東京都美術館、京都市美術館に次いで、
日本で3番目の公立美術館として開館した大阪市立美術館。
2026年に開館90周年を迎える前に、
大規模な改修工事が行われることとなり、
9月26日より、長期休館に入るそうです。
そんな大阪市立美術館が所蔵する、8500件を超えるコレクションの中から、
選りすぐりの名品たちを紹介する展覧会が、サントリー美術館で開催されています。
その名も、“美をつくし―大阪市立美術館コレクション”。
大阪市立美術館のコレクションが館外で、
まとまった形で紹介されるのは、意外にも今回が初めてとのこと。
仏教美術コレクションや近代日本画コレクションなど、
大阪市立美術館コレクションの柱となる逸品が一堂に会しています。
出展数は、実143件(会期中展示替えあり)。
それらのラインナップの中には、
記念すべき第1号のコレクションも。
こちらが、その作品↓
橋本関雪の《唐犬》です。
タイトルは、唐の犬とありますが、
描かれているのは、ボルゾイとグレーハウンド。
つまり、洋犬です。
なんでも関雪は制作のために、
たくさんの動物を飼っていたようで、
洋犬も30頭近く飼っていたのだとか。
そんなにも犬を飼っていたとは!
美術界の坂上忍です(←?)。
また、国内屈指の中国美術コレクションでも知られる大阪市立美術館。
本展にもそれらの名品の数々が、
惜しげもなく、出品されていました。
こちらの《青銅 饕餮文斝》は、紀元前14~11世紀に作られた青銅器。
今回の出展作の中で、
もっとも古くに作られた作品です。
長い歴史を重ねているため、
当然ですが、それなりに風格を醸し出しています。
が、しかし!
取っ手にあるとぼけた顔が、
その風格を帳消しにしています(笑)
そういう、ゆるキャラにしか見えなくなってきました。
ゆるキャラといえば、後漢時代、
1~2世紀に作られた《青銅鍍金銀 仙人》も。
実際に、本物の仙人は見たことがないですが。
僕がイメージする仙人は、
長髪で髭も長く、白い服を着ています。
で、「フォッフォッフォッ」と笑います。
その姿とは、だいぶかけ離れた姿の仙人。
誰なんだ、お前は!
これは仙人というよりも、宇宙人です。
もしくは、初期の『ドラゴンボール』に登場するキャラクター。
「これくらいの魚、釣ったんスよ。マジっスよ。」 とか言ってそうです。
他にも、ピースしているように見える仏像や、
尾形乾山が兄である光琳に対して、
貸していたお金を催促するべく書いた手紙など、
貴重ながらも、思わず「ナニコレ!」と、
声をあげたくなるコレクションの数々が出展されていました。
サントリー美術館の学芸員さんも、
作品に対していろいろ思うところがあったようで。
要所要所で、『なにコレポイント』を紹介しています。
大阪市立美術館には何度も足を運んだことがありますが。
特別展がメインの目的だったため、
常設のコレクション展は、そこまでしっかり見た記憶がなく・・・。
いやはや、こんなにも充実したコレクションを所蔵した美術館だったとは!
反省も込めての3つ星。
2026年に再開した暁には、
常設展を目的に訪れたいと思います。
ちなみに。
展覧会のラストを飾るのは、根付コレクション。
これらはすべて、スイス人実業家U.A.カザール氏によって寄贈されたもの。
どれもこれも小さいながら、精巧に作られています。
「かわいい~」という言葉が、
つい口を出てしまう根付もありましたが、
全体的には、「ナニコレ!」なテイストの根付が多かったような。
カザール氏はちょっと変わった趣味だったのでしょうか。
なお、中には、「ナニコレ!」を通り越した(?)根付も。
ヨガをする達磨に、
リボンを付けたスズメに。
なんそれ!