昨日の記事では、その全貌をお伝え出来なかったので、
本日も引き続き、マツモト建築芸術祭の話題をお届けいたします。
昨日紹介しきれなかった作品にもまだまだ、
池上亭土蔵に展示されていた井田幸昌さんの彫刻作品や、
レストランヒカリヤ会場の後藤宙(かなた)さんの作品、
大正時代に建てられた旧小穴家住宅を会場に、
和室とガレージで展開される鬼頭健吾さんのインスタレーション作品など、
印象に残った作品は多々ありますが、
インパクトという点において、やはり一番印象に残っているのは、
松本市屈指の茶室ともいうべき、池上百竹亭茶室を使った展示でしょうか。
こちらを担当したのは、今展の出展作家の紅一点、
イギリスのマン島出身の動物彫刻家ステファニー・クエールです。
躙り口から覗いてみると・・・・・
!!!!!
まるで森のような光景が広がっていました。
茶室に小宇宙を感じる、とは言いますが、
まさか、茶室で緑の惑星を感じることになろうとは。
わびさびもへったくれもありませんが、
ここまでやり切っていると、逆にすがすがしさすら覚えました。
本展には、ステファニー・クエールともう一人、海外のアーティストが参加しています。
スウェーデン出身で、現在は東京を拠点に活動する写真家ヨーガン・アクセルバルです。
会場となるのは、こちらの旧油三洋裁店。
その建物内には、彼の写真とともに、
ファッションブランドamachi.の服が配されています。
実は、ヨーガンの写真に映っているのも、amachi.の服。
しかも、モデルを務めているのは、
なんと、地元の商店街の店主の皆さまなのだとか。
ヨーガン・アクセルバル×amachi.×松本市。
間違いなく、ここでしか観られないコラボです。
また、旧三松屋蔵座敷に展示されていたのは、
オランダのデザインユニット、ドローグ・デザインのプロダクトの数々。
彼らのデザインのコンセプトは、
「何色にも染まらず、ユーモアとウィット、
ちょっぴりの皮肉をあなたの日常に」とのこと。
照明器具にもなるハンガーや、
85個もの電球が集まったシャンデリアなど、
遊び心のあるプロダクトの数々に、思わずニヤリとさせられます。
ちなみに、展示されているプロダクトの中には、実際に購入できるものもあるそうです。
続いて紹介したいのは、かわかみ建築設計室のMISSISSIPPIさんの作品群。
名前は、だいぶアメリカンですが、
京都在住の日本人画家、コミック作家です。
初めて目にする絵画なのに、どの作品も、
どこかノスタルジックで、郷愁を感じずにはいられませんでした。
ステキな作品で、一発でファンになってしまいました。
とそれだけに、気になったのは、
作風と、MISSISSIPPIという作家名が合っていないような。
老婆心ながら、改名することを提案したいと思います。
ファンになったと言えば、村松英俊さんも。
彼は、道具など規制品の一部を、
大理石などの石に置き換える作品を制作しています。
冷静に観れば、違和感しかないはずなのですが、
もとからこうであったかのような、不思議な説得力がありました。
どの作品も時間も労力もかかっているでしょうが、
トップクラスで時間と労力がかかっているであろう作品が、こちら↓
なぜ、作ってみようと思ったし!
その制作の苦労を想像するだけで、ゾッとしました。
最後に紹介したいのは、旧司祭館。
長野県内に現存する最古の西洋館です。
この建物全体を使って、岡本亮さんによるアートブランド、
『CALMA by Ryo Okamoto』のインスタレーションが展開されています。
入り口からフルスロットル全開でしたが、
その圧倒的な世界観は、1階の部屋のみならず、
階段を上がって、2階の部屋でも健在。
いや、むしろ奥に進めば進むほど、パワーが増していたような。
この旧司祭館での展示を観るためだけでも、
マツモト建築芸術祭を訪れる価値は十二分にありました。
こんなハチャメチャな空間になるとは。
かつてここに住んでいた宣教師も、
天国でさぞかしビックリしていることでしょう。