根津美術館に行ってきました。
お庭のカキツバタは、今がちょうど真っ盛りです。
満開のカキツバタを観るなら、今から2週間くらいがチャンス!
毎年この季節を楽しみにされている方も多いので、
訪れる際は必ず事前予約されることをオススメいたします。
さてさて、お庭でカキツバタが咲いているということは、
今年ももちろん展示室では、尾形光琳による《燕子花図屏風》が展示されています。
国宝 尾形光琳《燕子花図屏風》 6曲1双 紙本金地着色 日本・江戸時代 18世紀 根津美術館蔵
(注:展示室内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)
今年はさらに、その両側に、若き日の光琳に影響を与えたとされる、
喜多川相説(=俵屋宗達が主宰した俵屋の3代目)による《四季草花図屏風》と、
喜多川相説《四季草花図屏風》 6曲1双 紙本着色 日本・江戸時代 17世紀 根津美術館蔵
晩年の光琳が描いた《夏草図屏風》も併せて展示されています。
尾形光琳《夏草図屏風》 2曲1双 紙本金地着色 日本・江戸時代 18世紀 根津美術館蔵
《夏草図屏風》にもカキツバタが描かれていました。
その2作品のカキツバタと見比べてみると、
国宝の《燕子花図屏風》に描かれているカキツバタは・・・・・
厚塗りであるため、だいぶぼってりとしていました。
お庭に咲いていた実際のカキツバタの花びらは、
スカーフの生地くらいテロンテロンとしていましたっけ。
なるほど。《燕子花図屏風》のカキツバタはデフォルメされていたのですね。
さらに言えば、実際のカキツバタとは、色も全然違います。
どうやら、カラーリングも尾形光琳のオリジナルであるようです。
ちなみに。
今回改めて、《燕子花図屏風》のカキツバタの色、
群青色と緑色の組み合わせに注目していたら、こんな発見をしてしまいました!
もしかしたら、田中一光がデザインした西武の包み紙は・・・・・
《燕子花図屏風》の色の組み合わせを意識していたのかも!?
だからどうした、って話ですが、一応、読者の皆さまにも報告です。
さてさて、国宝の《燕子花図屏風》を、
カキツバタのシーズンにお披露目する毎年恒例のこの展覧会ですが。
今年は“国宝・燕子花図屏風 光琳の生きた時代1658~1716”と銘打ち、
光琳が生きた時代、つまり1658~1716年に制作された作品も併せて展示されています。
それらの中には、狩野探幽によって描かれた伝統的な絵画もあれば、
狩野探幽《両帝図屏風》 6曲1双 紙本金地着色 日本・江戸時代 寛文元年(1661) 根津美術館蔵
この時代に、京都の一部の知識人の間で、
空前の室町時代リバイバルブームが起きたそうで、
それを裏付けるような室町時代風な作品もありました。
《物外和尚送別図》 物外本超・大川崇達ほか16僧賛 1幅 紙本墨画 日本・江戸時代 正徳4年(1714) 根津美術館蔵
さらには、江戸時代の初め頃から明治期まで、
東海道の大津宿周辺でお土産として販売されていた、
「大津絵」を屏風に仕立てたものも展示されていました。
《大津絵貼交屏風》 6曲1隻 紙本着色 日本・江戸時代 18世紀 根津美術館蔵
大津絵自体は、これまでに他館の展覧会で、
何度も目にしてきましたが、根津美術館で目にするのは初めて。
と思ったら、こちらの《大津絵貼交屏風》を、
根津美術館で披露するのは、おそらく開館以来初めてなのだそうです。
どの絵もゆるカワで愛嬌たっぷりでしたが、
個人的には、象が鼻で天狗を捕まえている絵と、
猿がナマズを瓢箪で抑え込んでいる絵に惹かれました。
もし、自分が大津宿の大津絵屋さんに行ったとしたら、
間違いなく、この2枚をお土産に買っていたことでしょう。
ちなみに。
2階の展示室5では、前回に引き続き、
“西田コレクション受贈記念展”が開催されています。
第Ⅱ期となる今回のテーマは、「唐物」。
西田さんの趣味嗜好がダダ洩れしていたと言いましょうか。
全体的に、可愛らしい作品が多いのが印象的でした。
《緑釉瓶》 景徳鎮窯 1口 中国・清時代 17~18世紀 西田宏子寄贈 根津美術館蔵
《黄釉緑褐彩草文碗》 長沙窯 1口 中国・唐時代 9世紀 西田宏子寄贈 根津美術館蔵
なお、西田さんは卯年生まれとのことで、
ウサギのモチーフのものがお好きなのだとか。
いくつかあったウサギモチーフの中に、こんなウサギが交じっていました。
《祥瑞兎文稜花皿》 景徳鎮窯 1枚 中国・明時代 17世紀 西田宏子寄贈 根津美術館蔵
耳は短めで、二重まぶた。
なんだか、ディズニーの初期のアニメに出てきそうなウサギです。
┃会期:2023年4月15日(土)~5月14日(金)
┃会場:根津美術館
┃https://www.nezu-muse.or.jp/jp/exhibition/index.html
┃※オンラインによる日時指定予約制