今年2023年、パナソニック汐留美術館は開館20周年を迎えました。
(↑おめでとうございます!)
それを記念して、現在、同館で開催されているのが、
“開館20周年記念展 ジョルジュ・ルオー‐ かたち、色、ハーモニー‐”という展覧会。
「20世紀最大の宗教画家」とも称されるジョルジュ・ルオーの大規模な回顧展です。
(注:展覧会は一部撮影可。不可の作品の写真撮影は、特別に許可を得ております。)
何を隠そう、パナソニック汐留美術館は、
国内でも随一を誇るルオーコレクションを有しています。
その数、実に約260点です!
また、美術館のロゴにご注目ください。
よく見ると、「ルオー・ギャラリー」と書いてあります。
実は、パナソニック汐留美術館は、パリのルオー財団より、
ルオーの名前を冠することを許可された世界で唯一の美術館でもあるのです。
そんなルオーと関わりの深い美術館だけに、
今回の20周年記念のルオー展には、並々ならぬ力が入っています!
出展数は、約70点。
もちろん、パナソニック汐留美術館のルオーコレクションも展示されていますが、
出光美術館やポーラ美術館など、国内に所蔵されているルオー作品の名品の数々や、
さらに、パリのポンピドゥー・センターが所蔵するルオーの傑作も集結しています。
それらの中には、戦争期に描かれた重要作品《深き淵より》や、
ジョルジュ・ルオー《深き淵より》 1946年 油彩
ポンピドゥー・センター、パリ/国立近代美術館
Photo © Centre Pompidou, MNAM-CCI, Dist. RMN-Grand Palais / image Centre Pompidou, MNAM-CCI / distributed by AMF
《ホモ・ホミニ・ルプス(人は人にとりて狼なり)》といった初来日作品もありました!
ジョルジュ・ルオー《ホモ・ホミニ・ルプス(人は人にとりて狼なり)》 1944-1948年 油彩
ポンピドゥー・センター、パリ/国立近代美術館
Photo © Centre Pompidou, MNAM-CCI, Dist. RMN-Grand Palais / image Centre Pompidou, MNAM-CCI / distributed by AMF
今年は、フランスに関連する展覧会がやたらと多く開催される“フランスイヤー”。
その大本命展は、都美で開催中のマティス展とばかり思い込んでいましたが、
いやいや、パナソニック汐留美術館のルオー展も、全然負けていませんでした!
さてさて、出展されていたルオー作品の中で、
特に印象に残ったものをいくつかご紹介いたしましょう。
まずは、メインビジュアルにも採用されている《二人組(二兄弟)》から。
ジョルジュ・ルオー《二人組(二兄弟)》 1948年 油彩
ポンピドゥー・センター、パリ/国立近代美術館
Photo © Centre Pompidou,MNAM-CCI, Dist. RMN-Grand Palais / Christian Bahier / Philippe Migeat /distributed by AMF
二兄弟とありますが、だいぶ対格差があります。
おそらく、かなり歳の離れた兄弟なのでしょう。
もしくは、『幽遊白書』の戸愚呂兄弟みたいな感じなのかも。
となると、小さい方がお兄ちゃん(化粧しているようだから、お姉ちゃん?)。
曲芸する際には、弟(妹?)の肩の上に乗っているのかもしれません。
続いて印象的だった作品が、《かわいい魔術使いの女》。
ジョルジュ・ルオー《かわいい魔術使いの女》 1949年 油彩
ポンピドゥー・センター、パリ/国立近代美術館
Photo © Centre Pompidou, MNAM-CCI, Dist. RMN-Grand Palais / Bertrand Prévost / distributed by AMF
腕長っ!顔も面長っ!
顔が似ているというわけではないですが、
全体的なフォルムは、森泉さんに似ている気がします。
と、それはさておき。
こちらの絵は、加筆される前は《裸婦》というタイトルだったそう。
女性のポージング以外は、ほぼ別物。
こんなにも激変するなんて、まさしく魔術使いです。
ルオーが描いた人物画の中には、こんな作品も。
ジョルジュ・ルオー《プルチネルラ》 1910年頃 油彩、インク、グアッシュ
ポンピドゥー・センター、パリ/国立近代美術館 Photo © Centre Pompidou, MNAM-CCI, Dist. RMN-Grand Palais /
Philippe Migeat / distributed by AMF © ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2023 E5037
タイトルは、《プルチネルラ》。
プルチネルラは、イタリアの伝統的な風刺劇に登場する道化師。
高い鼻と太鼓腹、黒いマスクがトレードマークなのだそうです。
ルオーが描いたこのプルチネルラはきっと、
ステージ裏のプルチネルラ、オフのプルチネルラ。
見せちゃいけない顔のプルチネルラです。
なお、時系列に沿って紹介される今回のルオー展、
そのラストでは、風景に主眼が置かれた晩年の作品が多く紹介されています。
ジョルジュ・ルオー《大木のある風景》 1946年頃 油彩
ポンピドゥー・センター、パリ/国立近代美術館
Photo © Centre Pompidou, MNAM-CCI, Dist. RMN-Grand Palais / Philippe Migeat / distributed by AMF
どの作品も、青と黄色がとりわけ印象的でした。
このカラーリング、何かに似ているような・・・あ、エボルタだ!
さすがパナソニック!