今年開館15周年を迎える国立新美術館。
それを記念して、現在開催されているのが、
“ワニがまわる タムラサトル”という展覧会。
開館15年目の感謝の展覧会ということもあり、
観覧料はなんと、太っ腹に無料となっています。
ワニがまわる。
その意味深な展覧会タイトルに惹かれ、
入り口を抜けると、そこに広がっていたのは・・・・・・・
文字通り、本当にワニが回っている、
それも大量の色とりどりのワニが回っている光景でした。
全長約12mにもなる大きなワニもいれば、
若干イヌにも見えなくはない小さなワニや、
往年のビジーフォーの海外アーティストモノマネを彷彿とさせるワニ、
ケバブスタイル(?)でまわり続けるワニもいました。
その数、なんと約1100体!
一体、これはどういう状況なのか?
国立新美術館に何が起こっているのか?
ラコステの一社提供でお送りする展覧会??
ついこの間まで、この空間でメトロポリタン美術館展が開催されていましたよね?!
あまりにシュールな光景を目の当たりにして、軽くパニック状態に。
まさしく、ワニワニパニックです。
・・・・・・・・・さてさて。
何よりも気になるのが、
“なぜ、ワニはまわるのか?”ということ。
その問いに対して、作者のタムラサトルさんは、こう答えています。
いや、聞くでしょ、普通?!
まさかまさかの「聞いちゃダメ」。
欽ちゃんばりの「聞いちゃダメ」でした。
タムラさんは、その後にこう続けています。
大学3年の時に「電気を使った芸術装置」という課題があったのだそう。
プランを発表するその日の朝に、
なぜか“ワニがまわる”という絵が浮かんだのだとか。
そうして作られたのが、こちらの緑のワニの作品です。
毎分30回転でワニがまわる。
そのわけのわからなさに、タムラさん自身、
得体のしれないものに出くわしたような強烈な興奮を覚えたのだとか。
かくして、その後も、さまざまなタイプのまわるワニの作品を作ることに。
その結果、「ワニがまわる」ことに意味があるのではなく、
「よくわからないが、なぜかワニがまわっている」という不可思議なこの状況こそが、
作品の面白さの本質であることに気づいたそうです。
だから、理由を考えるのはナンセンス、というわけなのですね。
というわけで。
展覧会場では何も考えず、
頭をぼーっとさせて、ただまわるワニを眺めましょう。
その姿に癒されるかもしれませんし、
何かインスピレーションを受けるかもしれません。
はたまた、何も得るものがないかもしれません。
なぜ、そんな展覧会を薦めるのかって?
その理由は、聞かないでほしいです。
ちなみに。
展覧会の出口付近には、
普通の展覧会ではまず貼られていない、
あの施設のポスターが貼ってありました。
たくさんのまわるワニたちを見て、
本物のワニが見たいなぁと思う人も少なくないはず。
そういう意味では、抜群の広告効果です。
ただ、それだけに、「ワニだけじゃない」と、
なぜ、ワニ以外のものを推しているのでしょうか。
ここは、ワニを推すところですよ。