現在、東洋文庫ミュージアムで開催されているのは、
“フローラとファウナ 動植物誌の東西交流”という展覧会。
フローラとファウナ、つまり植物図譜と動物図譜、
東洋文庫が所蔵する動植物図鑑・図譜にスポットを当てた展覧会です。
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展覧会の冒頭で紹介されていたのは、
『アリストテレス全集』やプリニウスの『博物誌』。
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アリストテレスやプリニウスといった、
古代ギリシア・ローマの学者たちによって始まった「博物学」。
もともと「博物学」とは、動物や植物、鉱物など、
自然界に存在するあらゆるものを総合的に研究する学問でした。
一方、東アジアにおける動植物に関する学問は、中国生まれの「本草学」。
ただし、博物学とは違って、人間にとって有益かどうか、
つまり、薬になるのか、その効能は何かに重点が置かれてます。
こちらは、日本に大きな影響を与えたという中国の本草学の書↓
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李時珍による『本草綱目』の初版本です。
とても貴重なものだそうで、
現存する初版の完本は、わずか7点だけなのだとか。
ただ、それはそうと、鉱物の描写がいくらなんでも雑すぎるような・・・。
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このビジュアルで、一体何を学べというのか。
ほとんど全部同じように見えました。
さて、日本における本草学の歴史の中で、
とても重要な一冊が、写真右の『和漢三才図会』です。
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左に展示されているのは、中国の本草書『三才図絵』。
それを元に、江戸時代の僧、寺島良安が、
約30年かけて編纂した日本初の本草書です。
寺島良安は、ただ和訳しただけにあらず。
実は、『三才図絵』に記載された絵の中には、
実際の動植物を観ないで描かれたものもありました。
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開かれたページに描かれていた、
2つの魚がくっ付いた奇妙なこの生きものは、
なんと、カブトガニの挿絵として描かれたもの。
『和漢三才図会』では、ちゃんと正しい姿に描き直されています。
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ちなみに。
『三才図会』には他にも、
ヘンテコな生き物たちが描かれています。
例えば、こちらはヒグマ。
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実際のヒグマと違って、
こいつになら勝てそうな気がします。
若干、変質者感はありますが。
それから、こちらはムササビとのこと。
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ムササビの「ム」の字もありません。
適当に描くにもほどがあります。
なお、『三才図会』には、架空の生きものも描かれているそうです。
その中で紹介されていたのが、
こちらの屏翳(へいえい)なる生きもの。
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なんだお前。
耳から蛇が飛び出ていて、
両手にも蛇を持っているって。
どういうキャラ設定なんだ。
さて、『和漢三才図会』とほぼ同時期に、
本草学者・貝原益軒によって出版されたのが、『大和本草』です。
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こちらも、日本における本草学の本としては、超重要な一冊。
中国の本草書に掲載されているのは当然、中国の動植物です。
しかし、『大和本草』で紹介されているのは、日本に分布している動植物。
そう、完全オリジナルの日本版の本草書というわけです。
というように、今展では、知っているようで知らない、
日本の本草学、動植物学の歴史が一級の資料とともに学べます。
それらの中には、シーボルトが刊行した動植物図誌や、
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次の朝ドラの主人公のモデルとなった牧野富太郎が自費出版した植物図鑑、
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東洋文庫のご近所が染井であることにちなんで、
染井で誕生した桜の品種「ソメイヨシノ」も掲載された江戸時代の園芸指南書も。
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また、日本に限らず、東西の図鑑・図譜の名品も充実。
世界一美しいと称されるジョン・グールドによる鳥類図鑑『アジアの鳥類』をはじめ、
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シーボルトに「日本のリンネ」と言わしめた小野蘭山による『衆鳥図』、
伊勢長島藩の五代藩主を務めた増山正賢(雪斎)による『草花写生図』など、
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学問のことは抜きにしても楽しめる、
絵として純粋に美しい展示品も数多く紹介されていました。
ボタニカルアートや動物の絵画が好きな人にはたまらない展覧会です。
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ちなみに。
紹介されていた東西の図鑑・図譜の名品の中には、こんなものも。
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江戸後期に描かれたという『諸蟹譜』です。
描かれているのは、珍しい蟹の数々。
いや、いくらなんでも、珍しすぎるような・・・?
こんな昭和レトロなドアノブカバーみたいな蟹、本当にいるのでしょうか??
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