稲川淳二さんが、夏の季語になっていた。
先日、そんなネットニュースが話題となりました。
稲川さんの口から語られる怪談は、
確かに、もはや伝統芸というべきものがあります。
おそらく、怖くない話でも、あの語り口なら怖く感じられるのでは?
そこで、本日は美術界ではもっともポピュラーなストーリー、
受胎告知のお話を、稲川淳二風にお届けしてみたいと思います。
これはだいぶ昔のことになるんですがね。
3月下旬のちょっと肌寒い日に、
若い女性が、家の中で聖書を読んでいたんですね。
仮にこの女性をMさんとしておきましょうか。
Mさんは聖書を読んでいるんだけど、
文字がスーッ、スーッと流れてしまって、内容が全然入ってこない。
普段はそんなことないもんだから、
変だな~、なんか変だな~って感じるんだけど、
それでも、読書を続けていたんですね。
しばらくすると、家の外から何か音が聞こえてきた。
ひたひたひたひた・・・
足音の主は多分絶対、この家に近づいてきてるんです。
やだな~、やだな~って思ってると、
ひたひたひたっていう足音が、扉の前でパタッと止まった。
そして、次の瞬間。
鍵をかけていたはずの扉がギーッと開いたんです。
怖いな~、怖いな~って思いながら、
そっちのほうに目を向けると、そこに誰かいたんですよ。
Mさんは、その姿を目にするなり、
「こいつ、この世のモノじゃない」と直感したそうなんですね。
そう、そこにいたのは、天使だったんです。
仮にこの天使をGさんとしておきましょうか。
Gさんがスーッと音もなく近づいてきて、
「Mさん。おめでとうございます。
主はあなたと共にいるんですよ。」
なんて、いきなり不可解なことを言うもんだから、
Mさんはジワッと冷たい汗が吹き出して、声も上げられなかった。
すると、それを見たGさんは、
「Mさん、恐れる必要はありませんよ。
あなたは神様から恵みを頂いたんですね。
あなたはイエス・・・仮にJとしておきましょうか。
Jという男の子を身ごもって、生むことになるんです。
そして、Jは偉大な人となるでしょう」
と伝えたんです。
それを聞いたMさんは、
不思議だな~、不思議だな~って思って、
「そんなことあるわけないです」と言い返した。
なぜなら、Mさんには男性経験がなかったんです。
そしたらね。Gさんが言うんですよ。
「聖霊があなたのもとにスーッと舞い降りて、
神様の力があなたをビカビカビカーって包みこむんです。
だから、Jは聖なる者、神の子と呼ばれるんです。
神にできないことは何一つ無いんですよ。」
その言葉を聞いて、
「おい、待てよ。もしかしたら本当に神様の使いなのか?」
って考えたら、Mさんは背筋がゾクーーーッとしましてね。
Gさんに対して、
「アタシは神様の召使いです。お言葉通りになりますように」
って誓ったそうなんですね。
すると、その言葉を聞いた瞬間、
Gさんの姿はスーッと消えてしまったんですよ。
それから、10か月後。
Mさんは本当に男の子を生んだそうです。
あるんですね、こういう不思議なことが。