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ART de チャチャチャ―日本現代アートのDNAを探る―

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現在、天王洲のWHAT MUSEUMで開催されているのは、

“高橋龍太郎コレクション「ART de チャチャチャ―日本現代アートのDNAを探る―」展”という展覧会。

 

 

 

日本屈指のアートコレクターとして知られる精神科医、

高橋龍太郎氏の約3000点を超えるアートコレクションの中から、

約30作家による約40点の作品を紹介する展覧会です。

 

実は、WHAT MUSEUMで高橋龍太郎コレクションを紹介するのは、今回が2度目。

前回はまだお披露目していなかったという、

若手作家の作品を中心に紹介していましたが、

今回は日本の伝統的な芸術や文化を継承しつつ、

独自の解釈で作品に昇華している日本人作家の作品を紹介しています。

 

それらの中には、最近紫綬褒章を受章した鴻池朋子さんによる襖絵や、

 

 

 

“もしも、醤油が画材としても使われている世界線があったら?”

そんな想像(妄想?)で制作された小沢剛さんによる醤油画といった、

 

 

 

高橋龍太郎コレクションではお馴染みの作品も含まれていましたが。

とても人間の手で描いたとは思えないほど超高細密な見附正康さんの九谷赤絵の作品や、

 

 

 

気鋭の書家・華雪さんによる書のインスタレーションといった、

 

 

 

これまでの高橋龍太郎コレクションでは、

あまり紹介される機会の無かった作品も多く含まれていました。

“ART de チャチャチャ”という展覧会タイトルは、

正直に言って、ざんない印象しかなかったですが(笑)。

展覧会そのものは、決してセンスは悪くなかったです。

内容、コレクションともに、見ごたえがありました。

星星

 

 

岡村桂三郎さんの巨大な屏板絵が、

縦に2点重なるように並べられた圧巻の空間や、

 

 

 

関根伸夫や菅木志雄さんら“もの派”の作品で構成された空間などもインパクトがありましたが。

 

 

 

彫刻家の田代裕基さんによる《炎天華》も、だいぶとインパクトがありました。

 

 

 

ニワトリをモチーフにした作品で、

これほど圧を感じたのは、若冲以来かもしれません。

しかも、この彫刻作品は、ただ迫力があるというだけではなく。

「華を生けるという行為を彫刻で行う」というコンセプトで作られているそうです。

つまり、尾羽の部分は取り外しできるようになっており、

まるで、生け花をするように、1本1本生けることが可能となっているのだとか。

 

ちなみに。

上の写真には、《炎天華》以外に、

もう1点、彫刻作品が映り込んでいます。

正解は、こちら↓

 

 

 

須田悦弘さんによる《雑草》です。

須田さんの作品はさりげなさすぎて、

普段から見落とされがち、見過ごされがちですが、

今回は《炎天華》のせいで、さらにスルーされてしまうことでしょう。

見逃し厳禁です。

 

彫刻作品と言えば、こちらも見逃せないのが、橋本雅也さんによる《キク》

 

 

 

鹿の角から制作された作品です。

その超絶技巧ぶりに思考が停止してしまい、

「わぁ、鹿の角からこんなスゴい作品が作れるなんて!」と、

驚いてハイ終わり、となってしまいがちですが。

よーく観てみると、上から下にいくにつれて、

菊がだんだんと枯れていることがわかります。

実はこの作品、実際に菊を観ながら、

上から下に向かって制作を進めていったそうで。

当然、実際の菊は日が経つにつれ、枯れていくため、

それをそのまま反映させながら、制作した作品なのだとか。

つまり、時間の経過までもうつし取った彫刻作品というわけです。

技術だけでなく、発想までもが超絶的でした。

 

 

絵画作品で印象に残っているのが、

指田菜穂子さんによる《対》という作品。

 

 

 

描かれているのは高倉健と、おそらく池部良?

『昭和残侠伝』シリーズ?

さらに、よく見ると、画面の中には、

このコンビの以外の「対」がたくさん描かれていました。

 

 

 

風神雷神に助さん格さん、やすきよ、

リンリン・ランラン、ザ・ピーナッツ、染之介染太郎・・・etc

さらには、シュワちゃんの懐かしの映画『ツインズ』も。

全体的に、ネタが古め。

指田さんは年配の大ベテランなのかと思いきや、僕と同い年の方でした。

B'zとかタッキー&翼とかt.A.T.u.とか、僕らの世代の「対」は他にもたくさんあるのに。

 

 

最後に、個人的に一番印象に残った、

正しくは、一番想像を膨らませてしまった作品をご紹介いたしましょう。

国際的にも人気の高い書家、井上有一による《月》という作品です。

 

 

 

会場のキャプションでは、「まるで踊るような」と紹介されていましたが、

僕個人としては、踊っているというよりも、銃で撃たれているように見えてしまいました。

 

捉えられたヒロインを救うべく、

敵のアジトに単身で乗り込んだ主人公の『月』。

激しい戦いの末、敵を一掃した『月』はヒロインのもとへ。

そして、ヒロインと見つめ合う『月』。

これにてハッピーエンドかと思われた次の瞬間、

まだ意識がかすかに残っていた敵の一味が、ヒロインに銃口を向け、引き金を引きます。

それに気づいた『月』は、ヒロインをかばって・・・・・

 

 

 

「月~~~~~~~!!!!!!」

 

 

変なモーソウをしてしまったせいで、

急に韓流ドラマチックになってしまいました。

 

 

 

 

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