広島県福山市にある神勝寺に行ってきました。
外観はいわゆる普通のお寺。
門をくぐっても、イイ感じの日本庭園が広がっています。
と、ここまでは、日本各地にあるような、
何の変哲もないお寺のように思えますが。
いやいや、寺務所から変哲なことになっていました!
これはもう間違いなく、藤森照信さんによる建築。
日本一ぶっとんだ寺務所です。
そもそも、神勝寺という名前からして、普通ではありません。
神に勝つ。
まるで、神社に喧嘩を売っているような名前です(←?)。
しかし実は、こちらのお寺の歴史はそう深くなく、
常石造船2代目社長であった神原秀夫が昭和40年に開いたもの。
常石造船の創業者・神原勝太郎の名前にちなんで、神勝寺と命名されたのだそうです。
紅葉の季節がベストシーズンの庭や、
足立美術館の作庭でも知られる、
昭和を代表する作庭家・中根金作による枯山水など、
見どころは開山時から多々あり、
神勝寺は知る人ぞ知る存在だったそうですが。
2016年に神勝寺・禅と庭のミュージアムとして、リニューアルオープンしたのだそうです。
藤森照信さんによる事務所もその際に建設されたものとのこと。
そんな神勝寺・禅と庭のミュージアムの一番の目玉は何といっても、
名和晃平さんが率いる「SANDWICH」が手掛けたアートパビリオン洸庭です。
「洸庭」の「洸」は、さんずいに光。
松下洸平の「洸」と覚えましょう。
と、それはさておき。
こちらが、その洸庭です。
いつか一度は訪れたいと思っており、
オープン時より、その存在はチェックしていましたが、
画像で観るよりも、実際の洸庭はその何倍も大きかったです!
建物の下を余裕で人が通れるほどの大きさがありました。
さらに、これまで目にしていた画像の洸庭は、
全体的にきつね色で、巨大なフィナンシェみたいな印象でしたが。
実際に目にした洸庭は、ツートンカラーとなっていました。
これは、より雨に晒される建物の上部の木材が、
経年変化によって、変色したのが大きな要因とのこと。
洸庭は進化、成長し続けているようです。
また、建物の足元には、奇妙なオブジェが設置されていました。
・・・・・・・・と思ったら、ソテツワラビなる植物なのだそう。
枯れてるわけではなく、こういう植物なのだとか。
シン・ゴジラの第一形態にも見えます。
ちなみに。
インパクトがあるのは建物の外観とソテツワラビだけではありません。
写真撮影は禁止ですが、建物の内部では、
SANDWICHによる約25分の映像インスタレーションを堪能することができます。
どんな内容だったのか、説明しようと思えば、もちろんできますが、
事前情報が無い方が楽しめると思いましたので、ここは口をつぐみます。
一つだけアドバイスをしますと、鑑賞席は、1階と2階があるのですが、
没入感を味わうのであれば1階、全能感を味わうのであれば2階がオススメです。
さてさて、神勝寺・禅と庭のミュージアムには、
洸庭以外にも観るべきアートスポットがあります。
それは、荘厳堂と名付けられたこちらの建物。
この中では、“500年に一度の名僧”と称えられ、
数多くの禅画を残したことでも知られる白隠慧鶴の作品が常時展示されています。
実は、神勝寺の白隠コレクションは、国内随一。
国内ということは、世界でも随一。
よって、世界最高の白隠コレクションと言っても過言ではありません。
白隠らしいアクが強めの作品も多くありましたが、
中には、アクがほとんどない、ゆるキャラのような作品もありました。
特に印象に残っているのが、こちらの《聞か猿》。
『すみっコぐらし』の新キャラか何かかと思いました。
グッズ化したらいいのに。
それから、こちらの《お福団子》という作品も、じわじわ印象に残りました。
お多福の表情が絶妙です。
ずっと観ていたら、千鳥のノブさんにも見えてきました。
それと、頭に刺さっているものが気になります。
グーグルマップのピンでも刺してんのか!
さて、この他にも、座禅体験ができたり、
雲水箸を使ってうどんが食べれたり、お風呂に入れたり、
神勝寺・禅と庭のミュージアムには、さまざまなアクティビティが用意されています。
敷地の奥には、ロバの一休君もいます。
時間がいくらあっても足りない、
一日かけてゆったりと楽しみたいミュージアムです。