昨年11月20日、
市原市に新たなミュージアムがオープンしました。
その名も、市原歴史博物館。
市原で出土した資料や、
市内で伝えられてきた資料などを展示するミュージアムです。
愛称は、「I’Museum(アイ・ミュージアム)」。
「I」には、市原(Ichihara)の頭文字と、
市原市民が「私の(I)」ミュージアムに感じられる、
そんな2つの意味が込められているそうです。
なお、I’Museumのすぐ近くに、
歴史体験館も同時オープンしたそう。
こちらでは、古墳や古代住居、発掘現場などが再現されています。
さらに、さまざまなものづくり体験ができる施設となっていました。
ただ、床が土なので、体感的にはほぼ外のよう。
冬に訪れたら、普通に寒かったです。
防寒対策はしっかりと行ってくださいませ。
と、話をI’Museumに戻しまして。
メインとなる常設・企画展示室には、
市原に関するさまざまな資料が展示されています。
それらの中には、市原市内の古墳で出土したハニワや、
昨年の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』で、
佐藤浩市さんが演じて話題となった上総広常に関する資料も。
中でも、ミュージアムの目玉となるのが、こちらの《「王賜」銘鉄剣》。
市原市内の稲荷台1号墳から出土した銘文がある古代の鉄剣(=有銘鉄剣)です。
もはや剣には思えないくらいに、
全体的に、錆びてボロボロしていますが。
持ち手の部分をよーく観てみると・・・・・
「王賜」の文字が、銀象嵌で施されているのが見て取れます。
ちなみに、その下には、「敬」と「安(と推定される)」の文字も。
さらに、反対側の面には・・・・・
「此廷」の字が象嵌されています。
他の文字が確認できないので、
もともとの文章は推測するしかありませんが、
王から賜った、つまり王が授けた刀であることでほぼ間違いないそう。
なお、詳細は省きますが、その「王」とは、
允恭天皇である可能性が高いとされているとのことです。
さてさて、有銘鉄剣は、埼玉県から出土した国宝の「金錯銘鉄剣」を筆頭に、
日本全国で他に7例が確認されており、すべて国宝か重要文化財に指定されています。
《「王賜」銘鉄剣》は、それらよりも古いとみられており、
現在のところ、国内最古の有銘鉄剣とされているそうです。
ところが、《「王賜」銘鉄剣》は国宝でも、重要文化財でもありません。
その理由は、稲荷台1号墳を発掘調査を担当した男性が、
無断で《「王賜」銘鉄剣》以外の出土品を持ち去り、最近まで占有していたから。
そのせいで、国重要文化財への指定要件である報告書が作成できなかったのだそうです。
市原市が男性を提訴し、昨年ようやく和解に。
出土品の返還の目途が経ったため、
報告書作成が可能になるとのことで、
急ピッチで、文化財指定への準備が進められているそう。
近いうちに、重要文化財に、
いや、国内最古の有銘鉄剣ゆえ、
国宝に指定される可能性も大いにありそうです。
ちなみに。
I’Museum Centerの展示品の中で個人的に推したいのは、
三島台遺跡から出土したという弥生時代の人面付き土器です。
顔が完全におじいさん。
生気の抜けた毒蝮三太夫みたいな顔をしていました。
ジジイ、元気出せよ!