Quantcast
Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
Viewing all articles
Browse latest Browse all 5005

フェルメールと17世紀オランダ絵画展

$
0
0

先日、宮城県美術館に行ってきました。

 

 

 

現在、こちらでは、東京都美術館を皮切りに、

北海道立近代美術館、大阪市立美術館と巡回した展覧会、

“フェルメールと17世紀オランダ絵画展”が開催されています。

 

 

 

ヨーロッパでも屈指のコレクションを誇るドレスデン国立古典絵画館。

その中でもとりわけ充実しているオランダ絵画コレクションから、

17世紀を代表する画家たちによる選りすぐりの約70点が来日した展覧会です。

 

展覧会の目玉はもちろん、

フェルメールの《窓辺で手紙を読む女》

昨年、4年に及ぶ修復が終わったばかりで、

今もっとも世界中から注目を集めている作品です。

 

 

 

東京都美術館での展覧会では、

会場の中盤にこの作品が展示されていたため、

そこから先の展示が、やや消化試合感がありましたが(注:個人の感想です)

宮城県美術館での展覧会では、

会場のラストで、満を持しての登場!

最後の最後で、大きな見せ場がある感じで、

個人的には、東京会場よりも好みの展示でした。

星星星

 

 

さて、修復されたことで、

全体的に色合いが明るくなったのは、

素直に、ありがたいなァとは思いますが。

 

 

 

 

改めて、修復前と修復後を見比べてみると、

個人的には、やはり修復前のほうが好きです。

東京で観た時にも思いましたが、

キューピッドの絵が主張しすぎていて、

落ち着いた雰囲気が台無しになっているような。

 

これは、フェルメールも模写している、

とある現代アーティストから聞いた話ですが。

《窓辺で手紙を読む女》の中で、

キューピッドの絵だけは明らかに、

他の部分と比べて、気が乗っていないとのこと。

もしかしたら、フェルメールはもともと、

壁に絵が掛かっていない状態で絵を仕上げたのですが、

注文主にこんなことを言われたのかもしれません。

 

「何か壁が寂しいなぁ。あ、そうだ!

 ここに、キューピッドの絵でも描いてよ」

 

それを聞いたフェルメールは、

 

「いやぁ、キューピッドの絵はどうなんでしょう?

 壁に何もない方が絶対イイですって」

 

と返したはず。

しかし、キューピッドの絵は譲れない注文主。

そこで、イラっとしたフェルメールは、

 

“あー、はいはい。わかりましたよ!

 それならお望みどおりに描きますよ!”

 

と、半ギレしながら、あえて台無しになるよう、

大きめにキューピッドの絵を描いたのではなかろうか。

その仕上がった絵を観た注文主は、

 

「・・・・・・・・・・・・・(そういうことじゃなかったんだよなァ)。」

 

と、きっと後悔したことでしょう。

そして、月日は流れて数十年後、

フェルメールの意図を組んだ画家の友人の誰かが、

亡きフェルメールに代わって、絵を上から塗りつぶしたのではないでしょうか。

もしそうだとしたら、21世紀になって、

再びキューピッドの絵の姿が現れるだなんて。

フェルメールもその友人も、ビックリしていることでしょう。

と、これらはあくまで僕のモーソウ。

信じるか信じないかはあなた次第です。

 

 

さてさて、宮城会場で改めて、この展覧会を観て、

《窓辺で手紙を読む女》以外にも印象に残った作品があるので、

いくつかまとめてご紹介いたしましょう。

 

まずは、アドリアーン・ファン・オスターデの《タバコを吸う二人の農夫》

 

 

 

お世辞にも品があるとは言えない2人のオッサン。

特に品が無いのが、左のオッサン。

店員と思われる女性に、

思いっきり、副流煙を浴びせています。

店長に、つまみ出されればいいのに。

 

続いては、ヤン・ステーンの《カナの婚礼》

「カナの婚礼」とは、キリストがある結婚式に列席した際、

ワインが無くなってしまったため、水をワインに変えてみせたという、

キリストの数ある奇跡の一つで、わりと宗教画の画題となっているものです。

当然、その主役はキリストで、キリストが目立つように描かれるものですが。

ヤン・ステーンが描いた《カナの婚礼》は、こんな感じになっていました↓

 

 

 

キリストは影薄め。

奇跡を起こしたキリストそっちのけで、

ワインにテンションを上げる列席者たちが、

この絵の主役と言っても過言ではありません。

中央の男性なんて、「さぁさぁ駆けつけ一杯」と勧めてるし。

左下の女性なんて、子どもにワイン飲ませてるし。

“こんな感じになるなら、水をワインに変えるんじゃなかった・・・。”

そんなキリストの心の声が聞こえてきそうです。

 

それから印象的だったのが、

ヨセフ・デ・ブライによる《ニシンを称える静物》

 

 

 

17世紀オランダでは、貧しい人の主食とされていたニシン。

それをまるで宝飾品であるかのように、画面の中央に描いた作品です。

しかも、その中央の石碑に書かれているのは、

画家の叔父である医師によって作られたニシンの効能を湛える詩。

二日酔いの特効薬であるとか、

その他悪しきものさえ打ち払うとか、

そんな感じのことが描かれているそうです。

『ためしてガッテン』か。

 

 

静物画といえば、こんな作品もありました。

 

 

 

作者は、静物画を得意としたピーテル・デ・リング。

タイトルは、《キジのパイがある静物》です。

・・・・・・・・・ん?キジのパイ??

たぶん、これのことですよね。

 

 

 

お頭&羽根付き!?

 

食欲がまったく湧きません・・・。





1位を目指して、ランキングに挑戦中。
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ にほんブログ村 美術ブログへ


Viewing all articles
Browse latest Browse all 5005

Trending Articles