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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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ねこのほそ道

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現在、豊田市美術館で開催されているのは、“ねこのほそ道”という展覧会。

公式HPによれば、

 

「隙間や内と外を自在に行き来する逸脱可能性として、

 また言葉の秩序から逃れる不可思議な存在として、

 自由、野生、ユーモア、ナンセンス溢れる、ねこのような現代美術を紹介する。」

 

とのこと。

猫好きとしては、これは見逃せない!

というわけで、豊田市美術館に行ってきました。

 

 


会場には、落合多武さんによる脱力系の猫や、

 

 

 

岸本清子さんによる躍動感ありあまる猫たち、

 

 

 

そして、メインビジュアルにも採用されている佐々木健さんによる仔猫もいましたが。

 

 

 

展覧会全体としては、猫少なめ。

 

 

 

猫が観たくて、猫メインで訪れた人なら、

「猫わい!」とシャーッと怒ってしまうかもしれません。

ただ、現代アートが好きな方ならば、

喉をゴロゴロ鳴らして喜んでしまうのでは?

コンセプチュアルな作品が少なくなく、

好みは分かれるかもしれませんが、少なくとも僕は面白かったです。

豊田市美術館まで行った甲斐はありました!

星星

 

 

何と言ってもやはり、一番印象に残っているのは、

先日まで東京オペラシティで個展が開催されていた泉太郎さんによるインスタレーション作品。

その名も、《クイーン・メイヴのシステムキッチン(チャックモールにオムファロスを捧げる)》です。

 

 

 

空間の中央に建てられている謎の構造物。

 

 

 

その正体は、清掃具入れ。

普段は美術館のバックヤードにある空間を、

あえて、展示室の真ん中に鎮座させ、それを竹垣で覆っています。

中に入れるのは、清掃スタッフさんだけ。

鑑賞者はこの中には入ることができません。

 

そして、床一面には、石やらゴミのようなモノやらが散らばっています。

これらは触ってもOK。

 

 

 

よく見ると、ゴミのようなモノに、何やら書き込まれています。

えーっと、ちょっと読んでみましょう。

「アゴと立体ヒラメと残り歯にかこまれた空間は、足踏みするための空間です。

 黄色カバと描きと転覆ボートにかこまれた空間は、地べたの段差を確認するための空間です・・・」

 

コウメ太夫のネタか!

 

言ってることがサッパリわかりません。

サッパリわからないといえば、これも↓

 

 

 

泉さん曰く、こちらは祭壇とのこと。

祭壇の上には、紙粘土のようなものが置かれています。

そして、その奥の壁をよく見ると、無数の穴が空いています。

 

 

 

実はこれらの穴は、先日まで豊田市美術館で開催されていた・・・・・

 

 

 

 

ゲルハルト・リヒター展で、リヒターの巨大な絵画を飾った際にできたもの。

普通は展覧会が終ると、これらの穴は埋めますが、

泉さんはあえて、この穴をそのまま残すことにしました。

で、その穴に、紙粘土を当てると、

穴の型が取れ、へそのようなものが生まれます。

それを祭壇に捧げる参加型の作品としたのです。

 

 

 

その他にも、タバコの先に石が付いた謎のオブジェが無数に設置されていたり、

 

 

 

誰も観ることができないのですが、壁の中に、

今回の出展作家の皆様の私服をしまっていたり。

挙句の果てには、天井の丸窓を三日月のように、

あるいは、チェシャ猫の笑みのように変えてしまったり。

 

 

 

やりたい放題、やり切っていました。

結局、泉さんが何をしたかったのか、

まったくもって、よくわかりませんでしたが(笑)。

バカバカしいとすがすがしいは紙一重。

ここまで全力で振り切られると、心地よさすら覚えました。

 

なお、泉さん作品が、あまりにもぶっ飛びすぎていたため―

落合多武さんの《大きいテーブル(丘)》も、

 

 

 

大量のポケットティッシュを使った大田黒衣美さんの作品も、

 

 

 

若干、インパクトが霞んでしまいました。

いや、普通のグループ展に展示されていたら、

間違いなく、印象をかっさらうタイプの作品なのですが。

 

 

ちなみに。

泉さん以外で、個人的にMVPだったのは、佐々木健さん。

仔猫を描いた作品も良かったのですが、

それ以外に、彼はバスタオルやバスマット、

実家のテーブルクロスなど、さまざまな布を描いた作品を発表していました。

 

 

 

絵画だとわかった上で観ても、

本物と錯覚してしまうほどのクオリティ。

とりわけ一番感銘を受けたのが、こちらの作品です↓

 

 

 

タイトルは、《ぞうきん #絵画教室》

どうしたって、それにしか見えません。

何でこれを描こうと思ったのか。

しかも、完璧に再現しようと思ったのか。

自分でもよくわかりませんが、

その発想力、その再現度に感動してしまいました。

まさか猫を観に来て、ぞうきんに心を奪われるとは。

 

 

 

 

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