前回に引き続き、今回も「石の街」真鶴にて、
無料で観れる美術作品の数々を紹介いたします。
“真鶴町・石の彫刻祭2021”で制作され、
現在は真鶴の地に恒久展示されている作品の、
その半分に当たる5作品が集まっているのがケープ真鶴。
真鶴岬のほど近くにあるスポットです。
真鶴岬だから、ケープ真鶴。
そんな安易なネーミングとは裏腹に。
ケープ真鶴には、北川太郎さんが半年かけて制作したという《ビッグママ》や、
彫刻作品でもあり、すべり台でもある、
絹谷幸太さんによる《創知彫刻》(ただし、すべると硬くて少し痛い)など、
コツTコツ手間暇をかけて作られた石彫作品が点在しています。
その最たる作品が、冨長敦也さんの《Love Stone Project-Manazuru》。
一見すると、ただの不格好なハート形(?)の石ですが。
その表面をよくよく見てみると、
周囲の緑の色が映り込むほどに、
ツヤッツヤに磨かれているのがわかります。
なんとこの作品の表面は、冨長さんと、
真鶴半島で出会った1385人の方と磨いたものなのだとか。
みんなのパワーが少しずつ集まることで、大きな力となる。
『ドラゴンボールZ』の元気玉を彷彿とさせる美術作品です。
ちなみに。
その真逆とも言うべき作品が、ケープ真鶴近辺に設置されていました。
木々に囲まれた場所に、ただの石が置かれています。
この石こそが作品なのです。
続・無料で観れる美術百選036
廣瀬智央《小松石の時間》
作者は、廣瀬智央さん。
ミラノを拠点に活動を続ける美術作家で、
3万個以上のレモンが床を埋め尽くす《レモンプロジェクト03》で知られる人物です。
そんなビジュアル的にも香り的にも、
インパクト抜群な《レモンプロジェクト03》と比べたら、
1個の石がただ森に置いているだけのこの作品は、相当インパクトに欠けます。
きっと、アッと言わせるコンセプトがあるはず。
そう期待して、作者によるコンセプトを読んでみました。
「掘り出された小松石は、森の中にあたかもすでに在ったかのように設置されています。
季節の移り変わりや天候の変化のなかで、
御林に存在するその作品は太陽に照らされ、
草木や土に埋もれていきながら、さまざまな表情をみせてくれます。
そこには確実に作品に刻まれていく時間があり、時間とともに作品は存在しています。」
・・・・・・・。
そんなこと言ったら、森の中にある石はすべて、そう。
石を運んできただけなのだとしても、物は言いようですね。
ちなみに。ケープ真鶴には、こんな作品も。
作者は、三沢厚彦さん。
動物をモチーフにしたユーモラスな木彫作品で知られる人気彫刻家です。
こちらは、いつもの楠ではなく、小松石で作られています。
梟や荒波、人魚などをミックスした《マツル》という作品とのこと。
正面から見る分には特に問題は無かったのですが、
後ろに回ってみたところ、思わず「ワオ!」と声をあげそうになりました。
僕が頭の中がピンク色なのでしょうか。
アレにしか見えませんでした。
『お笑いマンガ道場』の富永先生が描くアレにしか。
<無料で観れる美術 データ>
ケープ真鶴
住所:神奈川県足柄下郡真鶴町真鶴1175
アクセス:○JR「真鶴駅」から路線バスにて『ケープ真鶴行』に乗車後、「ケープ真鶴」下車