デザインと人、デザインと社会をつなぐコミュニケーション拠点として、
2015年に丸の内ストリートにオープンしたGOOD DESIGN Marunouchi。
現在、こちらで開催されているのが・・・・・
不快のトザイン・・・・・いや、
文字が読みづらくて、ちょっと不快です。
さてさて、一般的にデザインというものは、
「使いやすさ」や「美しさ」など、『快』を求める傾向にあります。
しかし、世にあるデザインの中には、あえて『不快』を効果的に取り入れたものもあるのだとか。
例えば、NHKの緊急地震速報のチャイム音。
この音には、「四度堆積和音」という、
人に適度に緊張感を与える音が採用されているそうです。
また、都市ガスは、いわゆる「ガス臭さ」がありますが、
実は本来、ガスは無臭であり、あえて不快な匂いを付けることで、
微量な漏れでも、いち早く気が付けるようにしているのだとか。
『不快』は『快』よりも、伝達スピードが速いとのこと。
それを利用して、危険を察知させるデザインが考えられているのですね。
ちなみに。
『不快』を利用して危険を伝えるデザインには、こんなものも。
Nintendo Switchのゲームカードには、
あえて苦味成分が塗られているようです。
これは、小さな子どもによる誤飲を防ぐため。
どれだけ苦いのか、ちょっと試してみたいところです(←?)。
展覧会では他にも、
あえて食べにくくすることで、ペットの早食いを防ぐ食器や、
あえて読みにくくしたことで、記憶力アップにつながるフォントなど、
『不快』を活用したデザインの数々が紹介されていました。
それらの中で特に印象に残っているのが、
SNSのUX(ユーザーエクスペリエンス)デザイン。
FacebookやTwitterを見ている際に、
どうでもいい広告がちょこちょこ入ってくるのを、
不快に感じていたのですが、実はこれもデザインなのだそう。
有益な情報の中にあえて無駄な情報を紛れ込ませることで、
「無意識に自分に有益な情報を探す」という行為に夢中になるよう仕組まれているのだとか。
知らず知らずのうちに、FacebookやTwitterの手のひらの上で転がされていたのですね。
それからもう一つ印象的だったのが、ホットケーキミックスに関するデザイン。
1950年代、アメリカの大手食品会社ゼネラル・ミルズは、
「ベティ・クロッカー」というブランド名でケーキミックスを販売しました。
粉に水を混ぜて焼くだけで、
美味しいホットケーキができるのに、
なぜか商品はヒットしなかったそうです。
そこで、あえて“卵を1個加える”という手順をプラスさせてみることに。
すると、売上が急上昇しました。
ひと手間加えることで、自分で作ったという満足感が得られ、
より美味しく感じられることが、商品のヒットに繋がったのです。
人は簡単に手に入れたものよりも、何らかの対価や苦労をして手に入れたものを好む。
なお、これは心理学用語で、「コントラフリーローディング効果」と呼ばれているそうです。
さてさて、展示スペースの中央には、
巨大な街のジオラマが設置されていました。
ジオラマにある番号が、展示で紹介されているデザインと対応しています。
これまで意識したことは無かったですが、
世界は不快なモノにあふれていたのですね。