三井記念美術館の春の恒例企画、“三井家のおひなさま”。
三井家の夫人や娘が大切にしてきたひな人形やひな道具を一堂に展示する展覧会です。
(注:展示室内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)
美術館が2005年に開館して以来、
毎年のように開催されていましたが。
2020年に、コロナのせいで、会期半ばで閉幕したのを最後に開催されておらず。
今年2023年に、実に3年ぶりに開催される運びとなりました。
一口に、ひな人形といっても、その種類はさまざま。
現代でももっともポピュラーな内裏雛をはじめ、
もともとは能面師が作ったとされる顔が特徴的で、
江戸時代の享保年間頃から流行しだした豪華なひな人形、享保雛、
江戸時代中期に雛屋次郎左衛門という人形師が創始したという、
団子のような丸顔に引目鉤鼻が特色の素朴な雰囲気のひな人形、次郎左衛門雛など、
多様なバリエーションのひな人形が紹介されています。
その中でも特に印象的だったのが、こちらのひな人形↓
なんか、地味。
なんか、背中が曲がっています。
派手なひな人形に混じって、
肩身が狭い思いをしているのかと思いきや。
こちらは、朝廷や公家の実際の装束(=有職装束)を忠実に写した有職雛と呼ばれるもの。
江戸時代中期以降、公家や大名といった、
上流階級が人形師に特注で作らせていたようで、
近代以降も、上層階級の間で好まれたひな人形なのだそうです。
本当のお金持ちほど、着るものはシンプル。
それに近いものがありますね。
さて、展覧会の目玉は何と言っても、
北三井家十一代・三井高公の一人娘、
浅野久子氏から寄贈された幅3mの豪華なひな段飾りです。
京都の丸平大木人形店、
五世大木平藏に特別に作らせたもので、
そのお値段は、一軒家が経つくらいとのこと。
なお、右上の紫宸殿を模した建物は、
本当に檜皮葺で作られているのだそうです。
はぁ~(*´Д`)
豪華絢爛なひな人形やひな道具の数々を目にして、
その美しさや造形の素晴らしさに見とれてしまう一方で。
当たり前ですが、三井家の皆さまと僕のような庶民は、
住む世界がまったく違うという事実をまざまざと見せつけられ、
若干、切ない気持ちにもなる展覧会でもありました。
ちなみに。
最後の展示室にあたる展示室6と7では、
特集展示として、“近年の寄贈品—絵画・工芸・人形など—”が開催されています。
三井記念美術館に近年寄贈された作品の中から選りすぐりのものを展示。
それらの中には、河鍋暁斎の戯画や、
浜口陽三の初期の銅版画作品も混じっています。
最後に。
展示されていたひな人形の中に、こんなものもありました。
陶製の福雛とのこと。
それはそうと、菱餅のカラーリングが気になります。
ファミマ??