世界的に活躍したアーティスト荒川修作と、
そのパートナーで詩人であったマドリン・ギンズが、
30年以上温めていたという構想を実現させたテーマパーク。
それが、養老天命反転地です。
親孝行で有名な昔話ゆかりの養老の滝の近くに、1995年にオープン。
約18000㎡に及ぶ広大な敷地内は、
水平や垂直な線は極力排除されており、
人間の平衡感覚や遠近感を混乱させる仕掛けが施されているとのこと。
これは、来場者をヨチヨチ歩きの子どもの状態に戻すことが狙いなのだそうです。
ちなみに、希望者にはヘルメットの貸し出しもありました。
名前に「養老」とはあるものの、
足腰の弱っている方には、容赦のない(?)施設です。
そんな養老天命反転地で一番人気なスポットが、養老天命反転地記念館。
記念館とあるだけに、館内のあちこちに、
荒川+ギンズによるデッサンやイメージワークが展示されています。
しかし、来場者の大多数が、
これらの作品をほとんど観ることなく、
インスタ映えする写真撮影に夢中になっていました。
こちらでは、床と天井のデザインが対になっているため、
まさに世界が反転しているような写真の撮影ができるのです。
ちなみに。
形や色は、床と天井で完全に一致していますが。
よくよく見てみると、天井のほうには・・・・・
照明や感知器などが取り付けられてました。
あと、コンセントも。
一体何を差すためのコンセントなのでしょう??
荒川+ギンズからの哲学的な問いかけなのかもしれません。
それから、次いで人気のスポットが、
こちらのメインパビリオンである「極限で似るものの家」。
床面には岐阜県の地図(市町村が合併する前の)がプリントされています。
そして、屋根は岐阜県の形をしています。
内部に入ってみると、迷路のようになっており、
そのあちこちに、冷蔵庫やコンロ、バスタブといった、
一般的な家にあるアイテムが点在していました。
そして、ふと天井を見上げると、そこにも・・・・・
サイドボードやベッドといった、一般的な家にあるアイテムが!
実はこちらも養老天命反転地記念館同様に、
床と天井のデザインが対になっており、反転しているのです。
アート作品としては非常に面白いのですが、
いかんせん開館から30年弱、野ざらしに近い環境のため、
汚れや傷みが激しく、家は家でも、まるで廃墟のようでした。
だいぶと老化が進んでいます。
開館当時の新品の頃は、きっともっと素敵な作品だったのでしょう。
取り返しがつかなくなる前に、メンテナンスしてくれないものでしょうか。
そして、養老天命反転地最大のスポットが、楕円形のフィールド。
広大な敷地の中には、
「極限で似るものの家」を分割した9つのパビリオンが点在。
さらに、丘やくぼみ、曲がりくねった回遊路が多数設置されています。
見た目以上に、コースはハード。
ちょっとしたSASUKEのようでした。
それだけに、無事に反対側に辿り着き、
養老天命反転地を一望した時には、なんともいえない達成感がありました。
さて、ここからは養老天命反転地に行ってみて、
ちょっと気になったあれこれを紹介したいと思います。
●養老天命反転地記念館の男子トイレがスゴかった
用を足したくなったので、何気なく、
養老天命反転地記念館のトイレに入ったら、
そこもやはり普通のトイレであるわけはなく、床が傾斜していました。
用を足しづらいったらありゃしません。
なお、トイレも反転しているのかと思い、
天井に目を向けたところ、さすがに便器は設置されていませんでした。
が、代わりに、卓球台が設置されていました。
ど、どゆこと??
あと、個室のほうに関しては、
窓が取り付けられており、外が見えるようになっていました。
ということは、反転して考えたら、
外からも個室の様子が見えるということ。
精神的に、用を足しづらいったらありゃしません。
●死なない為の道があった
敷地内には、死なない為の道なる謎の道がありました。
逆説的に考えれば、死にそうになる道もあるということ。
実際、敷地内には危険なトラップが多々ありました。
こういう深い穴とか。
写真撮影に集中しすぎると、
穴や高所から落下する恐れがありますよ。
これはマジで。
●楕円形のフィールドの一部がざんない感じだった
長年、風雨に晒されてきたせいで、
極限で似るものの家以上に、汚れや傷みが顕著でした。
それゆえ、一部はアート作品に思えず。