昨年秋、東京国立博物館にて、
館が所蔵する国宝を一挙公開する展覧会が開催され、
チケットが争奪戦になるほどの話題となりました。
あれから約3か月―
開館70周年を迎えた東京国立近代美術館は、それを記念し、
スペシャルな展覧会として、“重要文化財の秘密”を開催しています。
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(注:展示室内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)
「史上初、ぜんぶ重要文化財」。
そんなキャッチコピーにある通り、
出展作品が重要文化財だけで構成された展覧会です。
そう聞いて、
“なーんだ、重要文化財かー。国宝は1つもないんだー”
と、興味が失せてしまった方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、今展で紹介されているのは、
重文は重文でも、明治以降の美術工芸品の重文です。
今現在、重文は建造物も併せたトータルで、13342件もありますが、
実はその中で、明治以降の美術工芸品の重文となると、たった68件しかありません。
今回、東京国立近代美術館には、その68件のうちの、なんと51件が集結!
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それらの中には、高橋由一の《鮭》や、
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重要文化財 高橋由一《鮭》 1877(明治10)年頃 東京藝術大学蔵 通期展示
岸田劉生の《麗子微笑》といった、
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重要文化財 岸田劉生《麗子微笑》 1921(大正10)年 東京国立博物館蔵 Image:TNM Image Archives
(注:展示は、4月4日~5月14日)
教科書でお馴染みの作品も多数含まれています。
さらに、宮川香山による超絶技巧のやきものや、
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明治以降の重文としては唯一の木彫となる高村光雲の《老猿》(東京国立博物館蔵)、
さらには、伝説の鋳金家といわれた鈴木長吉の《十二の鷹》(国立工芸館)などといった、
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日本代表として海外の万博に出品され、
世界の人々をアッと言わせた工芸品の数々も招集。
まさに、明治以降の美術界のスーパースター、
明治以降の美術界の侍ジャパンといったところです。
重要文化財は、原則年間で60日しか展示できません。
普通に考えれば、なるべく自分の館で公開したいものです。
これだけ集めた東京国立近代美術館も素晴らしいですが、
快く自分の館のスター選手を送り出してくれた各館の心意気も素晴らしい!
これを超える明治以降の美術展は、当分開催されることはまず無いでしょう。
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さてさて、2018年の横山大観展以来、
全40メートル一挙展示される《生々流転》や、
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重要文化財 横山大観《生々流転》 1923(大正12)年 東京国立近代美術館蔵 通期展示
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源頼朝と義経が初めて出会う場面を描いた、
『鎌倉殿の13人』ファンには胸アツの安田靫彦《黄瀬川陣》(東京国立近代美術館蔵)など、
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見ごたえある作品は多々ありますが、
いや、見ごたえある作品しかないですが。
個人的に特に印象に残っているのは、新海竹太郎の《ゆあみ》です。
ブロンズ像のものは、東京国立近代美術館の常設展示で、よく目にしていますが、
今回の展覧会では、重要文化財に指定されているその石膏原型が展示されていました。
それと、漆喰製の台座も。
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ブロンズで気が付きづらいですが、
石膏だと、女性の胸から太腿にかけて、
濡れた薄い手ぬぐいが張り付いているのがよくわかります。
実はこれは、発表された当時、まだ日本では、
裸体表現が一般的になっていなかったことに由来するそう。
つまり、裸じゃなくて、布一枚あるからセーフ的な。
いやいや、むしろこっちのほうがエロティックだった気がします。
逆にアウトでしょう。
ちなみに。
この展覧会は、会期替えが多いので要注意。
岸田劉生の《麗子微笑》や黒田清輝の《湖畔》はどちらも、
会期の後半(4/11~5/14)に出展されるので、ご注意くださいませ。
明治絵画きってのマスコット、菱田春草《黒き猫》にいたっては、
会期の後半、それもラスト1週間ほどしか展示されない予定です。
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重要文化財 菱田春草《黒き猫》 1910(明治43)年 永青文庫蔵(熊本県立美術館寄託)
(注:5月9日~5月14日)
なお、《黒き猫》は、この展覧会が終了次第、
修復作業に入ることが決まっているのだそう。
見納めのチャンスをどうぞお見逃しきないように、とのことです。
修復後のお披露目を拝見する機会はよくありますが、
修復直前の姿を観るのは、意外と珍しいような気がします。
さて、もしお時間に余裕のある方は、是非とも常設展示室へ。
こちらにも、明治以降の美術の名品が多数展示されています。
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普段以上に、重要文化財を意識してしまったので、
東山魁夷の《道》や古賀春江の《海》といった作品は、
実は重まだ要文化財になってないのかと、新鮮な発見がありました。
スカウトマン気分で、次の重要文化財候補を探して回るのも一興です。
┃会期:2023年3月17日(金)~5月14日(日)
┃会場:東京国立近代美術館
┃https://jubun2023.jp/
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