現在、上野の森美術館で開催されているのは、
“兵馬俑と古代中国~秦漢文明の遺産~”という展覧会。
20世紀最大の考古学的発見とされる兵馬俑の謎に迫る展覧会です。
兵馬俑と聞いて、頭に思い浮かぶのは、
1974年に始皇帝陵から発見された等身大の兵馬俑です。
一体一体違う顔をしており、その総数は約8000体とも言われています。
しかし、「兵馬俑=始皇帝陵から発見されたもの」とは限りません。
兵馬俑とは、兵士や馬をかたどった像で、陵墓に収められたものの総称。
今展では、始皇帝陵の兵馬俑はもちろんのこと、
戦国、漢時代を含めた総計36体の兵馬俑が一堂に会しています。
こちらは、始皇帝陵の兵馬俑よりも前、
とある戦国時代の秦墓から発掘された騎馬俑です。
騎馬俑 戦国秦 咸陽市文物考古研究所蔵 一級文物
秦王朝における兵馬俑の、
最古の作例の一つとされています。
大きさは、22センチほど。
始皇帝陵の兵馬俑と比べると、かなり小さなサイズです。
しかも、写実性は乏しく、ゆるキャラのような姿をしています。
では、始皇帝陵の兵馬俑の後に作られた、
漢時代の兵馬俑は、どんな姿をしているのでしょうか?
実は、それらも大きさは50センチほど。
戦国時代の兵馬俑よりは、写実性はあるような気がしますが、
始皇帝陵の兵馬俑の写実性と比べてしまうと、雲泥の差があります。
こうして、前後の時代の兵馬俑と見比べてみることで、
いかに始皇帝陵の兵馬俑が特異なものであったのかが、よくわかりました。
なぜ始皇帝の時代だけ、このようなリアルな兵馬俑が作られたのか?
考えれば考えるほど、謎めいています。
そんなミステリアスな始皇帝陵の兵馬俑が、
今回の展覧会のために、10体も中国から来日!
その光景は圧巻も圧巻でした。
今にも動き出しそうなリアリティ。
圧倒的な存在感があります。
これほどまでのクオリティのものを制作したのなら、
普通に考えれば、多くの人に見せたいところでしょうが、
これらを全部墓の下に埋めてしまったところに、始皇帝の異常性を感じますね。
と、それはさておき。
来日した10体の中には、《戦服将軍俑》もあります。
戦服将軍俑 統一秦 秦始皇帝陵博物院 一級文物
約8000体の兵馬俑の中で、
将軍俑は現在まで11体しか確認されていないそう。
過去に兵馬俑展は何度か開催されていますが、
これまで一度も来日したことがなかったレア度SSRの兵馬俑です。
ちなみに。
これらの兵馬俑は制作された当時はカラフルだったようで。
プロジェクションマッピングを使って、
かつての彩色を再現するコーナーもありました。
想像していた以上にカラフル!
フワちゃんみたいな色合いだったのですね。
ちなみに。
この展覧会の見どころは、兵馬俑だけではありません!
漢の武帝が作らせたと伝わる秘宝《鎏金青銅馬》や、
鎏金青銅馬 前漢 茂陵博物館 一級文物
国宝のあの金印とよく似た《「王精」龜鈕金印》など、
「王精」龜鈕金印 漢 西安博物院 一級文物
貴重な文物が数多く出展されています。
“考古にはそんなに興味が無いんだよなァ・・・”という人もご安心を。
会場には、ゆるい動物キャラが多数勢ぞろいしていますよ。
個人的にお気に入りは、こちらの《金虎》。
金虎 戦国秦 宝鶏市陳倉区博物館 一級文物
赤塚不二夫の漫画に出てきそうな、
なんともとぼけた味わいのある虎です。
これのピンバッジがあったら、即買いするのに。
それと、もう一つお気に入りなのが、《彩色一角双耳獣》。
彩色一角双耳獣 漢 永寿県博物館
若干、エヴァの使徒感がある謎のクリーチャーです。
なんでも今、この一角獣は、
耳としっぽを立てて、絶賛威嚇中なのだそう。
小さい体ながらも、墓守として必死に頑張っているのでしょう。
そう考えると、非常に愛らしく思えてきました。
自分のお墓にも入れたいくらいです。
┃会期:2022年11月22日(火)~2023年2月5日(日)
┃会場:上野の森美術館
┃https://heibayou2022-23.jp/
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