市原湖畔美術館の恒例企画、“市原湖畔美術館子ども絵画展”。
市原市内の幼稚園、保育園、小学校から絵を公募し、
その中から審査員によって厳選された作品を展示するものです。
こういった子ども絵画展は、
公立美術館ではそこまで珍しくはないですが。
市原湖畔美術館子ども絵画展がユニークなのは、
毎年、ゲストアーティストが会場構成を担当していること。
これまでに、アーティストの鬼頭健吾さんや、
アートディレクターの成田久さんなどがゲストアーティストを務めました。
記念すべき10回目となる今年のゲストキュレーターは、鴻池朋子さん。
彼女はゲストキュレーターを引き受けるにあたり、ある条件を提案したそうです。
それは、「審査をしない」というもの。
つまり、応募作品すべてを展示することにしました。
さらに、子どもたちには、制作するにあたって、こんなテーマを投げかけました。
そのテーマが、こちら↓
「人間以外のもので、
人間が作ったもの以外のものを表現してください」
・・・・・・・えっ、ムズっ!!
人間以外のもので、人間が作ったもの以外のもの。
なぞなぞ?それとも、哲学的なヤツ?
大人でも、かなり難しいテーマです。
果たして、こんな激ムズなテーマで、
子どもたちから作品が集まったのでしょうか。
と、勝手に心配していたのですが、
結果としては、なんと1124点の応募があったそうです!
市原市の子どもたちは、とんでもなく天才ばかりなのではなかろうか。
さてさて、そんな子どもたちが思い思いに描いた絵、
1124点ずべてが、美術館全体を使って展示されていました。
パッと見は、ただ雑然と並べてるように思えるかもしれませんが。
よーく観てみると、なんとなく、花や虫、天体など、
グルーピングして展示されていることに気づかされます。
さらに、よくよく観てみると、壁のあちらこちらに、
鴻池さんによって絵が描かれているのにも気づかされます。
それらの絵のタッチからは、鴻池さんが楽しんで描いたことが、
しかも、子どもたちの絵と対話するように描いたことが伝わってきました。
ただ、それだけに、テーマを無視して(?)、
人間を描いてしまった作品群に対しては、こんな書き込みも↓
心の声がダダ洩れです(笑)。
ちなみに。
子どもたちの絵画だけでなく、
会場のあちこちには、動物のう〇こが設置されていました。
(やっぱり、子どもはう○こが好きだから?)
もちろんこれらは本物ではなく、
精巧に作られた動物のう〇この複製。
制作したのは、鴻池朋子さんです。
また、1124人の子どもたちとの作品と、
鴻池さんの作品に混じって、モノクロ写真も展示されていました。
これらは、市原湖畔美術館のある高滝エリアに生まれ、
以来、84年に渡ってこの地で暮らしている写真家・加藤精市さんが、
高滝にダムが出来る以前に撮影した写真とのこと。
全部で16点展示されていましたが、
個人的には、この一枚がお気に入りです。
完全に、猫は鳥かごの中の鳥を狙っていますね。
鳥も気が気じゃないでしょう。
子ども絵画展というと、
絵が飾られた子どもとその親、時々、その祖父母が訪れるもの。
そんな印象を抱いていましたが。
市原湖畔美術館子ども絵画展に関しては、
一般のアートファンが観ても、十分見ごたえのある内容でした。
ちなみに。
藝大や美大の卒展ほどではないですが、
中には、やはりキラリと光る才能の持ち主も。
未来の芸術家が何人もいました。
未来のラッセンもいました。