たばこの価格は、どんどん値上がりしていますが。
たばこと塩の博物館の入館料は、
今もなお、100円のままで据え置きです。
そんな懐に優しい美術館で、現在開催されているのが、
“ヴィンテージライターの世界 炎と魅せるメタルワーク”という展覧会。
たばこを吸う上で必要不可欠なライターに焦点を当てた展覧会です。
19世紀後半以降、さまざまな着火具が開発されたそうですが、
欧米でオイルライターの製造が本格化し、普及したのは1920年代とのこと。
以来、まさに火が付いたように、
世界各地で多種多様なライターが生まれました。
展覧会では、たばこと塩の博物館の所蔵品の中から、
貴重なヴィンテージライターの数々が紹介されています。
まずは、ライターといえば、イギリスのダンヒル。
紳士的でダンディーなライターというイメージがありましたが。
女性向けの口紅と手鏡付きのライターや、
水槽を再現したタイプのライターも過去には作っていたようです。
続いて紹介されていたのは、アメリカのロンソン。
金工品メーカーを前身とするだけあって、
メタリックな質感を生かした装飾を得意としています。
それだけに、こういったオーソドックスなライターも制作していますが。
金属加工の技術をめいっぱい活かして・・・・・
ペンにしか見えないライターも制作しています。
その名も、ペンシライター。
なんだか、ドラえもんの秘密道具みたいなネーミングです。
アメリカのメーカーと言えば、エバンスも。
もともとは、ヴァニティケースや、
ハンドバッグを製造していただけあって、
婦人向けの優美で華やかな造形が特色的です。
一見すると、香水瓶のよう。
これがライターだとは、誰が信じられましょうか。
ちなみに、こちらもエバンス製のテーブルライターです↓
サザエさんのオープニングに出てくる果物のよう。
でも、中から飛び出すのは、
サザエさんやタマではなく、着火具です。
へぇ~。この時代には、こういう需要があったのですね。
ジェネレーションギャップのようなものを感じました。
他にも、いろいろなメーカーのライターが紹介されていましたが。
ライターといえば、やはりこのメーカー。
1932年にアメリカで創業したジッポーです。
アメリカの国民的ライターと言っても過言ではなく、
ベトナム戦争の際には、アメリカ軍はジッポーを採用し、
兵士たちにジッポーを支給したのだとか。
そんな歴史的なライターも、今展では出展されています。
ところで、日本のライターは、
一体、どんな感じだったのでしょうか?
戦後になると、軍需用に保管されていた金属が、
材料として転用できるようになり、大量に作られるようになったそうです。
ただ、どれも海外のメーカーを、
それっぽく模したライターばかり。
オリジナリティはそこまで見受けられませんでした。
しかし、技術立国ニッポン。
デザインで欧米に敵わずとも、日本のライターメーカーは、
安価な電子式ポケットライターを生み出し、急成長を遂げたそうです。
知ってるようで、全然知らなかったライターの世界。
たばこを吸う習慣がないため、
ライターを欲しいと思ったことは、
これまで一度もありませんでしたが。
この展覧会を機に、工芸品として集めてみたくなりました。
もし、会場にあるライターの中から、
どれでも一つあげるよと言われたら(←絶対に言われない!)。
アートテラー的には、レンブラントの《夜警》が、
表面にデザインされたこのライターを選ぼうかと思います。
芸人的には・・・・・
↑こういった面白ライターを、
選んだほうがイイのでしょうが。