本日3月20日。
誕生日を迎え、ついに40歳となりました。
孔子は、「四十にして惑はず」と言ったそうですが、
凡人である僕は、40歳になってもまだまだ惑っています。
アートテラー人生の方向性なんて定まる気配がありません。
とはいえ、40歳ともなれば、
さすがに少しは成長しているはず。
そう思って、過去のブログの記事を見返してみたところ、
まぁ、出るわ出るわ、若気の至りの一言では片づけられないヒドい発言が。
記事の設定を非公開にして、封印してしまいたいところですが、
自分への戒めもかねて、今日はあえて、過去の発言を晒してみようと思います。
今でこそ、やきもの好きな僕ですが、
アートテラーを始めた当初は、まったく興味が無かったようで・・・。
根津美術館でかつて開催された、
“南宋の青磁 宙 (そら) をうつすうつわ”の記事では、こんな発言をしていました(2010-10-07)。
砧青磁が素晴らしいのは、重々に承知していますが。
陶磁器にあまり興味が持てない僕の率直な美術展の第一印象は、
“うわぁ~、カラーバリエーション少ねぇ…”
でした (笑)
基本的に、会場には、宙色・青磁色の一色しかないもので。
“・・・・・うん。何となく雰囲気を掴んだし、もう帰っちゃおうかな”
と、思ったのは、美術展会場に入って、3分後のこと。
今の僕ならば、国内にある砧青磁を一挙に展示した、
この展覧会がいかにスゴいものだったのか、よくわかります。
その感想が、“カラーバリエーションが少ねぇ”だなんて。
ちなみに。
その1年前、現在の泉屋博古館東京が、
まだ泉屋博古館分館だった頃の“板谷波山をめぐる近代陶磁”では、
記事の冒頭から、こんな発言をしていました(--
おとといは、泉屋博古館分館で、
6がつ14にちまでかいさいちゅうの、
“板谷波山をめぐる近代陶磁” をみてきました。
まだまだこどものぼくには、
つぼとかかびんとかのよさは、よくわかりませんでした。
このびじゅつてんには、「ほしがつけられないな」 とおもいました。
おわり。
面白くもないし、最悪の発言!
完全なるクソレビューです。
やきものに限らず、写真にも興味が無かったようで。
写真展に対しても、たびたびヒドい発言をしていました。
ただ単に、東京都写真美術館のコレクションの中から、
「旅」 をテーマにした写真をピックアップして、展示した美術展。
冒頭でも言いましたように、
写真にさして興味がない僕にとっては、
ビックリするほど無感動な美術展でした (笑)
“ふ~ん…”
と、気のない反応を連発。。。
いや、ほとほと写真展とは、フィーリングが合わないようです。
決して、写真展として、つまらなかったわけではないでしょうが、
僕の個人的な印象・感想を100%と反映させますと、星なし。
全180点の展示品、そのほとんどに対して、
“ふ~ん…” としか思わなかったので、これ以上記事を書ける気がしません (笑)
『“東方へ 19世紀写真術の旅”(2009-06-23)』より
若い頃はとにかく本音を言うことが、
アートテラーの正義と思っていた節があったようで。
いろんな美術館に嚙みついていました。
特にそのやり玉に挙がっていたのが、今は無き品川の原美術館。
“MU[無]─ペドロ コスタ&ルイ シャフェス”という展覧会に対しては、こんな感想を(2012-12-16)。
前から薄々感じていましたが、原美術館の美術展は、
コアな美術ファンでなければ、楽しめないものが多い気がします。
その上、美術の見方がわからない人に対する配慮は、ほとんど無し。
“わかる人だけ、わかればいい”感が強いのです。
今回の美術展も作品に対する説明はほぼ無く、
ペドロとルイというマニアックな2人の美術作品を、
フツーの方が楽しめるのかは、はなはだ疑問。
正直に言って、今回の美術展は、
最初から最後まで、僕の心に響くものがありませんでした。
もう少し解説があれば、違ったのでしょうが。
ともあれ、あくまで個人的な感想としては、
「入館料として支払った1000円が “無” になってしまったなァ」 という感じ。
こんな生意気なことを言っていたのに、
『東京のレトロ美術館』のロケに快く応じてくださった、
しかも、表紙に写真を使わせて頂いた原美術館さんには感謝しきりです。
原美術館と同じくらいに、辛口発言をたびたびしていたのが目黒区美術館。
今はそんなこと、みじんも思っていないですが、
2009年の頃の僕は、こんな風に思っていたようです。
目黒区美術館の美術展は、とにかくマニアック!
そのマニアックぶりは、他の追随を許しません。
『普通に考えて、普通に人が行かないような美術展を、普通に開催する。』
それが目黒区美術館なのです。
正直言って、最初から最後まで楽しみどころがわからなかった美術展でした。
おそらく、この炭鉱の美術展は、炭だけに、目黒区美術館の黒歴史になることでしょう。
『‘文化’ 資源としての <炭鉱> 展(2009-11-27)』より
お前の発言のほうが、黒歴史だよ。バカヤロウ。
埼玉県立近代美術館さんに対しても、
過去には、こんな最低発言をしていました(2009-05-03)。
『MOMAS(モマス)』 とは、埼玉県立近代美術館(The Museum of Modern Art, Saitama)の略称。
“あれあれ?似たような名前で、 『MoMA(モマ)』ってなかったっけ??”
『MoMA』 は、ニューヨーク近代美術館(The Museum of Modern Art, New York)の愛称です。
ということは、それに埼玉の『S』を付けただけ…
何ともこそばゆいネーミングセンス。
そんなんだから、 「ダさ○たま」と揶揄されるのです!
埼玉県立近代美術館だけでなく、
埼玉県民全員にお詫び申し上げます。
大変申し訳ございません。
千葉県生まれの悪い部分が出てしまいました。
とはいえ、地元千葉県の千葉市美術館に対しても、
2009年に数年ぶりに訪れた際に、このような発言をしていました。
数年ぶりくらいに、千葉市美術館に行ったのですが、
“え~…こんな美術館だったっけ。。。”
と、千葉県民として非常にテンションが下がりました。
正直、他の県民に、あまり見せたくはない施設です。
東京の美術館と比べて劣っているのは、もちろんのこと。
先日、訪れた埼玉県立近代美術館にも、完全に負けてました。
東京に負けるのは、全然構わないですけども、
埼玉県にも負けるだなんて (泣) !
さらに、記事は続き。
千葉市美術館がいかに残念だったのかを、
当時ブレイクしていた芸人、鉄拳のパロディで、
『こんな千葉市美術館には行きたくない!』という形で紹介。
・床が教室みたいだ
床が、学校の教室でよく見ていた木のタイルでした。
そのせいで、全く美術館っぽくなかったです。
しかも、ワックスが “これでもか!” ってくらいに掛けられていて…。
それは、もうピッカピカでした。
・空調がうるさすぎる
会場内で、 「グワァングワァン…」 という低い音が断続的に鳴り響いていました。
しかも、この音を出しているのは、今まで見たことないくらい大きなサイズの空調機。
跳び箱8段よりも大きかったです。
・休憩所が変だ
展覧会場内に『休憩所⇒』という張り紙があったので、
矢印の方向に進むと、そこには、ソファーが1脚あるだけのごく狭いスペースが。
しかも、ほとんど照明がついていない。。。
絶対、休憩できないと思ったので、そのまま引き返しました。
そこまでしてディスるなよ。
こんなアートテラーはイヤだ!
そう、過去の自分に言ってやりたいです。
さてさて、ここまで紹介してきた発言も充分最悪ですが。
今回発掘した中で、自分でもっともドン引きしたのが、
山種美術館の“松岡映丘とその一門”(2009-02-06)の記事でのこの発言でした。
山種美術館に行くと、
「おじいさん、おばあさんばっかりだなぁ」と、
毎回思うのですが、今回ももれなく思いました(笑)。
会場にいる観客さんだけでなく、職員さんもお歳をめされています。
さらには、展示品のキャプションに、
作家がその作品を描いた時の年齢も記載されているのですが。
そのほとんどが60歳以上ばかりで。
作家たちまでが、お歳をめされてる。
マジでどうかしてる発言ですね。
ぶん殴ってやりたい。
美術展のレビューというか、単なる風評被害です。
改めて、過去の自分の言動を振り返って、
なぜ、今こうして自分がアートテラーを続けていられるのか、
美術界の皆さまに可愛がっていただけているのか、わからなくなってきました。
ただ一つ言えるのは、あの頃の無暗に噛みついていた自分は死にました(笑)。
生まれ変わったアートテラーとして、これからも全力で美術界のお役に立てるよう頑張ります!