久しぶりに、金沢21世紀美術館(通称:21美)に行ってきました。
21美を訪れる時は、いつも晴れていたのですが、今回は初めての雨。
普段は多くの人で賑わうジェームズ・タレルの《ブルー・プラネット・スカイ》には・・・・・
人っ子一人いませんでした。
だって、天井からザーザー雨が降り注いでるんだもの。
床はレアンドロ・エルリッヒの《スイミング・プール》より、スイミング・プールでした。
さてさて、そんな21美で開催されていたのが、
“それは知っている:形が精神になるとき”というコレクション展。
タイトルだけ聞くと、なんかホラー映画っぽいですが。
川内倫子さんの写真や映像作品や、
ヴラディーミル・ズビニオヴスキーと、
招へい作家の田中里姫さんのガラス作品といった、
作品が紹介されており、ホラー感は皆無でした。
いや、強いて言えば、トニー・アウスラーの《エッロ》という映像作品はB級ホラー感がありました。
ちなみに、この奇妙な映像作品の隣に展示されていたのが、
本展のもう一人の招へい作家、松田将英さんによる《The Big Flat Now》。
「泣き笑い」の絵文字を、巨大なバルーンで再現した作品です。
絵文字で受け取る分には、特別に何かを感じることはないですが、
改めて、このように巨大な姿でこの表情と向き合うと、ちょっとゾワつくものがありました。
さて、今回の出展作の中で特に印象に残っているのが、
ブラジル出身の芸術家リジア・クラークによる「動物」シリーズです。
なんでも、アルミニウムの板を蝶番で繋げているようで、
自由に動かすことで、さまざまな形を生み出すことができるのだとか。
・・・・・いや・・・・・まぁ・・・・・うん。
この展覧会を観る前に、国立工芸館の“ポケモン×工芸展”で、
満田晴穂さんの超絶技巧の自在置物を観てきてしまったので。。。
こんなんで「動物」シリーズって!
リジア・クラーク、自在置物の無い国に生まれて良かったですね。
それから、もう一人印象的だったのが、
コスタリカ生まれ、コスタリカ在住のフェデリコ・エレロ。
引きで見る分には、どことなくクリムトを彷彿とさせるものがありますが。
近づいてよくよく観てみると・・・・・
しりあがり寿さんを彷彿とさせるものがありました。
“コスタリカのしりあがり寿”、それがフェデリコ・エレロ。
いつか再び出逢える日のために、その名を覚えておこうと思います。
さてさて、現在、21美のデザインギャラリーでは、
“虚影蜃光―Shell of Phantom Light”という展覧会が開催されています。
こちらは、“ポケモン×工芸展”にも参加中の、
「サイバー漆芸作家」の異名を持つ人気作家・池田晃将さんの個展です。
しかも、嬉しいことに入場無料!
これまでのスタイリッシュな作風がさらにブラッシュアップした作品もありましたが、
ここ近年手掛けているというオーパーツ感溢れる作品も展示されていました。
とりわけインパクトが強かったのが、《Error :Debris》という作品。
そう遠くない未来に作られたもののようでもあり、
遠い過去に存在した高度な文明で生み出されたもののようでもあり。
作者が池田さんであることはわかっているのにも関わらず、
不思議と、宇宙人や神のような存在が作りあげたもののように感じられました。
ちなみに。
池田さんの作品に使われている螺鈿のパーツは、わずか1㎜ほど。
厚さにいたっては、一般的な厚みが0.2㎜なのに対し、0.08㎜しかないそうです。
やっぱり宇宙人や神が作っているのかもしれません。
なお、会場では池田さんのアトリエに、
普段は置かれているものたちも飾られています。
それらの中に、漫画やゲームも混じっていました。
池田さんがちゃんと人間で良かった。