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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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古美術逍遙―東洋へのまなざし

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現在、泉屋博古館東京では、

リニューアルオープン記念展第3弾として、

“古美術逍遙―東洋へのまなざし”が開催されています。

 

 

 

こちらは、泉屋博古館が所蔵する3500件超のコレクションの中から、

日本画や中国絵画、仏教美術などの古美術の名品を紹介する展覧会です。

星星

 

それらの中には、伝 閻次平《秋野牧牛図》

 

国宝 伝 閻次平《秋野牧牛図》 南宋時代 13世紀 泉屋博古館蔵

 

 

平安時代の《線刻仏諸尊鏡像》といった国宝や、

 

国宝 《線刻仏諸尊鏡像》 平安時代 12世紀 泉屋博古館蔵

 

 

《佐竹本三十六歌仙絵切 源信明》をはじめとする重要文化財など、

 

重要文化財 《佐竹本三十六歌仙絵切 源信明》 鎌倉時代 13世紀 泉屋博古館蔵

 

 

貴重な美術品が数多く含まれています。

さらに、国宝や重要文化財ではない、

ノーマーク(?)な作品にも、見逃せないものが多数!

 

例えば、雪舟の《漁樵問答図》

「日本雪舟」とのサインがある現存唯一の雪舟作品だそうです。

 

雪舟《漁樵問答図》 室町時代 15世紀 泉屋博古館蔵

 

 

あまりにシンプル過ぎて、

一瞬何が描かれているのかよくわかりませんが。

観続けていると、山々や川など、

じわじわ景色が立ち現れてきます。

中央に描かれているのは、

向かい合っている漁師と木こりとのこと。

そう言われると、そのようにしか見えなくなるのが不思議なものです。

 

 

また例えば、伊藤若冲の《海棠目白図》

 

伊藤若冲《海棠目白図》 江戸時代 18世紀 泉屋博古館蔵

 

 

9羽のメジロが海棠の枝の上で、

その語源にもなった「目白押し」をしています。

よく観ると、その左下に、

目白押しに不参加のメジロが1匹。

団体行動が苦手そうなこのメジロは、

ひたすら絵の世界に没頭した若冲自身なのかもしれませんね。

 

 

また絵画作品以外で見逃せないのが、《小井戸茶碗 銘 六地蔵》。

 

《小井戸茶碗 銘 六地蔵》 朝鮮時代 16世紀 泉屋博古館東京蔵

 

 

小堀遠州愛蔵の茶碗として、

数寄者たち垂涎の井戸茶碗とのこと。

京都伏見の六地蔵で入手されたので、六地蔵という銘なのだそうです。

ネーミングの理由はこれ以上ないくらいに普通ですね。

と、それはさておき。

この天下の名碗は、明治23年に、

住友家12代当主が購入したのですが。

その価格があまりにも高すぎたため、それを知った家のものが、

売立に来た業者を以後長い間、出禁にしたという逸話が残っているそうです。

 

 

他に出展されていた作品の中で、

個人的にもっとも印象に残っているのが、

東京では初公開となる北魏時代の《弥勒仏立像》

 

重要文化財 《弥勒仏立像》 北魏時代・太和22年(498) 泉屋博古館蔵

 

 

仏像と言えば、アルカイックスマイル。

見ているだけで、心が落ち着くような、

柔和な微笑みを湛えているものが一般的ですが。

この《弥勒仏立像》の笑顔にいたっては、

見れば見るほど、心がざわざわするものがあります。

ジョーカーの笑い方を彷彿とさせるものがありました。

 

 

それから、もう一つ印象的だったのが、

明代末期から清代初期の画家・八大山人の《安晩帖》

 

重要文化財 八大山人《安晩帖》 清時代・康煕33年(1694) 泉屋博古館蔵

 

 

あの国民的歴史小説家・司馬遼太郎に、

「京都にある第一等の美術品」とまで言わしめた逸品です。

もちろん、《安晩帖》そのものも印象的でしたが、

それ以上にインパクトがあったのが、キャプションの解説文。

 

 

 

《安晩帖》への溢れる想いが、

ほとばしってしまったのでしょう!

文体が神田伯山の講談みたいになっていました(笑)

 

 

ちなみに。

他にも独特の語り口の解説がありましたが。

清時代の画家・華嵒(かがん)による《鵬挙図》に対しては・・・

 

 

 

「鵬(=想像上の鳥)の下の賛、

はたして場所はそこでよかったのか。」と、

賛を書き入れる位置に苦言を呈していました(笑)

まぁ、でも、確かに。

 

 

 

賛の位置が、なんとなく残念な感じ。

人望が無いヤツの寄せ書きみたいです。

 

 

 ┃会期:2022年9月10日(土)~10月23日(日)
 ┃会場:泉屋博古館東京
 ┃https://sen-oku.or.jp/program/20220910_kobijutsushoyo/

~読者の皆様へのプレゼント~ 
“古美術逍遙”の無料鑑賞券を、5組10名様にプレゼントいたします。 
住所・氏名・電話番号を添えて、以下のメールフォームより応募くださいませ。 
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/
なお、〆切は、10月5日です。当選は発送をもって代えさせていただきます。

 

 

 


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