現在、“写実の殿堂”ことホキ美術館では、
“Let’s Travel 絵の中を旅しよう!展”が開催されています。
展覧会のテーマは、「旅」。
ホキ美術館のコレクションの中から、
選りすぐりの風景画の数々を出展して、
鑑賞者に旅行気分を味わってもらおうという展覧会です。
(注:展示室内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)
旅行先は、実にさまざま。
大畑稔浩さんによる霞ケ浦を描いた絵もあれば、
羽田裕さんによるナポリのサンタ・キアラ教会を描いた絵、
森本草介さんによるブルゴーニュ地方を描いた絵もありました。
第8波のせいもあって、
まだまだ海外旅行に気軽に行きづらい昨今、
国内旅行だけでなく、海外旅行気分も味わえるのはありがたい限り。
一度は訪れたい美術展ではあるものの、
東京駅から最寄りの土気(とけ)駅まで約1時間、
さらに、そこからバス(1時間に1本ペース)に乗って、
と、アクセスにやや難のあるホキ美術館ですが。
ナポリやブルゴーニュ地方に比べたら、
ホキ美術館はだいぶ、いや、かなり近いです。
これまで腰が重く感じていた方も、
この機会に、ホキ美術館デビューしてみてはいかがでしょうか?
なお、出展されていた作品の中には、初出展作品もいくつか。
ホキ美術館ヘビーユーザーも、見逃せない展覧会となっています。
例えば、塩谷亮さんの《立石霧景》。
立石は立石でも、せんべろで有名な葛飾区の立石でなく、
相模湾と富士山の絶景が楽しめる横須賀市の立石公園が描かれた作品です。
あたり一面が霧に包まれたさまが、実にエモい。
雲一つない快晴の景色も良いですが、
この霧の情景はこれでまた情緒的で素敵です。
写実絵画でありながら、どことなく歌川広重の浮世絵の抒情性も感じられる作品でした。
それから、もう一点見逃せないのが、《夜の鴨川》という一枚。
(注:アクリル板の反射のせいで、絵がわかりづらくて申し訳ありません!)
こちらを描いたのは、中西優多朗君。
いや、中西優多朗さんです。
すいません。高校生の頃から、
彼を知っているもので、つい君付けしてしまいました。
さて、実は、この作品に関して、
2021年に中西君より、こんなメールが届きました。
アメリカのArt Renewal Centerが主催する15th International ARC Salonで、
私の作品「Kamo River at Night(夜の鴨川)」が
Finalistに選出されましたことをご報告させていただきま
初出品でFinalistに選出されましたのは、とに~
僕のおかげであるわけがなく。
100%、中西優多朗さんの実力の賜物なわけですが。
わざわざ、こんな風にメールを送ってもらえて嬉しかったのを今でも覚えています。
それだけに、2年越しに、その作品の実物が観られて、ジーンと感動してしまいました。
もちろん、そういう個人的な思い出を差し引いても、
さすがアメリカで絶賛されただけに、素晴らしい作品でした。
特に水面の表現は絶品!
これが20歳の時の作品だなんて、末恐ろしい才能です。
引き続き、今後のさらなる活躍を温かく見守りたいと思っております。
ちなみに。
2月27日までですが、同時開催として、
“第4回 ホキ美術館大賞”も開催中です。
ホキ美術館大賞は、3年に1度開催される40歳以下向けの写実絵画のアワード。
第4回となる今回は82点の応募があり、
その中から厳選な審査を経て、25点が入選したそうです。
見事大賞に輝いたのは、大沼紘一朗さんの《流浪の民》。
そして、準賞を射止めたのは、
山澤璃咲さんの《2輪》という作品でした。
なお、来館者の投票により、
2月上旬には特別賞が決まるとのこと。
まだ、投票受付中ですので、
皆さまも是非、若き才能に清き一票を。