兵庫県立美術館に行ってきました。
本来なら、建物の屋上に美術館のシンボルというべき、
オランダ人アーティスト、フロレンティン・ホフマンによるカエルのオブジェ、
通称、「美かえる」があるはずなのですが。
この日はなんか萎んでました。。。
カエルも干からびる夏。
世界でいちばん熱い夏です。
さて、それはさておき。
美術館の建物を設計したのは、
“世界のANDO”こと安藤忠雄さん。
「美かえる」がいる(いた?)大通りに面した側の外観よりも、
反対の海側からの外観のほうがダイナミックで、安藤建築感をより感じます。
山側の景色を眺めるためだけに作られた「山のデッキ」や、
安藤忠雄さんが制作した青いりんごのオブジェが映える「海のデッキ」などなど、
実に建築的見どころの多い建物でした。
安藤建築ファンならずとも、
一度は観ておきたい美術館建築といえましょう。
さて、そんな兵庫県立美術館は、
今年2022年にめでたく開館20周年を迎えました。
それを記念して現在開催されているのが“関西の80年代”という展覧会です。
お笑い界に、ダウンタウンさんが彗星のごとく現れたように、
80年代の関西では、活きのいい若手が続々と現れたのだそう。
20代を多く含むそれらの若手は、
「関西ニューウェーブ」として注目を集めていたのだとか。
ちなみに、この当時、関東に比べて、
関西のほうが勢いもあり、表現も個性的であったことから、
現代美術は、「西高東低」と言われていたそうです。
(↑誰が上手いことを言えとw)
今展で紹介されているのは、
そんな80年代に関西で発表された作品の数々。
意図的にそういう作品を選んでいるのか。
それとも、関西の80年代の作品は全体的にそういうものだったのか。
『80年代は過去じゃない。』というキャッチコピーがしっくりくるほど、
2022年の現代美術展に出展されていても、まるで違和感ない作品ばかりでした。
おりしも、今Z世代の間で、
懐かしくて新しいと80年代がブームなのだそう。
この展覧会を機に、美術界にも、
80年代ブームがくるかもしれませんね。
ちなみに。
出展作家は数多くいましたが、
そのうち名前を知っていたのは、たった3名だけでした。
関西の80年代、未知数にもほどがあります。
3名のうち1人は、辰野登恵子さん。
それから、関西と言えばこの人、森村泰昌さん。
そして、十和田市現代美術館の初代館長を務めた藤浩志さん。
ただし、80年代から作風がほぼ変わっていない辰野さんと森村さんと比べて、
壊れたおもちゃを使って作品を作る近年の作風と80年代の藤さんの作風は全然違いました。
同姓同名の別人かと思ってしまったほど。
さて、ここからは、今回出展されていた作品の中で、
特に印象的だったものをいくつかご紹介いたしましょう。
まずは、中谷昭雄さんによる3作品。
タイトルは手前から《Passage》、《Pass age》、《Pas sage》だそうです。
キャンバスを折りたたむことで、
布の裏と表が、同時に絵の表になっています。
いや、でも、その前に、絵というのは普通、
壁に対して、平行に展示するわけですよね。
つまり、大きな四角い面は側面であって、
正面の画面は、この細い隙間ということになりそうです。
絵画って何かね??
考えれば考えるほど、
夜も眠れなくなる作品です。
続いては、栗岡孝於さんの《Nature of Nature》。
一見すると、パッションで描いているような、
勢い任せでフィーリングで描いているような感がありますが。
むしろその逆で、ルールを明確に決めて、
システマティックにコツコツと描いて完成させているのだとか。
解説には、そういった絵の画面の説明しかなかったのですが。
個人的に気になって仕方なかったのが、この作品の設置の仕方でした。
見たことない器具で、ジャッキアップさせるように、
壁から距離を取った状態で作品が設置されていました。
細身の人だったらギリ通り抜けられるかも。
何でこのスペースを作りたかったんでしょう??
最後に紹介したいのは、田嶋悦子さんによる陶の作品。
タイトルは、《Hip Island》。
そう、お尻をモチーフにした作品です。
オブジェのいたるところに、お尻が見て取れます。
『コロコロコミック』で目にするタイプのお尻です。