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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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特別展「東福寺」

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現在、東京国立博物館では、“特別展「東福寺」”が開催されています。

 

(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)

 

 

京都を代表する禅寺の一つ、東福寺。

その寺宝をまとめた形で一挙公開する初の展覧会です。

キャッチコピーは、

 

「圧倒的スケール、すべてが規格外。」

 

とのこと。

 

確かに、鎌倉時代に創建した摂政・九条道家が、

東大寺の壮大さと興福寺の盛大さを兼ね備えた最高の寺院を目指し、

一字ずつを取って「東福寺」と名付けたという、そのネーミングセンスは規格外ですが(笑)。

正直なところ、東福寺に対して特に、規格外な印象はありませんでした。

それだけに、あえてコピーで盛らないといけないくらいに、

全体的に地味な感じの展覧会なのだろうとさえ思っていました。

 

が、しかし!!

 

展覧会を観て、大いに反省しました。

東福寺の皆さま、展覧会の関係者の皆さま、大変申し訳ございません。

まさしくキャッチコピー通り、

「圧倒的スケール、すべてが規格外。」な展覧会でした!

 

 

 

ここ近年で観たお寺関連の展覧会の中でも5本の指に入るほど。

 

 

 

東大寺展と興福寺展。

その2つを足したものと張れるくらいの展覧会です。

星星星

 

 

さてさて、展覧会の目玉は何と言っても、吉山明兆(きっさんみんちょう)

字面だけ見ると、高級料亭のようですが、

東福寺を拠点に活動した伝説の絵師の名前です。

今でこそあまり知名度は無いですが、江戸時代までは、

吉山明兆の名は、雪舟と並び称されていたほどだったとか。

今展では、そんな吉山明兆の優品の数々が一挙公開されています、

 

重要文化財 達磨・蝦蟇鉄拐図 吉山明兆筆 室町時代・15世紀 京都・東福寺蔵
(注:展示期間は3月7日~4月9日)

 

 

 

さらに、若き日の吉山明兆が挑んだ超大作、

全50幅からなる《五百羅漢図》も3期に分けて一挙大公開!

 

 

 

14年(!)にもわたる修理が行われていたようで、

今回の展覧会で、その修理後初めて、現存する全幅がお披露目されるそうです。

できることなら、3期とも通って、コンプリートしたいところですね。

 

重要文化財 五百羅漢図のうち第1号幅 吉山明兆筆 南北朝時代・至徳3年(1386) 京都・東福寺蔵

(注:展示期間は3月7日~3月27日)

 

 

なお、《五百羅漢図》は気にはなるけど、

仏教美術の素養が無いから楽しめる気がしない…。

そんな風に悩んでいる方、ご安心を。

誰でも《五百羅漢図》が楽しめるように、

展覧会では、こんな規格外のガイドが用意されていました。

 

 

 

そう、漫画風のガイドです。

この画期的なアイディアにも脱帽しましたが、

これを許した東福寺の懐の深さにも脱帽しました。

 

画期的といえば、展示スタイルもまた画期的。

 

 

 

これまでの仏教美術展では見たことないような配色、

見たことないようなポップな造作が随所に設けられていました。

国宝の《円爾宛尺牘(板渡しの墨跡)》なんて・・・・・

 

 

 

どことなく、ドラえもんを彷彿とさせるパネルに展示されていましたし。

仏教美術展のネクストステージといった感じでした。

 

 

ちなみに。

ポップな色味のパネルに展示されていた作品の中には、こんなものも。

 

 

 

こちらは、東福寺を開山した円爾の孫弟子で、

東福寺第15代住職だった虎関師錬による書です。

 

虎 一大字 虎関師錬筆 鎌倉~南北朝時代・14世紀 京都・霊源院蔵

 

 

書かれているのは、本人の名前にもある「虎」の一字。

しかしながら、解説によれば、

虎そのものを描いた絵画のようにも見えるとのこと。

まぁ、虎に見えなくもないですが、虎というよりは、

個人的には、クラウチングスタートする人に見えました。

 

なお、展覧会では他にも、

頂相(=僧侶の肖像画)屈指の個性的フェイスや、

 

重要文化財 癡兀大慧像 鎌倉時代・正安3年(1301) 京都・願成寺蔵
(注:展示期間は3月7日~4月2日)

 

 

東福寺屈指の映えスポット・通天橋の再現など、

 

 

 

見どころが多数用意されています。

もう十分満喫した、そんなお満腹状態で、

最後に待ち構えていたのが、仏像コーナーです。

 

 

 

コース料理を食べ終わったと思ったら、

その後に、ステーキが出てきたくらいのボリューム!

普通に仏像展としても、印象深い仏像が多々揃っていました。

中でも個人的に印象に残っているのが、こちらの《伽藍神立像》です。

 

 

 

実に、人間臭い表情。

実に、人間臭い立ち振る舞い。

商工会議所にいそうな感じの雰囲気を醸し出していました。

 

 

なお、展覧会ラストの仏像彫刻コーナーで、

ひと際異彩を放っていたのが、記事の冒頭でもチラッと登場した《仏手》です。

 

 

 

こちらは、立てば15mあったという東福寺旧本尊坐像の左手の部分。

1881年に火災が起きた際、この左手のみが救出されたのだそうです。

 

 

 

左手のみ、とはいえ、圧倒的な存在感があります。

思わず目を惹きつけられるものがありました。

結婚記者会見で結婚指輪をアピールしている時くらいに目を惹きつける左手でした。

 

なお、展覧会では、この《仏手》を激推ししているようで、

さまざまな仏手グッズが発売されていました。

 

 

 

何も知らない人からすれば、

何のこっちゃ?なミュージアムグッズです(笑)。

 

 

 ┃会期:2023年3月7日~5月7日(日)
 ┃会場:東京国立博物館 平成館
 ┃https://tofukuji2023.jp/
 

 

 

 

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