岐阜県石山駅から、バスで約50分。
「こんなところに美術館なんて、本当にあるの??」
と、心配になってしまうくらいの山奥に、その美術館はありました。
MIHO MUSEUMです。
・・・・・と思ったら、これは、受付カウンター。
肝心のMIHO MUSEUMは、この500メートル先にあるのだとか。
というわけで、歩きます。
トンネルが見えてきましたが、まだまだ歩きます。
トンネルの中も、歩きます。
そして、トンネルを抜けると、そこに・・・
MIHO MUSEUMが現れました!
『桃源郷』 をイメージして、世界的な建築家イオ・ミン・ペイが設計した美術館とのこと。
ちなみに、イオ・ミン・ペイは、ルーブル美術館のガラスのピラミッドを設計した建築家。
なるほど、何となく通ずるところがある気がします。
さて、この桃源郷のようなMIHO MUSEUMは、
神慈秀明会の会主・小山美秀子のコレクションを展示するために1997年に開館した美術館。
アプローチの方法や全体的な雰囲気など、なんとなく熱海のMOA美術館っぽい印象を受けましたが。
どうやら、神慈秀明会なる宗教団体の教祖が、岡田茂吉とのこと。
繋がりは、かなり深そうです。
それはさておきまして。
現在、こちらのMIHO MUSEUMでは、 “土偶・コスモス” が開催中です。
こちらは、北は北海道から、南は九州まで、
120か所近くの遺跡から出土した土偶が、約220点も大集結した過去最大規模の土偶展!
その規模は、3年前に、トーハクで開催された “国宝 土偶展” を遥かに圧倒していました!!
しかも、国宝指定されている4件の土偶も、すべて勢ぞろい!
これぞまさしく、最強オールスターの土偶展。
土偶の紅白歌合戦、土偶のFNS歌謡祭、土偶のレコ大、
土偶の年忘れにっぽんの歌…というような超豪華な顔ぶれの土偶展でした。
おそらく、これを超える土偶展は、二度と開催出来ないと思います。
強がりでもなんでもなく、 「滋賀県まで足を運んで良かった!」 と思える展覧会でした。
さてさて、今回の土偶展の面白さは、何と言っても、日本全国から出土した土偶の多種多様さ。
余計なことは考えずに、純粋に、その形態の面白さ、そのデザインセンスに驚かされること必至です。
印象に残った土偶の数は、100体以上ですが。
抜粋に抜粋を重ねて、数体ほど、ご紹介いたしましょう。
まずは、初期の 《小形土偶》
和製クッキーマン?
これのクッキー (ビスケット?) があったら、即買いです!
続いて、青森県産の 《立像土偶》
「なんと りゅうぞうどぐうが おきあがり なかまに なりたそうに こちらをみている!」
・・・・・まぁ、仲間にはしませんけども (笑)
こちらの宇宙人みたいな土偶は、その名も、 《アスファルト土偶》
目元の黒い部分に埋め込まれているのが、天然のアスファルトなのだそうな。
縄文時代から、アスファルトがあったという事実に衝撃!
縄文時代とアスファルト・・・。全然結びつきません!!
今回の土偶展には、もちろん土偶界のメジャーどころ 《遮光器土偶》 も出展されています。
何を表しているのか、いまだに謎なのだとか。
僕には、木村太郎や北村弁護士に見えます。
変わり種の土偶も、たくさんありましたが。
《動物型土製品》 は、その中でも、もっとも印象的。
「イルカ型」 でも 「豚型」 でも 「アザラシ型」 でもなく、 「動物型」 。
何の動物かは、よくわからないことが、そのまま名前に現れていて面白いです (笑)
逆に、名前を付けた人に、 「言い切ったなァ!」 と感心してしまったのが、
こちらの 《みみずく土偶》 。
いやぁ、みみずくには見えません。
おそらく、この土偶の作者も、
「みみずくじゃないんだけどなぁ (苦笑) 」
と、草葉の陰で泣いているはず。
そこにいくと、 《異形土偶》 は、無難なネーミング (笑)
確かに、 『異形』 以外の何物でもありません。
今回の土偶展は、ただ単に、日本全国の土偶を集めて並べただけでなく。
土偶に関する様々なトピックも交えて紹介するなど、工夫もかなり凝らされていました。
特に、興味深かったのは、土偶に魅せられた現代の文化人を紹介するコーナー。
意外な人物と土偶の組み合わせに、興味津々でした。
例えば、ノーベル文学賞者・川端康成も土偶好き。
20世紀を代表する肖像写真家ユーサフ・カーシュによって撮影された肖像写真は・・・
自慢の 《縄文土偶・女子頭部胸部》 との2ショット。
プリクラみたいなポーズの川端康成を初めて観ました(笑)
(ちなみに、 《縄文土偶・女子頭部胸部》 の実物も展示されています)
そして、日本民藝館を設立した柳宗悦も土偶に魅せられた人物の一人。
この 《岩偶》 に一目惚れした彼は、
「日本民藝館のすべてのコレクションと取り換えてでも、この岩偶が欲しい!」
と発言したのだとか。
館長ご乱心でござる。
とりあえず、日本民藝館のコレクションが、
この 《岩偶》 1点だけという事態が避けられて、ホッと一安心です (笑)
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土偶・コスモス
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