現在、ギンザ・グラフィック・ギャラリー(通称ggg)では、
“横尾忠則 銀座番外地 Tadanori Yokoo My Black Holes”が開催されています。
こちらは、現代美術界のスーパースター・横尾忠則さんの、
1960年から80年代にかけてのデザイナーの仕事にスポットを当てた展覧会です。
出展数は、約250点。
これらはすべて、横尾忠則現代美術館に保管された、
膨大なアーカイブ(約80箱!)から厳選されたものです。
特筆すべきは、1つとして完成品が展示されていないこと。
ラフスケッチやアイデアノート、色指定紙といったものが展示されています。
今回の展覧会では、そんな横尾さんの「デザイン表現のプロセス」を、
横尾さんと親交のあった高倉健主役の映画『網走番外地』になぞらえて・・・
「横尾さんの仕事の番外の地」として紹介。
銀座で開催されているので、“横尾忠則 銀座番外地”というタイトルになったようです。
となると、気になるのは、サブタイトルの“My Black Holes”。
パッと見、どこにもブラックホール感はなかったのですが。
1階の展示室を抜けると・・・・・
どうやらブラックホールへと繋がっているようです。
そして、地下の展示室には・・・・・
ブラックホールのような空間が広がっていました。
琳派をオマージュした作品あり、ピカソにインスパイアされた作品あり、
コラージュあり、ラフスケッチあり、
ただでさえ何でもありなカオスな展示が、
ブラックホール仕様になることで、さらにカオスな空間に。
実際に覗いてみたことはないですが、
おそらく、横尾さんの頭の中を覗いたら、
きっとこんな感じなんだろう、という謎の説得力がありました。
昨年、地球に最も近いブラックホールが、
1600光年先で見つかったというニュースがありましたが、
ブラックホールはもっともっと近く、横尾さんの頭の中にあったようです。
さて、ここからは、出展されていた中で、印象に残ったものをいくつかご紹介。
まずは、横尾さんが描いた岡本太郎から。
桃太郎風の岡本太郎。
おともは、なぜか全員猿です。
戦争に対して、強く憤りを感じていたという岡本太郎。
きっと、鬼退治はしないことでしょう。
仮に鬼ヶ島に行ったとしても、猿たちに「殺すな」を徹底させたことでしょう。
ちなみに。
そんな岡本太郎の似顔絵の横には、
同じく昭和のスター、美空ひばりのも似顔絵もありました。
もちろん、似てはいますが、
若干の悪意のようなものも感じます。
あと、若干の針すなお感も感じました。
続いて印象的だったのが、印象派の画家を彷彿とさせるこちらの4点。
おそらく何かしらの景色をスケッチしたものなのでしょう。
横尾さんの作品にはどこか闇のようなものを感じるのですが、
珍しく、この4点にはそれを感じず、素直に心を惹かれるものがありました。
横尾さんもやればできるんですね(←なぜ上から目線?)。
最後に紹介したいのが、こちら。
何のために描かれたものなのか、
一切その説明はありませんでしたが。
たぶん、というか、きっと“シゲサト”関連でしょう。