この夏、大阪中之島美術館では、
質、量ともに史上最大規模の岡本太郎展が開催されています。
その名も、“展覧会 岡本太郎”です。
「史上最大のTARO展」と言い切るだけあって、
出展作品のラインナップは、めちゃくちゃ豪華!
《夜》や《重工業》といった初期の傑作はもちろんのこと、
《明日の神話》の原画や、
死の間際まで描かれていたという絶筆《雷人》など、
岡本太郎の代表作はすべて、
取りこぼしなく網羅されていました。
また、絵画だけでなく、立体作品も大充実。
太郎さんが手掛けたアイテムも、大充実していました。
まさに、自他ともに認める、
「史上最大のTARO展」でした。
これを超える岡本太郎展を開催するのは、
実際問題として、不可能なのではなかろうか。
この展覧会を観てしまうと、
今後「史上最大のTARO展」がまたあったとしても、
「何だ、これは!」とガッカリしかねない気がします。
さて、展覧会の見どころは多々ありますが、
まずは何と言っても、初期の代表作の一つ、《露店》でしょう。
どこかシュルレアリスムを彷彿とさせる作風です。
いい意味で、岡本太郎らしさが全くありません。
こちらは、太郎さん自身が1983年に、
グッゲンハイム美術館に寄贈した作品です。
寄贈後初となる里帰りで、日本での公開は約40年ぶりとなります。
もともとはパリ滞在中の1930年代に描かれましたが、戦火により焼失。
戦後になって、太郎自身によりって再制作された作品です。
この《露店》以外にも、戦後に太郎さんが、
再制作したパリ時代の作品は3点ありますが。
今回の展覧会では、その計4点すべてが集結しています。
さらに、今展の目玉というべき作品が、こちら!
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太郎さんの作品にしては、地味だなと思った方も多いことでしょう。
太郎さんの作品にしては、薄味だなと思った方も多いことでしょう。
太郎さんの作品にしては、貧相だなと思った方も多いことでしょう。
実はこれら3点の作品は、
これまで存在が確認されていなかった1930年代の太郎作品なのです。
(前述した通り、1930年代の作品はすべて戦禍で焼失したと思われていたため)
時は1993年に遡ります。
とあるフランス人デザイナーが、パリのアトリエの集積所で、
捨てられていたゴミの中から作者不明の絵画1点を見つけました。
この絵はただものではないと直感した彼は、
絵のもとの持ち主であった画家の遺品の中にも、
同様の絵が2点あることを突き止めます。
それらの遺品が、フランス政府からの委託で、
オークションにかけられた際に、2点を無事に落札。
そのうちの1点に漢字で「岡本太郎」と署名があったことから、
岡本太郎の初期の真筆だと信じて、大事に保管していたそうです。
そして、月日が流れて現在。
この展覧会のために、初めてこの3点を科学調査したところ、
「99%の確率で岡本太郎の作に間違いない」ということが判明。
こうして晴れて、貴重な幻の初期作が公開される運びとなったのです。
ただ、これはもう僕の想像でしかないですが、
おそらく太郎さん自身、この作品はそんなに思い入れがないのかと。
というか、むしろ納得がいかなかったので、
捨てたか、あるいは誰かにあげたのではないかと。
そう考えると、こんな風に大々的に、
仰々しく展示されて、太郎さんも恥ずかしがってるのでは?
羞恥心は、爆発だ!
余談ですが。
展覧会はもちろん充実していましたが、
グッズコーナーも輪をかけて充実しています。
オリジナルグッズを買い求める人で、
グッズコーナーは大変賑わっていました。
物欲も、爆破だ!