現在、アーティゾン美術館で開催されているのは、
“パリ・オペラ座―響き合う芸術の殿堂”という展覧会です。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)
言わずと知れた、オペラやバレエの殿堂、
パリのオペラ座に焦点を当てた大規模な展覧会で、
フランス国立図書館をはじめとする国内外の約250点の作品が大集結!
それらの中には、19世紀に竣工したガルニエ宮の設計図や、
現在はシャガール作のものに覆われてしまっている、
ジュール=ウジェーヌ・ルヌヴーによる竣工当時の天井画の原画、
他にも、ヴァーグナーによる歌劇『タンホイザー』の初演ポスターや、
『ワルキューレ』で実際に使用された衣装なんかも含まれています。
また、19世紀を代表する伝説のバレリーナ、
マリー・タリオーニをはじめ、歴史的ダンサーに関するアイテムも充実。
オペラファン、バレエファンにはたまらない、
スタンディングオベーション必至の展覧会となっています。
・・・・・と、ここまでは、なんとなく想定済みでしたが。
(具体的にどんな作品が来日しているかまでは、さすがにわかりませんが)
今展で何より驚かされたのは、想像を遥かに超えて、
出展されている美術作品が、豪華なラインナップだったこと。
オルセー美術館が所蔵する代表作中の代表作、
《バレエの授業》を筆頭に、ドガの名品がさらっと展示されていたり。
実は、オペラ座と関係のある藤田嗣治やデ・キリコ、ヴァザルリといった、
20世紀を代表するアーティストたちの作品やデザイン画がごそっと展示されていたり。
オペラ座の有名な歌手で、絵画コレクターでもあった、
ジャン=バティスト・フォールをマネが描いた肖像画がしれっと2点並んでいたり。
(なお、ジャン=バティスト・フォールはこの絵を気に入ってなかったそうです)
正直なところ、オペラ座にフォーカスした展覧会が、
これほどまでに美術ファンも楽しめる展覧会だったとは!
改めて、アーティゾン美術館の底力を実感しました。
ちなみに。
マネといえば、ワシントン・ナショナル・ギャラリーが所蔵する
《オペラ座の仮面舞踏会》も、さらっとしれっと展示されています。
こちらは、旧オペラ座で開かれた仮面舞踏会を主題にした作品。
社交界のブルジョワ紳士たちと、
高級娼婦と思われる女性たちが描かれています。
《草上の昼食》や《オランピア》を、
サロンに出品しては、落選して話題となったマネ。
この作品も例に漏れず(?)、1874年のサロンで落選しています。
さらに、意外なところでは、プルーストの『失われた時を求めて』や、
ルルーの『オペラ座の怪人』の生原稿も、さらっとしれっと展示されていました。
こういった歴史的お宝の数々が、
あまりに、さらっとしれっと展示されているので、
なにげなく見ているだけでは、素通りしてしまうこと請け合いです。
『誰も寝てはならぬ』を合言葉に、
目をバキバキにして、展覧会に臨んでくださいませ。
そうそう、寝てはならない、といえば、
フランスの彫刻家ダンタンによるこんな作品もありましたっけ。
『ウィリアム・テル序曲』でお馴染みの、
イタリアの作曲家ジョアキーノ・ロッシーニの胸像です。
なぜか、高木ブーばりに眠りこけています。
なお、美食家としても有名だったロッシーニゆえ、
この胸像のロッシーニは、パスタの皿の上に載っている設定だそう。
台座には、鶏の丸焼きのレリーフも。
世の中にはさまざまな肖像彫刻がありますが、
こんなにも彫刻家にイジられている作品は無いのでは?
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