現在、京都の細見美術館で開催されているのは、
“響きあうジャパニーズアート―琳派・若冲 × 鉄腕アトム・初音ミク・リラックマ―”という展覧会。
(注:展示室内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)
日本美術の中でも特に人気の高い、琳派や伊藤若冲の作品と、
手塚治虫作品や初音ミクといった日本が世界に誇るポップカルチャーとが、
時代を超えたコラボレーションを果たした新感覚の展覧会です。
リラックマ×磯馴松 ©2022 San-X Co., Ltd.All Rights Reserved.
初音ミク×伊藤若冲。
リラックマ×神坂雪佳。
これらの作品を目にして、
“ふーん。まぁ、こういうのは若い人には受けそうだよね・・・”
と、素通りしそうになっている方、ちょっとお待ちくださいませ。
もしかして、これらの作品は、パソコンを使って、
ちゃちゃっと合成して作られているとは思っていませんか?
実は、カミングアウトすると、自分もそう思っていました。
しかし、これらはなんと日本画の技法で描かれたもの。
初音ミクやリラックマはもちろん、
組み合わせられている琳派や若冲の作品も、
なんと、すべて手描きで再現されているのです!
初音ミクの服の細かい模様や、
髪の毛の質感も、日本画の画材で完璧に再現。
さらに、若冲の洒脱な筆捌きも、見事に再現しています。
もはや若冲本人なのではないかとさえ思えるレベルです。
これらの作品を描いたのは、京都の友禅絵師・平尾務さん。
友禅絵師として50年以上の経歴を誇る大ベテランです。
手塚治虫作品はもちろんご存じでしょうが、
おそらく、初音ミクやリラックマはご存じなかったのではないでしょうか。
それだけに、これらの再現度の高さには、ただただ驚くばかりです。
ちなみに。
これらのコラボ作品は、琳音というプロジェクトで制作されたもの。
細見美術館の細見良行館長監修のもと、
京都の呉服メーカー「豊和堂」のアートディレクター・山田晋也さんと、
友禅絵師の平尾さんが現代を描く日本画の制作プロジェクトです。
それゆえ、基本的に琳音で制作される作品は、
細見美術館コレクションの日本画が元になっています。
今展では、その元となった作品も併せて展示。
ものまね番組で言うところの(?)、ご本人さん登場のような感じで、
その再現度のクオリティの高さと、元となる作品の素晴らしさの両方を楽しめます。
さらに、ただなんとなく、日本美術に、
ポップカルチャーのアイコンを足してみました、というわけでは決してなく。
ちゃんと元となる作品に合わせて、
各キャラクターが描き込まれています。
いうなれば、本歌取りです。
バラエティーに振り切った展覧会かと思いきや、
実はある意味、王道の日本美術展といえましょう。
すべての日本美術ファンに観て欲しい展覧会です。
ちなみに。
展覧会そのものはもちろんのこと、
オリジナルグッズも大充実していました。
特に、手ぬぐい!
全21種類。
展覧会オリジナルグッズの手ぬぐい史上、
もっとも種類が多いのではないかと思われます(とに~調べ)。