現在、“ボストン美術館展 芸術×力”が絶賛開催中の東京都美術館では、
ギャラリーA・B・Cにて“フィン・ユールとデンマークの椅子”も同時開催されています。
展覧会は、全3章構成。
まず第1章では、「デンマークの椅子──そのデザインがはぐくまれた背景」と題し、
1930年代から60年代にかけて黄金期を迎えたデンマークの名作家具の数々を紹介しています。
特に圧巻だったのが、ずらりと並ぶ名作椅子の数々。
ハンス J. ウェグナーやアルネ・ヤコブセン、
ヴァーナー・パントンらの名作椅子も当然のようにラインナップされていました。
椅子好きにとっては、まさに夢のような光景。
めちゃめちゃ豪華なひな壇でした。
ちなみに。
名作椅子をフィーチャーした展覧会と言えば、
ちょうど今、同じ都立美術館である東京都現代美術館でも、
“ジャン・プルーヴェ展 椅子から建築まで”が開催されています。
2館で併せて開催しているのかと思いきや、
たまたま同じタイミングで、かぶっているだけとのこと。
ちなみにちなみに。
名作椅子と言えば、名作椅子の数々が、
表紙のデザインに登場する『SPY×FAMILY』が、今大人気!
その人気にあやかって、企画された展覧会なのかと思いきや、
これもまた、たまたまこのタイミングで開催されているだけとのこと。
いろいろな偶然が重なって、すわりのいい感じになっている展覧会です。
と、それはさておき。
展覧会の第2章でようやく、
本展の主役、フィン・ユールが登場します。
もともとは美術史家を目指していたというフィン・ユール。
しかし、父親の反対もあって、
アカデミーでは建築を学習したそうです。
家具デザインは独学で学び、
1937年に家具デザイナーとしてデビューしました。
そのデザインの特徴はなんといっても、有機的なフォルムにあります。
その特異な曲線から、「彫刻のような椅子」とも評されるフィン・ユールの椅子。
ダダイズムを代表する彫刻家、
ハンス・アルプの影響も大いに受けているそうです。
そんなフィン・ユールの代表作にして、
デンマークを代表する椅子にも挙げられるのが・・・・・
こちらの《イージーチェア No.45》。
人呼んで、「世界で最も美しい肘をもつ椅子」です。
極限まで削り込まれた美しい曲面は、まさに芸術的。
思わず、右ひじ左ひじ交互に見てしまいました。
ちなみに。
個人的にもっとも印象に残ったフィン・ユールの椅子が、こちら↓
その名も、《ジャパン・チェア》。
どの辺がどう、ジャパンなのでしょう?
温泉旅館の窓際のスペースに置いてある椅子みたいな感じだから??
美しいは美しいのですが、座椅子のようにも見えて仕方ありませんでした。
さてさて、名作椅子の数々を観ていたら、
どうしたって、実際に座りたくなってしまうものです。
そんな座り欲(?)を満たしてくれるのが、最後の展示室。
こちらに展示されている椅子は、
なんと実際に座ることが可能となっています。
身体を休めることもできるし、
座り心地を実体験することもできるし。
一石二鳥な展示空間です。
目だけでなくお尻でもデンマークデザインが味わえる展覧会でした。