現在、国立新美術館で開催されているのは、
“DESIGN MUSEUM JAPAN展 集めてつなごう 日本のデザイン”という展覧会です。
「日本各地に点在する<デザインの宝物>を所蔵する館や、
組織をつなぎ、日本全体を<デザインミュージアム>にすること」
を目標に掲げるNHKのプロジェクト、
『DESIGN MUSEUM JAPAN』の一環として開催されている展覧会です。
参加クリエイターは、13人。
建築界のノーベル賞“プリツカー賞”を受賞した西沢立衛さんや、
今注目のファッションブランド「アンリアレイジ」を主宰する森永邦彦をはじめ、
国内外で活躍する“デザイン界の鎌倉殿の13人”(?)が展覧会に参加しています。
彼らのプロダクトももちろん、紹介されてはいましたが。
それらは展覧会全体のほんの一部。
今回の展覧会のメインではありません。
では、一体何を展示しているのかと言いますと。
13人のクリエーターが日本各地で探した〈デザインの宝もの〉。
そのリサーチの過程や〈宝もの〉そのものが、
DESIGN MUSEUM BOXなるオリジナルの什器で紹介されています。
例えば、映像作家の辻󠄀川幸一郎さんは、
姫路市市で作られている伝統的なぶちゴマをリサーチ。
さらに、姫路市にある日本玩具博物館もリサーチし、
コマのデザインについてあらゆる視点から考察しています。
また、テキスタイルデザインの第一人者・須藤玲子さんは、
富山県にある世界的スポーツウエアメーカー、ゴールドウインをリサーチ。
過去には、東洋の魔女でお馴染みの女子バレー日本代表のユニフォームを、
近年では、ラグビーワールドカップの日本代表ユニフォームを担当したメーカーです。
このラグビー日本代表のユニフォームの特徴はなんといっても、立体構造。
選手の身体に合わせて作られたという、
世界最先端のこのユニフォームの着想源は、
意外にも、地元で開催されるお祭のあんどんなのだとか。
ちなみに。
グラフィックデザイナーの巨匠・原研哉さんが着目したのは、
世界の船舶シェア30パーセントを占めるという倉敷のプロペラメーカー。
普段、海の下にあって、
基本的に誰も目にすることができないプロペラ。
100分の1ミリの精度が必要となるため、
職人がひとつひとつ手作業で仕上げを行っているそう。
そうして生み出された“無駄なくゆるぎないかたち”に、原さんは美を見出しました。
確かに、このプロペラが美術展に展示されていたら、
ブランクーシあたりの抽象彫刻作品と思ってしまうかもしれません。
と、このように。
一流クリエイターたちによって、
スポットが当てられる〈デザインの宝物〉。
他にも、ミナペルホネンのデザイナー・皆川明さんや、
今もっとも注目を集める日本人建築家・田根剛さんも参加。
人気クリエイターたちは一体、
何に着目し、そこに何を見出したのか。
その答えは是非会場で。
デザインに精通した人だからこそ、
気づくことのできる視点がいろいろあって、純粋にタメになる展覧会です。
デザイン版『関ジャム 完全燃SHOW』といったところでしょうか。
なお、観覧料は無料となっています。