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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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日本画の粋-新見美術館コレクション選

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長野県立美術館の東山魁夷館、

市川市東山魁夷記念館と並んで、

日本三大東山魁夷美術館(?)に数えらえるのが・・・・・
 
 
 
香川県の坂出市にある、
香川県立東山魁夷せとうち美術館です。
 
東山魁夷の代表作の一つ、
《道》をおそらく意識したのでしょう。
 
 
 
美術館の建物へと続く道が、
東山魁夷の《道》ばりに長く続いていました。
ちなみに、建物を設計したのは、
国内外で数多くの美術館建築を手掛けている谷口吉生さん。
長野県立美術館の東山魁夷館の設計も同じく、谷口吉生さんです。
 
 
さてさて、東山魁夷は、横浜生まれ神戸育ち。
戦時中は、岐阜県高山市や山梨県落合村を転々とするも、
戦後は千葉県市川市に移り、その地で90歳の生涯を終えました。
 
・・・・・・・・・ん?あれ?
香川県と東山魁夷には接点がないような気がします。
 
しかし、何を隠そう!
東山魁夷の祖父が香川県坂出市出身なのです!!
 
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
 
 
あー、それともう一つ、重要な接点がありました。
それは、美術館のテラスから見える光景にヒントがあります。
 
 
 
こちらは、ご存じ瀬戸大橋。
昭和63年に開通した本州の岡山県倉敷市と、
四国の香川県坂出市を結ぶ世界最大級の鉄道道路併用橋です。
 
この瀬戸大橋の「ライトグレー」を指定したのが、
実は何を隠そう、当時ご存命だった東山魁夷さんだったのだとか!


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 
いや、冷静に考えると、
香川県と東山魁夷の縁は、そんなに濃くはないですね。
むしろ薄め。
ライトグレーです。
 
とはいえ、東山魁夷の没後、
奥様から版画作品270点が香川県に寄贈されたそう。
そのことが契機となって、香川県立東山魁夷せとうち美術館が開館しました。
それが、2005年4月のこと。
来年でようやく新成人(18歳)を迎える、意外と若い美術館です。
 
 
さて、そんな香川県立東山魁夷せとうち美術館では、
この秋、“日本画の粋-新見美術館コレクション選”が開催されています。
 
 
 
岡山県北西部にある新見市美術館。
その1200点強のコレクションの中から、
選りすぐりの日本画コレクションを紹介する展覧会です。

それらの中には、小杉訪庵の《松下閑談》や、

 

 
 
山口華楊の《晨雪》といった、
 
 
 
日本美術界に名を残す巨匠たちの作品から、
一昨年に101歳でお亡くなりになった現代日本画家・鈴木竹柏、
 
 
 
現在の日本画壇のドンともいうべき、田渕俊夫さんといった、
 
 
 
令和の今もなお、日本画界の最前で走り続ける画家たちまで。
さまざまな日本画家の作品も紹介されていました。
その数、実に25点。
 
一般的な展覧会と比べると、
若干、物足りない印象はあります。
というか、新見美術館コレクションの中に、
肝心の東山魁夷の作品は無かったですし!
香川県立東山魁夷せとうち美術館の展示なのに。
 
もちろん。
展覧会に対応する形で、
美術館のコレクションの中から、
7点の東山魁夷の作品も展示されていました。
 
 
 
ただ、東山魁夷の奥様から寄贈された作品はすべて版画作品。
その後、美術館は5点の絵画作品を購入し、
さらに、寄贈1点、寄託1点されてはいるようですが、
それでも全部で計7点しか所蔵する絵画作品はありません。
今展には、そのうちの1点が公開されていました。
(つまり、あと6点は版画作品)
 
版画作品が悪いとは、さすがに思いませんが。
おそらく僕だけでなく、市街地から離れた位置にある、
この美術館にわざわざ訪れる人は、東山魁夷のファンであるはず。

東山魁夷の名を冠した美術館だけに、

当然のように魁夷の絵画作品が楽しめると信じ込んでいるはずです。

それだけに、やや肩透かし感は否めませんでした。

久しぶりの休みで、『笑っていいとも』を付けたら、
タモさんが夏休みでお休みを取っていて、いなかった。
あれに似た寂しさを感じる展覧会でした。
星
 
 

 


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