Quantcast
Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
Viewing all articles
Browse latest Browse all 5005

ヘザウィック・スタジオ展:共感する建築

$
0
0

現在、六本木ヒルズ森タワー52階にある東京シティビューでは、

“ヘザウィック・スタジオ展:共感する建築”が開催されています。

 

「ヘザウィック・スタジオ展:共感する建築」展示風景

 

 

ヘザウィック・スタジオ?

ヘアウィッグ・スタジオ??

もしかしたら、カリスマ美容師率いるヘアスタジオと、

勘違いされている方も中にはいらっしゃるかもしれません。

 

ヘザウィック・スタジオとは、今、世界が最も注目するデザイン集団のひとつ。

「現代のレオナルド・ダ・ヴィンチ」とも称される、

トーマス・ヘザウィックが、1994年にロンドンに設立したデザイン集団です。

そんなヘザウィック・スタジオを本格的に日本で紹介する初の展覧会。

本来は2020年に開催される予定だったものの、

コロナにより延期されていましたが、このたび満を持しての開催となっています。

星

 

 

過去最多なのでは?と思うくらいに、

バナーが吊さげられた展覧会の会場で紹介されているのは・・・・・

 

「ヘザウィック・スタジオ展:共感する建築」展示風景

 

 

彼らがこれまでに手掛けた主要なプロジェクトたち。

その数、28件です。

それらの中には、カリフォルニア州にあるGoogleの新社屋や、

 

ヘザウィック・スタジオとビャルケ・インゲレス・グループ《グーグル・ベイ・ビュー》

2022年 カリフォルニア州マウンテン・ビュー 撮影:イワン・バーン

 

 

ジンの最高峰として知られるボンベイ・サファイアの蒸留所といったプロジェクトも。

 

ヘザウィック・スタジオ《ボンベイ・サファイア蒸留所》

2014年 英国、ハンプシャー 撮影:イワン・バーン

 

 

また、展覧会のサブタイトルには、「共感する建築」とありますが、

ヘザウィック・スタジオがデザインするのは、建築だけにとどまりません。

走行中に空気を浄化する電気自動車《エアロ》や、

今、ロンドンの市内を実際に走っている斬新な2階建ての市バス、

 

イントロ(入口)展示風景

 

 

コマのようにくるくる回転できる椅子《スパン》といったプロダクトもデザインしています。

なお、会場内のこちらの《スパン》は実際に座ってみることも可能です。

 

《スパン》 2007年 Courtesy: Magis

 

 

もし、ここまで紹介したプロジェクトにピンと来なくとも、

ヘザウィック・スタジオがデザインしたこちらのアイテムは、

きっと、テレビや新聞などを通じてで目にしたことがあるはず。

 

ヘザウィック・スタジオ《ロンドン・オリンピック聖火台》 2012 Ⓒ Pawel Kopcznski/Reuters

 

 

そう、「康介さんを手ぶらで帰らせるわけにはいかない」.という、

あの名言が生まれた2012年のロンドンオリンピックの聖火台です。

 

この聖火台も見た目にインパクトがありますが、

ヘザウィック・スタジオが手掛けたプロジェクトはすべて、

これでもかというくらいに、インパクトがあります。

例えば、こちらのタワシのようなもの。

 

《上海万博英国館》 2010年

 

 

『GANTZ』に出てくるオブジェ、

はたまた、エヴァの使徒のようですが。

その正体は、2010年に開催された上海万博の英国館。

王立植物園キューガーデン内の世界最大の種子バンクから着想を得たもので、

建物全体を覆う無数の透明アクリル棒の中には、6万個の種子が入っているそうです。

 

また例えば、こちらの歩道橋がたくさん連結されたようなもの。

 

《ヴェッセル》 2019年

 

と思ったら、本当に歩道橋のような形の、

階段をいくつも連結された展望台建造物なのだそう。

階段を上ったと思ったら、下って、さらに、また上る。

そんなエッシャーのような体験ができる展望台です。

2019年にニューヨークに誕生するやいなや、話題となり、

今やすっかり街の新たなランドマークとなっているとのこと。

展望台と言えば、タワー型。

そんな固定概念を根底から覆すデザインです。

 

《サウザンド・ツリーズ》 2021年

 

 

ところで、ヘザウィック・スタジオは、

過去に日本でもプロジェクトを実現させているのでしょうか。

残念ながら、現段階では1つもありません。

2001年に鹿児島のとある寺院を手掛けるも、

どうやら実際に建築するまでには至らなかったよう。

展覧会ではその理由は説明されていなかったですが、

展示されていた模型を目にして、なんとなく察するものがありました。

 

《寺院》 未着工

 

 

これはさすがに寺院感(?)が薄いような。

いや、むしろ0にほど近いような。

ヘザウィックにもほどがあります(←?)。

 

さて、ヘザウィック・スタジオが実現させた日本でのプロジェクト。

“現段階では1つもありません”と言いましたが、

実は、“現在進行中のものは1つ存在しています”。

それが、こちらの現在建設中の麻布台ヒルズ。

 

《麻布台ヒルズ/低層部》 2023年(予定)

 

 

ヘザウィック・スタジオは、その低層部のデザインを手掛けています。

竣工は3月31日とのこと。

つまり、間もなく完成を迎えます。

開業自体は秋を予定しているとのこと。

その頃には、きっとテレビや雑誌などで、

麻布台ヒルズがたくさん取り上げられ、話題となるはず。

その前に、この展覧会で予習をしておきたいところです、

 

 

 ┃会期:2023年3月17日(金)~6月4日(日)
 ┃会場:東京シティビュー
 ┃主催:森美術館

 ┃https://www.mori.art.museum

 

 

 

 

1位を目指して、ランキングに挑戦中。
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ にほんブログ村 美術ブログへ


Viewing all articles
Browse latest Browse all 5005

Trending Articles