天王洲のWHAT MUSEUMでは、現在、
“「Mariage −骨董から現代アート−」展”に引き続き、
長年に渡り、ファッションビジネス携わってきた、
桶田俊二・聖子夫妻によって収集されたアートコレクション、
通称OKETA COLLECTIONを紹介する展覧会が開催されています。
その名も、“YES YOU CAN −アートからみる生きる力−”です。
なお、この『YES YOU CAN』の文字も、アート作品。
1978年アメリカ生まれで、
国際的に活躍する女性アーティスト、
ジュリア・チャンによる陶で作られた作品です。
色合いや風合いは、女性らしく柔らかな印象なのですが。
磁石やフックなどで壁に付けているわけでなく、
実は、それぞれの文字は、釘で直接壁に打ち付けられています。
ワイルドだろぉ?
ちなみに、余談ですが、
ジュリア・チャンの夫はKAWSだそうです。
さてさて、そんなジュリア・チャンを含め、
本展にはOKETA COLLECTIONの中から、
全部で25人のアーティストの作品が出展されています。
それらの中には、今世界が注目する若手作家・山下紘加さんや、
今年2022年のVOCA賞を受賞した川内理香子さん、
近年は海外での活動が中心となっているロッカクアヤコさんの作品も。
他にも、パステル調の陶作品で知られるジェネシス・ベランジャーや、
半立体的な風景画を描く若手作家、鍵岡リグレアンヌさんの作品も出展されていました。
と、ここまで紹介してきた作家の顔ぶれで、
ピンと来た方もいらっしゃるかもしれませんが。
本展で紹介されている25名の作家は、すべて女性作家です。
そういう時代・・・なのでしょうか。
ちなみに。
写真撮影は不可でしたが、その25名の中には、
桶田ご夫妻が現代アートに目覚めるきっかけとなった、
草間彌生さんの作品も含まれています。
その中には、松本市美術館が所蔵するものと同サイズの、
つまり、現時点で最も大きな《南瓜》の平面作品もありますよ。
今回紹介されていた作家の中で、特に印象に残っているのが、
1993年イギリス生まれのジャデ・ファドジュティミという抽象画家です。
なんと昨年、史上最年少となる27歳で、
テート・コレクションに作品が収蔵されたとのこと。
それを知った上で改めて作品を観てみたら、
何やらとてつもない作品のように思えてきました(←単純なものです)。
画面からモチーフが飛び出してくるような、あるいは、奥行きが感じられるような。
平面なのに、3D空間のように感じられる。
そんな新感覚の抽象画であったことは確かです。
鑑賞するというよりも、体感する抽象画といった感じでした。
それから、今年のVOCA奨励賞を受賞した、
近藤亜樹さんの作品群も強く印象に残っています。
圧倒的な色遣い。
画面から溢れ出る色彩のシャワーに、
思わず、飲み込まれそうになりました。
飲み込まれるだけならまだしも、溺れそうになりました。
近藤さんの作品は数点紹介されていましたが、
その中でも個人的にお気に入りなのが、こちらの《ネバーランド》。
冷静に考えると、なんだかよくわからない情景ですが。
そんなことを吹き飛ばしてしまうくらいに、
底抜けにポジティブで、ハッピーなオーラが漂っていました。
よくバラエティー番組などで、
不適切なシーンの差し替えの際に、
お花畑の映像に「しばらくおまちください」とテロップが出ますが。
そのお花畑の映像を、この絵画に変えたいくらいです。
テレビを見てる人が、皆優しい気持ちになれる気がします。
最後に。
本展で一番気になった作品をご紹介。
アメリカ生まれのキャサリン・バーンハートによる絵画作品です。
タイトルは、《E.T Matcha ice cream + Sacai》とのこと。
E.T.と抹茶アイスクリームを組み合わせた理由が、サッパリわからず。
しかも、そこにSacai。
三題噺的なことなのでしょうか。