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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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瀬戸内国際芸術祭2022

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瀬戸内海を舞台に、3年に1度開催される現代アートの祭典。

それが、瀬戸内国際芸術祭です。

 

 

 

会期は、春(4/14~5/18)、夏(8/5~9/4)、

そして、秋(9/29~11/6)の3会期となっています。

会場は、12の島と2つの港の計14会場。

33の国と地域から、184組のアーティストが参加。

新作・旧作を合わせて、その作品総数は214にもなるそうです。

それに加えて、当たり前ですが、会場間の移動は基本的に船。

電車やバスほど、1日当たりの本数はありません。

つまり、とてもでないではないけれど、すべてを巡るのは至難の業!

無理せず、巡れるところだけを巡りましょう。

そういう意味では、予定を立てるところから、瀬戸内国際芸術祭。

家を出る前から、瀬戸内国際芸術祭です。

 

 

今回、僕が巡ったのは、犬島と豊島の2会場のみ。

3年前の『芸術新潮』の過酷な企画、

「2日で4島を巡るミッション」の反動(?)で、

2島を1日ずつ、ゆったりしたスケジュールで巡りました。

それぞれのメインであった犬島精錬所美術館と、

豊島美術館の感想は昨日の記事で紹介したので、

本日はそれ以外で印象に残っている作品をご紹介いたしましょう。

 

 

まずは、犬島から。

犬島には、世界的に活躍する建築家、

妹島和世さんが建築を担当した作品が多数点在していました。

 

 

 

それらの中には、オラファー・エリアソンや、

 

 

 

名和晃平さんとタッグを組んだものも。

 

 

 

あれも妹島さん。これも妹島さん。

棟内を散策している際に、

あまりに妹島さんの名前をお見かけするので、

犬島なのだか妹島なのだか、よくわからなくなってきました(笑)

 

 

さてさて、そんな犬島で一番印象的だったのが、こちら↓

 

 

 

2019年に犬島にオープンした、

犬島ホッピーバーで飲んだホッピーです。

こちらはなんとホッピーを販売している、

ホッピービバレッジが直営しているバーとのこと。

公式がオススメする飲み方の一つ、

ホッピーをプレミアムジン「ヘンドリックス」で割るスタイルで頂きました。

この美味しさが衝撃的すぎて、

それまで観たアート作品の印象が吹っ飛んでしまったほど(笑)

 

ちなみに。

この犬島ホッピーバーの建築を監修したも、やっぱり妹島さん。

なお、設計を担当したのは、

妹島和世建築設計事務所出身の近藤哲雄さんです。

 

 

 

建物として特筆すべきなのが、手前の大きな犬島石。

従来の民家部分に増築される形で、

新たに作られた屋根軒とこれを支える梁を支える役割を果たしています。

この巨大な石は、もともとこの場所にあったわけではありません。

クレーンなどの重機が通れない細い島道なので、

港から数日間かけて、人力で運んできたのだそうです。

その涙ぐましい努力が、この犬島での一番のアートのような気がしてきました。

 

 

続いて、豊島で印象的だったアート作品を。

 

 

 

72歳から本格的に写真をはじめ、御年94歳の今なお、

現役のスーパーアマチュア写真家・西本喜美子さんの個展や、

 

 

 

かつてメリヤス針の製造工場だった建物の鉄骨構造と、

宇和島の造船所に約30年放置されていたという漁船の船体用の木型とを、

大胆かつシンプルにコラージュした大竹伸朗さんの《針工場》も印象的でしたが。

 

 

 

インパクトという点では、

横尾忠則ワールド全開のアート施設、

豊島横尾館が圧倒的なものがありました。

 

 

 

外観で目を惹くのが、真っ赤なガラス。

ただガラスが赤いというだけなのに。

 

 

 

映り込んだ景色が、不思議と、

この世のものではない印象を受けます。

まるで、あの世か異次元の光景のような。

 

しかも、夕方頃に訪問すると、

太陽光が赤いガラスを通し、街中に映し出されます。

 

 

 

この光景もまた、この世のものではない印象。

横尾さんの絵の世界に入り込んでしまったような。

そんな奇妙な体験ができる建物でした。

 

もちろん建物の内部は外観以上に奇妙です。

 

 

 

夢のような光景が広がっていました。

いや、正確に言えば、高熱が出た時に見る夢、

もしくは、白昼夢のような光景が広がっていました。

それだけに、豊島横尾館を観終えて、建物の外に出た時に、

ナチュラルに、「あ、現実世界に戻ってきた」という感覚になりました(笑)

 

 

最後に紹介したいのは、富安由真さんの最新作、

《かげたちのみる夢(Remains of Shadowings)》です。

『そろそろ美術の話を…』にゲスト出演頂いた際に、

この新作インスタレーション作品について軽くお話頂きましたが。

 

 

 

富安さん初となる日本の古民家をモチーフにした作品です。

 

 

 

ネタバレになってしまうと、

楽しさ半減なので、多くを語りませんが、

ヒントは、小泉八雲の『和解』に着想を得た作品とのこと。

 

 

 

 

これまでの作品が、ポルターガイストを想起させる、

いうなれば、西洋スタイルの気配を感じるものだったのに対し、

今回の作品は、まさにジャパニーズホラーのそれ。

音や光といった物理的要因ではなく、

五感以外で感じる気配といったところでした。

 

 

 

最後に待ち受けている大仕掛け。

それに気づいた時に、思わずハッとさせられました。

あと、自身の行動を振り返って、ちょっと恥ずかしくもなりました。

と、これ以上は内緒!

体験した人同士で、感想を共有したくなる作品です。





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