皆さま、あけましておめでとうございます。
本年は例年以上に、面白く、
かつ、お役に立てる記事をお届けできたらと。
今年もお引き立てのほど、よろしくお願いいたします。
さて、新年を迎えたら、兎にも角にもトーハクへ。
今年で20年目を迎える恒例企画“博物館に初もうで”に行ってきました。
今年も例年同様に、国宝の『古今和歌集』と、
長谷川等伯の《松林図屏風》が特別展示されています。
だが、しかし!!
それ以外は、サプライズ展示はほとんど無く、
通常時の総合文化展(=平常展)と変わり映えしないような。
いや、むしろ、通常時よりも国宝の数が少なかったので、パワーダウンしていたような。
(↑おそらく、国宝展で89件すべて出し切ってしまったのが原因かと)
強いて挙げれば、伊藤若冲の知られざる逸品、、
48図からなる拓本画『玄圃瑤華』(げんぽようか)が観られたのは嬉しいサプライズ。
モノクロの世界でセンスを発揮していたのは、ヴァロットンだけではないようです。
しかも、例年のお正月には、本館大階段の踊り場に、
立派な生け花があるのですが、今年に関してはそれも無し。
なんだか少し寂しいお正月でした。
151年目も頑張れ、トーハク!
気を取り直しまして。
“美術館に初もうで”といえば、恒例なのが、
本館で開催される干支をテーマにした作品の特集展示。
ところが・・・。
毎年会場となっている特別1室・特別2室は、ご覧のありさま。
“もしや、今年は開催されないの?”と、不安になったのですが、
どうやら場所を移して、平成館企画展示室での開催になったようです。
さて、出展されていたのは約40点。
トーハクの膨大なコレクションの中から、
うさぎにまつわる古今東西のアイテムが展示されています。
描かれたうさぎもいれば、
蒔絵で表現されたうさぎ、
武具のモチーフに採用されたうさぎなど、
さまざまなうさぎがいました。
さすがは多産なうさぎ。
美術や工芸の世界においても、
たくさんのうさぎが生まれてきたようです。
今回紹介されていた数々のうさぎの中で、
印象に残っているのは、やきものになったうさぎたち。
まずは、美濃焼の一種、御深井焼の《染付兎形皿》から。
うさぎと言えば、うさぎですが、
そう言い切るには、だいぶ怪しいところです。
『ハリー・ポッター』のドビー?
続いては、唐時代に作られた中国の《藍釉兎》。
これはもう、うさぎじゃないですね。
顔といい、フォルムといい、
佇まいといい、うさぎ要素が一つもありません。
では何かと尋ねられたら、『マヂカルラブリー』の村上でしょう。
最後は、古伊万里の《染付吹墨亭兎図皿》。
月とセットで描かれることが多いうさぎですが、
このお皿の中では、2体のUFOとセットで描かれていました。
公式の解説によれば、右下のアレは「屋形」だそうですが。
自分はそうは思いません。
ちなみに。
月とうさぎといえば、こんなアイテムも紹介されていました。
1~3世紀に朝鮮で作られた《玉兎搗薬文磚》です。
こちらは、粘土を型にはめて焼き上げたもので、
磚(=レンガのようなもの)積みのお墓に用いられた建築部材とのこと。
うさぎが杵と臼で不老長寿の仙薬を、
ぺッタンペッタンしている様を表しているそう。
・・・・・・・いや、餅よりも身体が伸びてるがな!
さてさて、最後くらいは、
ちゃんとカワイイうさぎをご紹介いたしましょう。
明治6年のウィーン万博に出品されたという、
金工家・山尾侶之による《海士玉採図石菖鉢》です。
パッと見、うさぎがいないように思えますが、
よく見ると、鉢の四隅の足がうさぎになっています。
こんな可愛いうさぎたちに、重いものを持たせるだなんて。
この作者には月に代わっておしおきしたいところです。