現在、銀座メゾンエルメス フォーラムで開催されているのは、
“「訪問者」クリスチャン・ヒダカ＆タケシ・ムラタ展”という展覧会。
千葉県生まれ、ロンドンを拠点に活動するクリスチャン・ヒダカさんと、
シカゴ生まれ、ロサンゼルスを拠点に活動するタケシ・ムラタさんの2人展です。
なんとなく、そのお名前から予感したかもしれませんが、
ともに、日本の血を引きながらも、海外で生活をしているアーティスト。
つまり、今回の日本での展覧会において、
彼ら自身が「訪問者」というわけでもあります。
まず、紹介されていたのは、クリスチャン・ヒダカさんの作品群です。
ルネサンス絵画やシュルレアリスム、東洋絵画、
建築や劇場といったものに強い関心を持つというヒダカさん。
その作風はまさに、そのすべてをミックスした絵画といった感じでした。
ルネサンスのようでもあり、
シュルレアリスムのようでもあり、
東洋絵画のようでも、20世紀美術のようでもあり。
でも、あまりにいろんな味が混ざりすぎているので、
多国籍料理と言いましょうか、結局のところ、何味なのかわかりません。
むしろ、絶妙に混ざることで、オリジナリティを発揮しています。
究極のブレンデッドウイスキーに近いものがありました。
ちなみに。
キャンバスに描かれた作品もあれば、
壁に直接描かれたものも多々あります。
まるで、舞台の書割のよう。
それゆえ、この展示空間そのものが、
何かしらの舞台であるような錯覚を覚えます。
さながら、「訪問者」である自分も、
この舞台における登場人物であるかのような。
基本的に写真撮影は可能なので、
舞台俳優になったつもりで、写真を撮ってみるのもいいかもしれません。
ちなみに。
個人的には、空間のあちこちにいる動物たちがお気に入り。
意外なところに、意外なキャラがいるので、
是非、隅々まで目を凝らして探してみてくださいませ。
続いて紹介されていたのは、タケシ・ムラタさん。
動画ファイルを圧縮した際に発生するエラーを用いて、
視覚効果を作る「グリッチ・アート」の先駆者として知られているそうです。
おそらくこの映像が、グリッチ・アートなのでしょう。
今展のために、液体シミュレーターでレンダリングされたという、
バスケットボールをする犬の映像作品が新作として制作されています。
液体シミュレーターでレンダリング、
と言われても、正確なところはよくわかりませんが。
確かに、アニメーションに動きが、液体のようには感じられました。
これまでに見たことない感覚だったので、
正直なところ、気味は悪く、生理的に嫌悪感を覚えました（※個人の感想です）。
同じバスケをモチーフにした映像作品でも、
『THE FIRST SLAM DUNK』とは全く似て非なるものですね。
また、ムラタさんの映像作品には、こんなものも。
会場の片隅にポツンと、それも小さなモニターゆ、
気づかない人が何人か素通りしてしまっていました。
映し出されていたのは、たぶんポパイ。九分九厘、ポパイです。
ポパイが花を手向けようとしているお墓には、『OLIVE OIL』とあります。
つまり、ポパイの彼女。
何があったのかはわかりませんが、
こちらの世界線では、オリーブは亡くなっているようです。
その時点で察するべきでしたが、
この後、ポパイらしき人物が自暴自棄を起こします。
そして、予想だにしないバッドエンド。
観なきゃよかった。
モニターに気づかなきゃよかった。
後悔が押し寄せてくる作品でした(笑)
ちなみに。
映像だけでなく、こんな作品もありました。
暗い展示空間に、突如として現れる銀の球。
それが、いきなり高速で回転を始めます。
しばらくすると、この作品全体にストロボが当てられます。
すると・・・・・・
なんか不思議と表面が、
まるでアニメーションのように、
うねうねもぞもぞ動いて見えるのです。
実に不思議な鑑賞体験。
ポパイの変なの（？）を見たのを帳消しにする鑑賞体験でした。
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