“稲垣仲静・稔次郎兄弟展” に、“磯江毅=グスタボ・イソエ マドリード・リアリズムの異才” に、
“生誕100年 船田玉樹展” に、“棚田康司「たちのぼる。」展” に。
誰だかよくわからない芸術家 (←失礼!) を取り上げながらも、
確実に、満足度・充足度の高い美術展を開催し続けている練馬区立美術館。
その打率 (?) の高さは、都内の美術館でも、1、2を争うのではないでしょうか。
誠に勝手ながら、密かに、 “美術館界のイチロー” と呼ばせてもらっています (笑)
そんな美術館界のイチロー・練馬区立美術館で、現在、開催されているのが、
“人間国宝 大坂弘道展 正倉院から甦った珠玉の木工芸” という美術展です。
・・・・・・・・(´ー`;)フッ
人間国宝の美術展ですか。そうですか。
何だかデパートの上の方の階でやっていそうな安易な美術展な気がしますね。
伝統工芸品が並んでいて、観賞しているマダムたちが口々に、
「わ~、ステキだわ~。ウチにも欲しいわ~」 って言っちゃうような?
まぁ、イチローにも調子が悪い時がありますからね。
さすがの練馬区立美術館も、たまには、こういう無難な美術展を開催しちゃいますよね。
そんなようなことを思いながら、この美術展を観始めました。
人間国宝の大坂弘道さんは、木工芸作家。
展示されているのは、もちろん木工芸の作品です。
こちらは、大阪さんの初期の作品である 《神代杉木画箱》 。
とても美しいですし、使われている技術が巧みなのもわかりますが、
まぁ、フツーの人間国宝の作品という感じです (←それでも、十分スゴいことなのですよ!)
そんな初期の作品の展示が、しばらく続いた後のこと。
それは、いきなりやってきました。
最初の衝撃が、僕に襲い掛かったのです!
こちらは、宮内庁から正倉院宝物の模造を委嘱された大阪さんが、
試行錯誤を重ねた末、ついに失われた技法の再現に成功した 《紫檀木画箱》 という作品。
(注:展示されているのは、模造したものです)
ちなみに、大阪さんは、この調査・研究に専念するため、
それまで勤めていた教員の職を辞してしまったのだそうです。
美と技術だけでなく、情熱や執念まで籠められた、まさに入魂の一作と言えましょう。
ではでは、具体的に、 “失われた技法” とは、一体どんなものだったのでしょうか?
それは、 《紫檀木画箱》 に施されている繊細で美しい錫の象嵌細工。
(画像では、まったく伝わらなくて、すいません)
象嵌と言えば、金や銀がポピュラーですが、
大阪さんは、長年の調査・研究の末に、正倉院宝物に錫の象嵌が使われていたことを突き止めます!
そして、正倉院宝物以来 (?) 途絶えていた錫の象嵌技法を、
独学で見事復活させ、自分のものにしてしまったのです。
かくして、錫象嵌という唯一無二の技法を会得したことで、
確実に、ワンステップもツーステップも進化を遂げた大阪さん。
もうフツーの人間国宝の作品とは、呼ばせません (←誰に?僕に??)
《紫檀木画箱》 ひとつで衝撃を受けたのですが。
これは、まだ大阪さんの作品の序章にしか過ぎませんでした。
実は、この後も、大阪さんの作品は進化を遂げ続け・・・
《黒柿蘇芳染拭漆螺鈿錫嵌荘香箱「郷華」》 や、
《黄楊木宝相華透香盒 「打吹」》 など、
これまでに誰も目にしたことがないような不思議なデザインやフォルムの木工芸品を生み出していくのです。
その作品は、天平時代風でもあり、現代風のようでもあり、未来的でもあるようで、
また、オリエント風でもありながらも、和風でもあり、ヨーロッパの最新デザインでもあるような・・・
あえて、一言で言うならば、 『大坂弘道風』 としか言い表せない作風です。
美術工芸品を観賞しているというよりも、オーパーツを観ているのに近い感じです。
そんな大阪さんの極めつけの作品が、 《黒柿蘇芳染宝相華文嵌荘花形盒子》
美しいフォルムを追及したあまり、
もはや器としての機能性が、全く失われてしまったという、ある意味で、究極の器です。
器のくせに (←?) 、物を乗せられることを、
完全に拒否するような、孤高のオーラを放っていました。
こんな器、観たことないです!
ちなみに。
大坂弘道さんは、現在でも、まだまだ進化を遂げ続けているそうで。
1年間に、約2作のペースで新作を生み出しているそうです (←超寡作!)
・・・・・が、それらの作品は、誰かに売るわけでもなく、どこかに発表するわけでもなし。2003年以来、一度も新作を公開することがなかったのだとか。
今回の美術展では、そんな大阪さんの2003年以降の近作が、
上で紹介した 《黒柿蘇芳染宝相華文嵌荘花形盒子》 など3点を含めて、 約20点も紹介されています!
もちろん、すべて初公開!!
まさに、
「大坂弘道さんの作品が観れるのはやっぱり練馬区立美術館だけ!!」
なのです。
しかも、なんと入場は無料!!
これは、行かねば超後悔します。
個人的には、3つ星なのですが。
あまりにスゴすぎて、スゴさについていけない人も続出しそうなので、2つ星 (笑)
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“生誕100年 船田玉樹展” に、“棚田康司「たちのぼる。」展” に。
誰だかよくわからない芸術家 (←失礼!) を取り上げながらも、
確実に、満足度・充足度の高い美術展を開催し続けている練馬区立美術館。
その打率 (?) の高さは、都内の美術館でも、1、2を争うのではないでしょうか。
誠に勝手ながら、密かに、 “美術館界のイチロー” と呼ばせてもらっています (笑)
そんな美術館界のイチロー・練馬区立美術館で、現在、開催されているのが、
“人間国宝 大坂弘道展 正倉院から甦った珠玉の木工芸” という美術展です。
・・・・・・・・(´ー`;)フッ
人間国宝の美術展ですか。そうですか。
何だかデパートの上の方の階でやっていそうな安易な美術展な気がしますね。
伝統工芸品が並んでいて、観賞しているマダムたちが口々に、
「わ~、ステキだわ~。ウチにも欲しいわ~」 って言っちゃうような?
まぁ、イチローにも調子が悪い時がありますからね。
さすがの練馬区立美術館も、たまには、こういう無難な美術展を開催しちゃいますよね。
そんなようなことを思いながら、この美術展を観始めました。
人間国宝の大坂弘道さんは、木工芸作家。
展示されているのは、もちろん木工芸の作品です。
こちらは、大阪さんの初期の作品である 《神代杉木画箱》 。
とても美しいですし、使われている技術が巧みなのもわかりますが、
まぁ、フツーの人間国宝の作品という感じです (←それでも、十分スゴいことなのですよ!)
そんな初期の作品の展示が、しばらく続いた後のこと。
それは、いきなりやってきました。
最初の衝撃が、僕に襲い掛かったのです!
こちらは、宮内庁から正倉院宝物の模造を委嘱された大阪さんが、
試行錯誤を重ねた末、ついに失われた技法の再現に成功した 《紫檀木画箱》 という作品。
(注:展示されているのは、模造したものです)
ちなみに、大阪さんは、この調査・研究に専念するため、
それまで勤めていた教員の職を辞してしまったのだそうです。
美と技術だけでなく、情熱や執念まで籠められた、まさに入魂の一作と言えましょう。
ではでは、具体的に、 “失われた技法” とは、一体どんなものだったのでしょうか?
それは、 《紫檀木画箱》 に施されている繊細で美しい錫の象嵌細工。
(画像では、まったく伝わらなくて、すいません)
象嵌と言えば、金や銀がポピュラーですが、
大阪さんは、長年の調査・研究の末に、正倉院宝物に錫の象嵌が使われていたことを突き止めます!
そして、正倉院宝物以来 (?) 途絶えていた錫の象嵌技法を、
独学で見事復活させ、自分のものにしてしまったのです。
かくして、錫象嵌という唯一無二の技法を会得したことで、
確実に、ワンステップもツーステップも進化を遂げた大阪さん。
もうフツーの人間国宝の作品とは、呼ばせません (←誰に?僕に??)
《紫檀木画箱》 ひとつで衝撃を受けたのですが。
これは、まだ大阪さんの作品の序章にしか過ぎませんでした。
実は、この後も、大阪さんの作品は進化を遂げ続け・・・
《黒柿蘇芳染拭漆螺鈿錫嵌荘香箱「郷華」》 や、
《黄楊木宝相華透香盒 「打吹」》 など、
これまでに誰も目にしたことがないような不思議なデザインやフォルムの木工芸品を生み出していくのです。
その作品は、天平時代風でもあり、現代風のようでもあり、未来的でもあるようで、
また、オリエント風でもありながらも、和風でもあり、ヨーロッパの最新デザインでもあるような・・・
あえて、一言で言うならば、 『大坂弘道風』 としか言い表せない作風です。
美術工芸品を観賞しているというよりも、オーパーツを観ているのに近い感じです。
そんな大阪さんの極めつけの作品が、 《黒柿蘇芳染宝相華文嵌荘花形盒子》
美しいフォルムを追及したあまり、
もはや器としての機能性が、全く失われてしまったという、ある意味で、究極の器です。
器のくせに (←?) 、物を乗せられることを、
完全に拒否するような、孤高のオーラを放っていました。
こんな器、観たことないです!
ちなみに。
大坂弘道さんは、現在でも、まだまだ進化を遂げ続けているそうで。
1年間に、約2作のペースで新作を生み出しているそうです (←超寡作!)
・・・・・が、それらの作品は、誰かに売るわけでもなく、どこかに発表するわけでもなし。2003年以来、一度も新作を公開することがなかったのだとか。
今回の美術展では、そんな大阪さんの2003年以降の近作が、
上で紹介した 《黒柿蘇芳染宝相華文嵌荘花形盒子》 など3点を含めて、 約20点も紹介されています!
もちろん、すべて初公開!!
まさに、
「大坂弘道さんの作品が観れるのはやっぱり練馬区立美術館だけ!!」
なのです。
しかも、なんと入場は無料!!
これは、行かねば超後悔します。
個人的には、3つ星なのですが。
あまりにスゴすぎて、スゴさについていけない人も続出しそうなので、2つ星 (笑)
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