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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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ピカソ 青の時代を超えて

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今年開館20周年を迎えるポーラ美術館では現在、

その記念展第2弾として、“ピカソ 青の時代を超えて”が開催されています。

 

 

 

展覧会の主人公はもちろん、

20世紀最大の画家パブロ・ピカソ。

展覧会の冒頭では、彼の長い画業の原点ともいうべき、

ブルーピリオドこと「青の時代」の作品の数々が紹介されています。

大人の事情で作品画像は掲載できませんが、

それらの中には、バルセロナ・ピカソ美術館の《青いグラス》や、

アート・ギャラリー・オブ・オンタリオの《スープ》といった海外から来日した作品も。

さらには、青の時代の傑作の一つ、

《鼻眼鏡をかけたサバルテスの肖像》も来日しています。

この空間だけでも、ポーラ美術館の本気度が伝わってきました。

 

ちなみに。

青の時代の傑作と言えば、もちろん、

ポーラ美術館が所蔵する《海辺の母子像》も出展されています。

 

 

 

また、展示空間の一角に設けられた「青の時代ラボ」なるコーナーでは、

最新の科学調査で判明した《海辺の母子像》の最新情報も併せて紹介されていました。

 

青の時代のピカソは、20歳を過ぎたばかりの駆け出しの画家。

それゆえ、お金がなく、たびたびカンヴァスを再利用していたそう。

最新の光学調査でこの絵を調べたところ、

下の層から、子どもの絵や自画像らしき絵など、

何層も塗り重ねられていることが判明したそうです。

さらに、絵の表面からパリの日刊紙、

『ル・ジュルナル』(1902年1月18日付)の紙面の文字も見つかったのだとか。

そう聞いたところで、僕なんて、

「ふーん。そうなんだ」くらいにしか思いませんでしたが。

研究者の推理力は、古畑任三郎並で、

この証拠から、こんな真実を導き出したそうです。

 

 えー、絵画の表面から見つかったのは、パリの新聞でした。

 つまり、この絵は1902年にパリで制作されたということを示しています。

 さらに、新聞が表面に付いていたということは、

 その時、絵の具はまだ乾ききっていませんでした。

 そう、ピカソはバルセロナに持ち帰るため、

 描いたばかりのこの絵を新聞紙で覆ったのです。

 えー、これが新聞がくっ付いていた真相です。

 

こんな口調だったかは、さておきまして。

研究者の皆様の地道な調査と、

わずかな証拠から真実を探り当てる姿勢に感銘を受けました。

 

 

と、この「青の時代」の展示空間だけで、

十分すぎるほど見ごたえがあったのですが。

青の時代が、ピカソの画業のほんの一部であったように、

今回のピカソ展においても、その序章にしかすぎませんでした。

展覧会ではさらに、バラ色の時代、キュビスムの時代、

新古典主義の時代、シュルレアリスムの時代のピカソを紹介。

 

 

 

日本全国の美術館が所蔵する主要なピカソ作品が一堂に会していました。

それらの中には、東京国立近代美術館蔵の《ラ・ガループの海水浴場》も。

 

 

 

実はこちらの絵画は、ピカソ自身が出演する、

ドキュメンタリー映画『ミステリアス・ピカソ天才の秘密』にも登場。

 

 

 

展覧会では、その映画の登場シーンと併せて紹介されています。

(映画は特設されたスペース内で上映されています)

 

 

 

また、個人的に胸アツだったのは、

僕の推し美術館であるDIC川村記念美術館の《シルヴェット》と、

ポーラ美術館の《シルヴェット・ダヴィット》とが初対面を果たしていたこと。

 

 

 

パッと見、同一人物感は無いですが、

かろうじて、髪型が一緒なのはわかります。

お互いがお互いを、不思議なものを見るような目で見ていました(笑)

 

 

サブタイトルに“青の時代”とあったので、

「青の時代」にスポットを当てた展覧会なのかと思いきや。

青の時代を超えて、最晩年の作風になるまで。

そのピカソの長い画業の軌跡を丹念に紹介する展覧会でした。

20周年を記念するに相応しいスペシャルな展覧会です。

星星星

 

 

なお、同時開催中のコレクション展では、

モネにルノワールにゲルハルト・リヒター…etcに、

ピカソ以外の名品が惜しげもなく展示されています。

 

 

 

さらに、「青の時代」に関連して、

青をテーマにしたコレクション展も開催中です。

 

 

 

最後に、若い皆様に朗報です。

「青の時代」にちなんで、現在ポーラ美術館では、

「青の時代」前後のピカソと同年代、つまり24歳までの方は無料で観覧できるそう。

(注:年齢確認ができる身分証明書が必要となります)

若い皆様、このチャンスを機に、

おもいきって、気になる人を誘って、

ポーラ美術館を訪れてみてはいかがでしょうか?

そして、ついでに箱根観光も。

アオハルかよ。

 

 

 

 

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