現在、箱根の彫刻の森美術館で開催されているのは、
“飯川雄大 デコレータークラブ 同時に起きる、もしくは遅れて気づく”という展覧会。
近年活躍が目覚ましい現代美術家の一人、
神戸市出身の飯川雄大さんの関東圏では初となる展覧会です。
彫刻の森美術館での現代アート展は、
コロナ禍以降、実に約4年ぶりの開催とのこと。
一体、どんな展覧会なのか。
ワクワクしながら、敷地に入ると、
意外な光景が飛び込んできました。
敷地内に張り巡らされた無数のロープ。
しばらく美術館を訪れないうちに、
ジップラインが出来るようになったのでしょうか?
家族連れやカップルに特に人気の高い美術館ゆえ、
そういったアクティビティが導入されていても不思議ではありません。
そんなロープの先を辿っていくと・・・・・
本展の会場らしき建物に辿り着きました。
なるほど。ジップラインではなく、
このロープも作品の一部だったわけですね。
さて、建物の中に入ると、館内もやはり、
無数のロープが張り巡らされていました。
さらに、床には無造作にリュックサックが置かれています。
誰かの忘れ物かと思いきや、実はこちらは作品です。
タイトルは、《デコレータークラブ―ベリーヘビーバッグ》とのこと。
その名の通り、とてもヘビーなバッグです。
持ち上げようとすると、見た目とのギャップに、思わず足がよろけます。
腰に不安がある方は絶対に持ち上げないほうがよいでしょう。
持ち上げたところで、特に何かが起こるわけでもないので。
ただ、バッグが重いという、
プチドッキリのような作品です。
ちなみに。
このベリーヘビーなバッグは、
美術館内に全部で6つあるとのこと。
誰かの忘れ物のように見えますが、
あるいは不審物のように感じられるかもしれませんが。
見つけたところで、美術館のスタッフさんに報告しないで大丈夫です。
そうそう!
バッグのせいで一瞬忘れそうになっていましたが。
あのロープは、一体何だったのでしょう?
何やらハンドルのようなものがあったので、
とりあえず目についたものを回してみることにします。
すると・・・・・・
ハンドルの動きに合わせて、
壁際のリュックが上がっていきました。
それだけ。
ただ、それだけ、なのですが、謎の感動がありました(笑)
なお、ハンドルはまだ他にもあります。
それらは館外のロープと繋がっていて・・・・・・
ハンドルから遠く離れた場所で、
ハンドルと連動して何かが起こる仕組みとなっています。
リュックが持ち上がる以外のことが起こりますが、それは実際を見てのお楽しみ。
ハンドルを回したアクションの結果が、回した本人ではなく、
たまたまその場にいた人しか見れないというのが、この作品のキモ。
鑑賞者だったはずの人が、
知らず知らず発信者になっており、
誰か新たな鑑賞者を生んでいるというわけです。
(あるいは、誰にも気づかれていない可能性も大)
さてさて、本展にはもう一つ、壮大な作品が用意されています。
飯川雄大の代表作ともいうべき、「猫の小林さん」です。
これまで、森美術館でのグループ展をはじめ、
たびたび発表されてきたピンクの猫の小林さん。
スマホで全身像を撮ろうとしても、
小林さんの全身像は、どう頑張っても撮影できず。
必ずどこかが見切れてしまうのです。
すぐ目の前にいるのに、本当の姿を捉えることが出来ない。
そんなもどかしい気持ちにさせる作品です。
これまで、室内の展示では一度も、
小林さんの全身像を写真に捉えることはできませんでしたが。
今回は野外展示とのことなので、
室内よりは、難易度が下がっている気がします。
絶対に全身像をおさめてやる!
そう意気込んで、小林さんに挑みましたが・・・。
いや、絶対に無理やん!!
すぐ目の前に木があるなら、
それは隠れるに決まってるやん。
取材ということで、美術館の許可を特別にもらって、
小林さんの真下からの撮影もチャレンジしてみましたが・・・。
やっぱり全身を1枚の写真に収めるのは不可能でした。
無理ゲーにもほどがあるだろ。
ちなみに。
箱根に現れたこの小林さんは、
過去最大規模となる高さ約15mを誇ります。
ニキ・ド・サンファルの《ナナ》が小さく感じられるほどのバカでかさです。
これまでは板状の姿をしていましたが、
さすがに、15mの高さでは実現不可能とのことで、
初となる風船タイプの小林さんになったそう。
とはいえ、それでも約400㎏の重さがあるため、
風速5mを超えると、安全のため、小林さんは萎ませるそうです。
なので、小林さんの姿を是非観たいという方は、
美術館を訪れる前に、公式HPをチェックされることをオススメします。
トップ画面で、以下のような形で、
今日の小林さん情報が掲載されているようです。
「STAP細胞は、あります」みたいな感じで言われても(笑)