現在、渋谷区立松濤美術館で開催されているのは、
“ビーズ―つなぐ かざる みせる 国立民族学博物館コレクション”という展覧会です。
テーマは、ずばり「ビーズ」。
大阪にある国立民族学博物館所蔵の資料を中心に、
古今東西のさまざまなビーズが、会場に一堂に会しています。
ビーズと聞くと、プラスチック製の、
カラフルで小さなヤツが思い浮かびますが。
実は、ビーズを一言で定義すると、
「さまざまな部材に穴を開け、それをつないだもの」となるのだそう。
つまり、材質や色、大きさは関係ありません。
真珠や宝石に穴を開けて、
それらを繋いだネックレスやブレスレットもビーズ。
フラダンスでお馴染みのレイもビーズ。
左)首飾り 国立民族学博物館蔵 右)首飾り(レイ) 個人蔵
このように貝貨に穴を開け、紐を通して、
一つにまとめたものもまた、ビーズだそうです。
貝貨 国立民族学博物館蔵
思っていた以上に、
世の中はビーズに溢れていたのですね。
さてさて、展覧会の第一会場では、
金属や植物など、素材別にさまざまなビーズが紹介されています。
それらの中には、意外な素材が使われているものも。
例えば、こちらはブラジルのウルブ族の首飾り。
材質は、ヘビの背骨です。
首飾り 国立民族学博物館蔵
それから、こちらはブラジルのカヤビ族の首飾り。
首飾り 国立民族学博物館蔵
果たして、一体何を素材にしているのでしょう?
パッと見は、象牙のように思えましたが。
近づいてマジマジと眺めた瞬間に、
「は?は!」と頭が混乱してしまいました。
その正体は、なんと人の歯。
展示されているということは、
おそらく合法的に作られていますよね?
シリアルキラーの家から見つかった、とかじゃないですよね??
ちなみに。
第1会場で紹介されていた展示品の中で、
とりわけ強く印象に残っているのが、こちらです。
ミイラのビーズマスク 個人蔵
コースターか何かかと思いきや、
古代エジプトのミイラのビーズマスクとのこと。
見れば見るほど、そこはかとなく哀愁が漂うお顔。
死んだ後にずっと載せられる顔が、
果たして、本当にこれで良かったのだろうか。
ミイラになった主の真意を確かめたいところです。
それからもう一つ印象に残っているのが、
ナイジェリアのヨルバ族が作ったビーズ製の像。
人像(ビーズ製) 国立民族学博物館蔵
高さは約1.5m。
世界最大級のビーズ工芸品だそうです。
上から下まで、びっしりビーズ。
制作には、複数の人間が関わり、
完成までに約2ヶ月を要したそうです。
続く第2会場では、「ビーズで世界一周」と題して、
世界各地のエリアごとに、ビーズが紹介されていました。
それらの中には、日本のビーズも。
琉球の首飾りや玉飾りも紹介されていましたが、
それらと併せて、ビーズバッグも展示されていました。
ビーズバッグ 国立民族学博物館蔵
ビーズバッグは、昭和時代に一時期流行ったそうで。
展示されていたビーズバッグの多くは、
母から娘へとプレゼントされたものでした
昭和時代の母さんは夜なべをして、
せっせとビーズバッグをあんでいたのですね。
さてさて、第2会場でもっとも目を惹かれたのは、
本展のメインビジュアルにも使われている、こちらのファッション。
東京モード学園の学生が作ったものかと思いきや、
南アフリカのズールー族の衣装とのこと。
なお、後ろ姿はこんな感じ↓
女性用婚礼衣装 国立民族学博物館蔵
前も後ろもびっしりと、
全身がビーズに覆われています。
ちなみに、こちらは女性用婚礼衣装とのこと。
全花嫁の中でもっともクールな花嫁なのではないでしょうか。
想像していた何十倍も奥深かったビーズの世界。
そのラストを締めくくるのは、
ビーズを使ったアート作品の数々でした。
左)貴婦人と一角獣 日本創作ビーズ織り協会サ コタカコ創作ビーズ織り本部蔵
右)絵画「乳搾りの女」 国立歴史民俗博物館蔵
その中で個人的に惹かれたのは、
動物をモチーフにしたワイヤー・アンド・ビーズ作品です。
どの作品も愛らしかったですが、
イチオシは、ミーアキャッ トの家族。
ワイヤー・ビーズ(ミーアキャッ トの家族) 個人蔵
どれがお父さんで、
どれがお母さんか、子どもか、
イマイチわからなかったですが。
そんなことが気にならなくなるくらい可愛かったです。
ちなみに。
展覧会は基本的に写真撮影OK。
しかも、ビーズを身に付けて来館すると、
入館料が2割引きとなるビーズ割引なるサービスも。
もちろん、ビーズの定義は、
「さまざまな部材に穴を開け、それをつないだもの」。
何かしらアクセサリーを付けていけば、
ほとんどの人がビーズ割引を適用されるはずです。