先日、宮城県美術館に行ってきました。
現在、こちらでは、東京都美術館を皮切りに、
北海道立近代美術館、大阪市立美術館と巡回した展覧会、
“フェルメールと17世紀オランダ絵画展”が開催されています。
ヨーロッパでも屈指のコレクションを誇るドレスデン国立古典絵画館。
その中でもとりわけ充実しているオランダ絵画コレクションから、
17世紀を代表する画家たちによる選りすぐりの約70点が来日した展覧会です。
展覧会の目玉はもちろん、
フェルメールの《窓辺で手紙を読む女》。
昨年、4年に及ぶ修復が終わったばかりで、
今もっとも世界中から注目を集めている作品です。
東京都美術館での展覧会では、
会場の中盤にこの作品が展示されていたため、
そこから先の展示が、やや消化試合感がありましたが(注:個人の感想です)。
宮城県美術館での展覧会では、
会場のラストで、満を持しての登場!
最後の最後で、大きな見せ場がある感じで、
個人的には、東京会場よりも好みの展示でした。
さて、修復されたことで、
全体的に色合いが明るくなったのは、
素直に、ありがたいなァとは思いますが。
改めて、修復前と修復後を見比べてみると、
個人的には、やはり修復前のほうが好きです。
東京で観た時にも思いましたが、
キューピッドの絵が主張しすぎていて、
落ち着いた雰囲気が台無しになっているような。
これは、フェルメールも模写している、
とある現代アーティストから聞いた話ですが。
《窓辺で手紙を読む女》の中で、
キューピッドの絵だけは明らかに、
他の部分と比べて、気が乗っていないとのこと。
もしかしたら、フェルメールはもともと、
壁に絵が掛かっていない状態で絵を仕上げたのですが、
注文主にこんなことを言われたのかもしれません。
「何か壁が寂しいなぁ。あ、そうだ!
ここに、キューピッドの絵でも描いてよ」
それを聞いたフェルメールは、
「いやぁ、キューピッドの絵はどうなんでしょう?
壁に何もない方が絶対イイですって」
と返したはず。
しかし、キューピッドの絵は譲れない注文主。
そこで、イラっとしたフェルメールは、
“あー、はいはい。わかりましたよ!
それならお望みどおりに描きますよ!”
と、半ギレしながら、あえて台無しになるよう、
大きめにキューピッドの絵を描いたのではなかろうか。
その仕上がった絵を観た注文主は、
「・・・・・・・・・・・・・(そういうことじゃなかったんだよなァ)。」
と、きっと後悔したことでしょう。
そして、月日は流れて数十年後、
フェルメールの意図を組んだ画家の友人の誰かが、
亡きフェルメールに代わって、絵を上から塗りつぶしたのではないでしょうか。
もしそうだとしたら、21世紀になって、
再びキューピッドの絵の姿が現れるだなんて。
フェルメールもその友人も、ビックリしていることでしょう。
と、これらはあくまで僕のモーソウ。
信じるか信じないかはあなた次第です。
さてさて、宮城会場で改めて、この展覧会を観て、
《窓辺で手紙を読む女》以外にも印象に残った作品があるので、
いくつかまとめてご紹介いたしましょう。
まずは、アドリアーン・ファン・オスターデの《タバコを吸う二人の農夫》。
お世辞にも品があるとは言えない2人のオッサン。
特に品が無いのが、左のオッサン。
店員と思われる女性に、
思いっきり、副流煙を浴びせています。
店長に、つまみ出されればいいのに。
続いては、ヤン・ステーンの《カナの婚礼》。
「カナの婚礼」とは、キリストがある結婚式に列席した際、
ワインが無くなってしまったため、水をワインに変えてみせたという、
キリストの数ある奇跡の一つで、わりと宗教画の画題となっているものです。
当然、その主役はキリストで、キリストが目立つように描かれるものですが。
ヤン・ステーンが描いた《カナの婚礼》は、こんな感じになっていました↓
キリストは影薄め。
奇跡を起こしたキリストそっちのけで、
ワインにテンションを上げる列席者たちが、
この絵の主役と言っても過言ではありません。
中央の男性なんて、「さぁさぁ駆けつけ一杯」と勧めてるし。
左下の女性なんて、子どもにワイン飲ませてるし。
“こんな感じになるなら、水をワインに変えるんじゃなかった・・・。”
そんなキリストの心の声が聞こえてきそうです。
それから印象的だったのが、
ヨセフ・デ・ブライによる《ニシンを称える静物》。
17世紀オランダでは、貧しい人の主食とされていたニシン。
それをまるで宝飾品であるかのように、画面の中央に描いた作品です。
しかも、その中央の石碑に書かれているのは、
画家の叔父である医師によって作られたニシンの効能を湛える詩。
二日酔いの特効薬であるとか、
その他悪しきものさえ打ち払うとか、
そんな感じのことが描かれているそうです。
『ためしてガッテン』か。
静物画といえば、こんな作品もありました。
作者は、静物画を得意としたピーテル・デ・リング。
タイトルは、《キジのパイがある静物》です。
・・・・・・・・・ん?キジのパイ??
たぶん、これのことですよね。
お頭&羽根付き!?
食欲がまったく湧きません・・・。