性の勘の良さを発揮している木梨さん。
おそらく色彩感覚も抜きんでているのでしょう。
どの作品も色のチョイスとその配置が絶妙でした。
しかも、どの作品からも、自然体で描かれているのが伝わってきます。
(実際にはどうやって描かれているかわかりませんが)、
計算に計算を重ねて描いたのではなく、気持ちの赴くままに描いたかのよう。
観ているだけで気持ちがほぐれるものがありました。
ちなみに。
そうしたリラックス効果の高い、
のびのびした印象の作品(?)がある一方で、
目を凝らして観る必要のある労力がかかる大作も。
特に印象に残っているのが、こちらの作品です。
引きで見ると、なんだかよくわかりませんが。
近づいて一つ一つを観てみると、それらが、
商品のパッケージで制作されたキャラクターであるのがわかります。
普通は捨ててしまう商品のパッケージも、
木梨さんの手にかかると、アートになってしまうのですね。
その発想力と、その途方もない作業量には、素直に頭が下がります。
なお、たくさんキャラクターの中に、
懐かしのCMグッズを発見してしまいました。
おそらく、この目は木梨さんでなく、石橋さんの目。
意外なTimingで、とんねるずの久しぶりの競演を観れて、
子どもの頃から、とんねるずで育ってきた自分としては胸アツでした。