■ゴヤ・マーダー
監督:ヘラルド・エレーロ
出演:マリベル・ベルドゥ、アウラ・ガリード
2019年製作/100分/スペイン
名画を模した猟奇殺人。事件を追う2人の捜査員。
スペイン、マドリードの一角で不可解な猟奇殺人事件が発生した。
名匠ゴヤの版画に模された遺体、
現場に残された大量の不気味な仮面と漂白剤の不快な臭い、
そのどれもがこの事件のかつてない異常さを物語っていた。
捜査に乗り出したのは、
優秀なベテラン捜査員のカルメンと、
同じ部署に異動して間もなく未熟なエヴァの2人組。
カルメンの鋭くも型破りな捜査の仕方にエヴァは戸惑い、
時にぶつかり合いながらも事件を追い続ける2人だが、
それを嘲笑うかのように凄惨な見立て殺人が続発する。
様々な犠牲を払いながらも、
やがて2人はすべての事件を繋ぐ驚愕の事実にたどり着くのだが…。
(TCエンタテインメント公式HPより)
「スペインを代表する画家フランシス・デ・ゴヤが、
1799年に発表した、自身の初となる版画集『ロス・カプリチョス』。
“気まぐれ”や“戯れ”という意味のタイトルながら、
当時のスペイン社会や権力者への痛烈な批判が込められており、
わずか2日で発売中止となったという逸話を持つ版画集です。
その作品に見立てて、連続猟奇殺人事件が起こるだなんて!
『金田一少年の事件簿』とか『Xファイル』とか、
そういったミステリ作品に目がない自分としては、
めちゃめちゃ期待を込めて、映画を観始めました。
で、結論から言えば。
とんでもないB級映画でした。
まず、主役の女性刑事コンビが、
どちらも使い物にならないという。。。
片方は優秀ながらも、勤務中に酒は飲むわ、
運転が荒すぎて一般人を何度も轢きかけるわ、
妻子持ちの直属の上司と不倫をしているわ。
しかも、もう一人の恋人に、
ベッドで捜査情報をペラペラ話してしまうダメっぷり。
その分、相棒が凸凹コンビとしてフォローするかと思いきや。
子育てのストレス発散のために、夜はカラオケに入りびたりで、
肝心な時に着信に気づかないという失態を何度も起こしてしまう始末。
もし、これがデフォルトだとするならば、
スペインの警察は大丈夫なのでしょうか?
そして、肝心の殺人事件ですが。
確かに、ゴヤの版画に見立てて、
アート関係者が殺されていくという発想は斬新でした。
一人目の被害者は、こちらの作品に見立てられ、
二人目の被害者は、こちらの作品に見立てられていました。
なお、最後の被害者となる三人目が見立てられていたのは、こちらの作品。
絵の女性同様に、異様に長い変な帽子を被らされていました。
猟奇的というよりも、コメディ的。
死んでも、こんな殺され方はしたくないです。はい。
さてさて、一番のポイントは、なぜ犯人は、
ゴヤの版画に見立てて犯行を重ねているのか、ということ。
理性の眠りと闘いながら、
映画を最後までちゃんと見ましたが、
結局のところ、犯行理由はうやむやなまま終わりました。
というか、真犯人の行く末もうやむや。
あまりにも唐突に映画が終ったので、
もしかしたら、この後、続編を作るつもりなのでしょうか。
『ロス・カプリチョス』は全部で80点あるので。
いろんなことを詰め込み過ぎて、
100分に内容が収まり切っていなかった印象。
何を伝えたい映画だったのか、よくわからず。
気まぐれで作られた映画なのでしょう。きっと。
余談ですが、日本版で作るとなると、
どの芸術家の作品に見立てた連続殺人事件が、しっくりきますかね?
やっぱり月岡芳年の血みどろ絵とか?
九相図(=屋外にうち捨てられた死体が朽ちていく経過を九段階にわけて描いた仏教絵画)とか?
それだと、なんか普通の感じですね。
例えば、こんな設定はどうでしょう?
まず、孤島のとある屋敷に10人が集められまして。
その屋敷には、10体の土偶が飾ってあるんです。
で、一人殺されるたびに、
土偶が一つずつ減っていって・・・・・あれ?
この設定とよく似たミステリの名作があったような。
(星1つ)」
~映画に登場する名画~