先日は、世界的にも珍しい広告専門のミュージアム、アドミュージアム東京へ。
久しぶりに訪れたら、いつの間にか、オリジナルグッズが激増していました。
なんでも、コロナ禍でミュージアムを閉めていた際に、
オリジナルミュージアムグッズ作りに、熱心に取り組んでいたとのこと。
ミュージアムが再開した今もなお、
引き続き、新たなグッズ作りに余念がないとのこと。
ただ、あまりにも、さりげなく販売されているので、
グッズに注目しているお客さんは、そんなにいなかったです。
HPで大々的に紹介するとか、ポップを作って目立たせるとか。
広告すればいいのに。
広告のミュージアムなのだから!
と、それはさておき。
この夏、アドミュージアム東京では、
社会課題に向き合う広告を集めた企画展「Good Ideas for Good」展の第3弾として、
“ほほ笑みをとりもどす世界の広告 ―Good Ideas for GoodⅢ― ”が開催されています。
シリアスな社会課題をテーマにしながらも、
上質なユーモアで解決を試みる姿勢を示す。
そんな国内外の広告コミュニケーション約50作品を紹介する展覧会です。
紹介されている広告コミュニケーションの中には、
2017年度のACジャパンのキャンペーンCM『桃太郎』や、
2020年のゼスプリのキウイのCMといったお馴染みのものも。
他にも、ポカリスエットやそごう西武など、
国内のCMや広告ポスターは多数紹介されていましたが。
個人的にもっともユーモアを感じたのが、
キンチョウこと大日本除虫菊の2020年4月の新聞広告、
「もうどう広告したらいいのかわからないので。」です。
コロナ禍の4月中旬に企画が決まり、
5月初旬に制作されたというこの広告。
掲載日に、世の中の状況がどうなっているのか、
まったく先行き不明だったことを逆手に取って(?)、
その状況次第の6パターンの広告をさらに制作したというもの。
まずこの企画自体がユーモアに溢れていますが、
さらに6パターンどの広告も、ユーモアセンスが光っていました。
特に光っていたのが、こちらの広告↓
ゴキブリムエンダーという商品を使って、
飲食店の営業再開前に、ゴキブリを一掃しようという広告です。
息絶えたゴキブリを見つけるたびに、
この用紙の上に並べていきましょう、とのこと。
・・・・・いや、誰がこんなチャレンジするか(笑)!
さてさて、国外の広告コミュニケーションも、
国内のものに輪をかけ、秀逸なものばかりでした。
例えば、こちらはブラジルで販売されたコカ・コーラ。
ブラジルでは、LGBT+コミュニティを揶揄する言葉として、
「このコーラはファンタ(This Coke is a Fanta)」という表現があるのだそう。
そこで、2018年の国際LGBT+プライドデーを支援するため、
本当にオレンジのファンタが入ったコカ・コーラ缶を限定販売したのだとか。
パッケージには、『このコーラはファンタ。だから何?』と書かれていたそうです。
また例えば、こちらは、カナダのとある食料品店が、
買い物客にエコバッグを持参させようとした取り組み。
なんと、この取り組みの結果、
エコバッグ持参率96%を達成したのだとか。
一体、どんな魔法を使ったのでしょうか?
それは、恥ずかしい店名をあしらったデザインにするというもの。
「Into the Weird Adult Video Emporium(意訳:奇妙なアダルトビデオ店の中へ)」や、
「Dr. Toews Wart Ointment Wholesale(意訳:ドクタートーズのいぼ軟膏卸売)」といった具合に、
持っていると気恥ずかしくなるデザインに変更したのだそうです。
確かに、面白いアイディアですが、
これはこれで貴重なので、逆に貰っておこうという人もいたのでは?
個人的にもっとも印象的だったのは、
イギリスの動物保護組織によるこちらのYouTube動画。
ディズ〇ーのCGアニメ映画を彷彿とさせるタッチで、
ライオンと女性の心温まる交流の模様が描かれるも、
最後の最後で、意外な展開が待ち構えています。
湊かなえさんのイヤミス小説よりも、
イヤミスな結末といっても過言ではありません。
ちなみに。
今展のキーワードである「ユーモア」という言葉は、
体液を意味するラテン語「フモール」に由来しているのだそう。
それゆえ、会場には液体をイメージしたビジュアルが多用されています。
会場の一角には、こんなコーナーも。
画面の前に立つと、自分の体内に、
液状の何かが流れる仕組みになっています。
これも含めて、会場内は写真撮影OK!
それらが広告コミュニケーションとなって、
展覧会が一人でも多くの人に周知しますように。