現在、PARCO MUSEUM TOKYOで開催されているのは、
“Kotao Tomozawa Solo Exhibition SPIRALE”という展覧会です。
現役藝大生ながら、個展を開けば作品は即完売。
今もっとも注目を集める22歳の新星・友沢こたおさんの個展です。
友沢さんの描く絵画はどれも、
一目見たら忘れられない強烈なインパクトがあります。
フランシス・ベーコンを彷彿とさせるような。
女性の顔面が意図的に歪められているようです。
が、実は、これは歪んでいるのではなく、
顔面にスライムを被っている姿を描いたもの。
シュルレアリスムではなく、レアリズムな作品なのです。
ちなみに、モデルを務めているのは、友沢さんご自身。
大学に入学したばかりの頃、
無意識に自宅にあったスライムを顔から被った際に、
生きている実感がして、とても気持ちが良かったのだそう。
その強烈な体験から、スライムをモチーフにした作品を制作し続けているそうです。
なお、スライム自体も自分で制作しているとのこと。
色はもちろん、粘度にもバリエーションがあるそうです。
さて、そんなスライムをよくかぶっているもう一人のモデルが、この子。
赤ちゃん人形で、名前は「ルキちゃん」とのこと。
会場には、大画面でアップに描かれたルキちゃんや、
パステルカラーのスライムをかぶったルキちゃんに加えて、
立体のルキちゃんも登場していました。
それも、5体も!
「可愛い 2」に対して、
「不気味さ 8」といった割合でしょうか。
見れば見るほど、心がゾワゾワするものがありました。
ゾワゾワするなら目を逸らせばいいのですが、
ついつい見続けてしまう不思議な引力があります。
で、気づいたら、すっかり友沢作品が頭の片隅にこびり付いていました。
もしくは、目に見えないスライム状の何かに、
自分の顔面を覆われてしまったのかもしれません。
そう感じてしまうくらいに、強烈に絡みついてくる作風です。
彼女の作品の何がそこまで惹きつけるのか。
その描写力や色彩感覚の巧みさはもちろんあるとして。
スライムを顔に乗せるという背徳感や、
どこか官能的でアブノーマルな感じが、本能をくすぐるような気がします。
また、実際にスライムを顔に乗せた経験はなくても、
もし乗せたら、こんな風に感じられるのだろうと、絵から伝わってくるのもポイント。
ASMRな絵画です。
ちなみに。
こちらの行列は・・・・・
エディションシルクスクリーン作品と、
作品集『KOTAO』の特装版の抽選販売にエントリーする人々の列。
どちらも決して安くない価格ですが、
次から次へと人が集まり、列をなしていました。
印象的だったのは、若い方だけでなく、年配層の方も並んでいたこと。
老若男女問わず、惹きつけられるものがあるのですね。
改めて、友沢こたお人気を実感させられました。
彼女のこれからの活躍にも期待です。