現在、Bunkamura ザ・ミュージアムで開催中の展覧会、
“イッタラ展 フィンランドガラスのきらめき”に行ってきました。
北欧デザインをフォーカスした展覧会は、
ここ近年、毎年のように開催されていますし。
イッタラを代表するアイテム、《アアルト ベース》。
その生みの親であるフィンランドの国民的建築家、
アルヴァ・アアルトの展覧会も立て続けに開催されていましたし。
なんとなく、イッタラの展覧会に行ったような気になっていましたが。
実のところ、あくまで気になっていただけで、
この展覧会が日本で初めてのイッタラ展とのこと!
世界最大のイッタラコレクションを誇るフィンランド・デザイン・ミュージアムと、
イッタラ本社のアーカイブから選りすぐられた貴重なアイテムが来日しています。
撮影:山本倫子
その数、実に約450点!
おそらく、イッタラの直営店よりも、
多くのアイテムが取り揃えられていました。
さて、そんなイッタラですが、その歴史は意外と古く。
今から約140年前に、フィンランド南部にある、
イッタラ村に設立されたガラス工場からスタートしたのだそうです。
なるほど。イッタラは村の名前だったのですね!
創業当時より、プレスガラスの製造を手作業で行っていたそうですが。
《アメリコンスカ》 プレスガラス、1913年 ©Design Museum Finland, Photo: Johnny Korkman
その柄の多くが、クリスタル・カット柄を模倣していたため、
「貧乏人のクリスタル」とディスられていたこともあったそうです。
そこからどうやって、国際的なインテリアブランドへと成長したのか。
その答えは、展覧会の第1章『イッタラ140年の歴史』で明らかになります。
また、第2章では、アルヴァ・アアルトを筆頭に、
アイノ・アアルト、カイ・フランク、タピオ・ヴィルカラら、
イッタラを語る上で特に重要な8人のアーティストを紹介。
撮影:山本倫子
国際的に活躍する建築家、デザイナーが、
これほどまでにイッタラに深く関わっていったら、
それは世界的なブランドになるのも当然というもの。
イッタラのブランド力の強さの秘密がわかる展示となっていました。
ちなみに。
紹介されていた8人の作家の中で、
個人的にもっとも印象に残っているのは、オイバ・トイッカ。
イッタラといったら、無駄を削ぎ落したシンプルなデザインという印象が強いですが。
トイッカがデザインしたプロダクトはそれとは真逆の、ファニーで個性的な姿をしています。
こちらは、彼の代表的なシリーズ《バード バイ トイッカ》。
1点1点すべて手吹き技法で作られており、
一つとして同じ形、色味のものが無いのだそうです。
鳥好きならずとも、思わず1羽買いたく(飼いたく?)なる可愛らしさでした。
続く第3章では、『イッタラを読み解く13の視点』と題し、
「素材としてのガラス」「職人の技」など13のキーワードで、
イッタラのデザインや魅力を、さらに深掘りしています。
個人的に印象に残っているのは、「カラー」。
撮影:山本倫子
イッタラの魅力の一つに豊富なカラーバリエーションがあります。
しかし、色を開発するのは一朝一夕にはいかず。
新色を開発するのに、数年費やすこともあるそうです。
なお、現在。カラーパレットは200色あるそうで、
そのうち毎年、平均20色が使われているとのこと。
イッタラの色ガラスのサンプル、2020年 ©Design Museum Finland, Photo: Johnny Korkman
また、イッタラには毎年アニュアルカラーがあるそうで、
今年2022年のカラーは、ウルトラマリンブルーとコッパーだそうです。
それからもう一つ印象的だったのが、「スタッキング」に関して。
ティモ・サルパネヴァ《マルセル》 1993年 ©Design Museum Finland, Photo: Johnny Korkman
戦後、集合住宅が増え、収納スペースが限られるようになりました。
そんな住環境の急激な変化から、スタックできるアイテムが、人気を博したそうです。
見た目に美しいだけでなく、機能性も兼ね備えたプロダクト。
二物が与えられたプロダクトですね。
なお、最後の第4章のテーマは『イッタラと日本』。
イッセイ ミヤケとミナペルホネンとのコラボ、
隈研吾さんがデザインした表参道のストアなど、
イッタラと日本に関わるさまざまなトピックが紹介されていました。
観れば確実にイッタラが好きになる展覧会。
かくいう自分も、鑑賞後、ミュージアムショップで、
まんまと(?)イッタラのアイテムを買ってしまいました。
ちなみに。
展覧会の会期中、Bunkamuraの正面エントランスに、
《カステヘルミ》キャンドルホルダーを使用したタワーが設置されています。
会場とは少し離れた場所にあるので、
お見逃しなきよう、お気を付けくださいませ。
┃会期:2022年9月17日(土)~11月10日(木)
┃会場:Bunkamura ザ・ミュージアム
┃https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/22_iittala/